臨床泌尿器科25巻8号

1971年08月発行

原著

尿路感染症に関する研究—恥骨上式膀胱穿刺による採尿法について

著者： 石部知行¹ 仁平寛巳¹ 碓井亜¹ 小田サキ子²

所属機関： ¹広島大学医学部泌尿器科学教室 ²広島大学医学部附属病院中央検査部

ページ範囲：P.655 - P.660

文献概要

緒言
　尿路感染症の診断および治療には膿尿の所見だけでは不十分で，結局は尿中の起炎菌を証明することが必要となり，一般にはKass^12）の中間尿法が行なわれている。しかし，彼も述べているように統計的には95％の確率であり，false positiveの可能性を否定することはできない。このため真の感染症との鑑別が問題となり，特に薬物の治療効果，起炎菌の変動などを判定する場合，時に中間尿法は無意味なものになりかねない。またすべての患者尿から細菌を分離同定し，定量培養のうえそれぞれの細菌についての薬剤感受性を求めることは経済的にも，また時間的にも大きな負担である。
　このような点から採尿をより無菌的，すなわち汚染なしに行なう方法として膀胱穿刺法が行なわれてきたが，わが国ではいまだ広く用いられるにいたつていない。今回中間尿法と恥骨上式膀胱穿刺法を比較したのでその成績を報告する。