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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科25巻9号

1971年09月発行

雑誌目次

図譜・353

経直腸式前立腺撮影像—前立腺肥大症,第3報

著者: 杉浦弌 ,   長谷川進

ページ範囲:P.696 - P.697

 前報では,矮小型前立腺肥大症のX線像は正常の前立腺や前立腺炎の像と同様,前立腺外腺の解剖学的構造を思わせる腺房像を示すこと,これに対し,成熟型の前立腺肥大症では,肥大した腺腫と時には外科的被膜をもきわめて明瞭に描出させうることを報告した。
 今回は,特に成熟型前立腺肥大症について詳述する。

図譜・354

後腹膜嚢腫の1例

著者: 西田亨 ,   広田紀昭

ページ範囲:P.698 - P.699

 患者 37歳,男子。
 経過 昭和45年4月上旬より食思不振と胃部不快感が発現,北大第3内科入院。腹部腫瘤を発見,腸バリウムで回盲部は外側に圧排され,IVPで右尿管の偏位があるため5月7日当科へ転科した。

図譜 膀胱鏡アトラス・9

前立腺肥大症と癌

ページ範囲:P.702 - P.703

綜説

非特異性尿道炎

著者: 永田正夫 ,   山本忠治郎

ページ範囲:P.705 - P.712

緒言
 1954年国際性病予防協会はモナコ市に開催されたシンポジウムにおいて,淋疾以外のすべての型の尿道炎に対し,非淋菌性尿道炎(NGU)と呼ぶよう勧告し,以来諸外国および本邦でもこの名称が慣用されるようになつた。私どもがここに述べようとする非特異性尿道炎もこれにしたがつて記載することとした。
 NGUは1928年Flemingの発見によるペニシリンをはじめとする各種抗生物質や化学療法剤の提供されるにおよび,にわかに世人の注目を浴びるようになつた。しかし,NGUは発症要因とその病態生理的経過の複雑性の故に,いまだ未解決の多くの問題をのこしている。NGUに関しては従来からわれわれも関心を持ち,経験例を中心とした観察成績についてはすでに報告を行なつてきたが,今回は自験例を基として,若干の考察を試みてみたい。

文献抄録

単腎者の鋳型結石について/エストロゲン治療による血清中コレステロールおよびTriglyceride濃度の影響

ページ範囲:P.712 - P.712

 著者らは単腎にみられた鋳型結石症17例について,結石摘除群とそのまま経過観察群とについて,その患者の予後を比較検討している。症例は31歳から70歳までの17例で男子8,女子9名である。この17例中15例は以前に結石のために摘出術をうけた症例で,ほかの2名は結石性尿管狭窄で他側腎機能の消失しているものである。全例とも尿路感染を示し大腸菌,変形菌,線膿菌,嫌気菌類が培養された。全例に副甲状腺機能亢進はみられなかつた。尿酸高値のもの2名があつたが,その結石は1例は尿酸結石,他は燐酸アンモニウムマグネシウムであつた。17名の内9例は結石を摘出(腎切石5,腎盂切石4)し,残り8例は非手術群である。非手術群では腎機能をBUN値でみると40mg以下5例で,60mg以上3例であり,BUN 100mg以上の2名は3年以内の経過で尿毒症にて死亡,その他に結石と関係なく4名が死亡しているが,25年の長期間観察された1名はその間腎機能はほとんど低下をみなかつた。
 手術群の9例は術前いずれもBUNは60mg以下であつたが,手術後2名は手術による機能障害のためBUNが130mgから250mgに上昇した。その他はほとんど正常値にあつた。術後の再発は9名中5名で,平均1年半で再発をみている。手術死亡は2名で,ほかに3名は結石に関係なく死亡し,生存は4名となり,内2名に結石の再発を認めている。

手術手技

尿管結石手術の適応とその術式

著者: 近喰利光

ページ範囲:P.715 - P.720

はじめに
 レ線装置ならびに腎盂造影法の普及とともに,尿管結石の診断は広く泌尿器科以外でも積極的におこなわれるようになつた。われわれの外来でも初診時すでに結石性水腎症の診断がついているものや,レ線写真をそえた手術依頼書を持参するものすら増えつつある。したがつて今後尿管結石発症の他の原因による増加が多少減少したとしても,結石の画期的治療法が開発されないかぎり,この診断技術の向上,普及による尿管結石手術症例の増加はしばらくは続くものと考えられる。
 尿管結石手術の術式ならびに手技については,すでに泌尿器専門の手術書1〜6)を含めて多数の記述があり,いまさら私の述べる余地はないと考えるので,尿管結石手術の際われわれのおこなつている手術適応の決定,ならびに手術時,若い術者の助手をして感じた点について述べてみる。なお,手術書としてはFlocks & CulpのSurgical Urologyがアジア版もあり,安価で気がきいているので,はじめにおすすめしておく。

原著

睾丸回転症の2例

著者: 秋元成太 ,   平岡保紀 ,   近藤隆雄 ,   富田勝 ,   西浦弘 ,   近喰利光

ページ範囲:P.721 - P.725

緒言
 睾丸回転症とは,睾丸の急激な血行障害により壊死をきたす疾患であり,主として精索の捻転によるものが多いが,それ以外にも睾丸副睾丸移行部などにも捻転をおこすことがある。われわれは最近本症の2例を経験したので報告するとともに,本邦報告例について統計的観察をこころみた1〜4)

興味ある分腎機能検査結果を示した腎血管性高血圧症の1例

著者: 南茂正 ,   仲野谷祐介 ,   村上忠司

ページ範囲:P.727 - P.732

緒言
 近年本邦においても腎血管性高血圧に対する再建手術治癒例が少なからず報告されている。
 われわれは最近,右腎主幹動脈の閉塞と,著明な一見Cirsoid Angiomaを思わすような副血行路を示した高血圧患者で,分腎機能検査ではむしろ健側であるはずの左腎機能低下を認め,右腎動脈の閉塞部を切除して,自家静脈による端々吻合を行ない,良好な成績を得たので報告する。

巨大尿管結石症例

著者: 滝本至得 ,   尾上泰彦

ページ範囲:P.733 - P.738

緒言
 尿路結石症は,泌尿器科領域において最もPo-pularな疾患であり,稲田1)の全国統計によれば,昭和35年以降,泌尿器科患者に対する尿石症の頻度は8.0%をこえているとされている。
 戦前の統計では膀胱結石が多く,戦後はすべて上部尿路結石,ことに尿管結石が多い。稲田の全国統計でも尿石の部位は,尿管が最多数を占めている。

副睾丸平滑筋腫の2例

著者: 石川堯夫 ,   伊藤晴夫 ,   日景高志 ,   島田孝男

ページ範囲:P.741 - P.744

緒言
 副睾丸腫瘍は稀なものとされていたが,近年になり,その報告が比較的多くなされている。われわれは先に副睾丸Adenomatoid Tumorの2例を報告したが1),その後,副睾丸平滑筋腫の2例を経験したので報告する。

嚢胞状に拡張した形成不全尿管の末端部が射精管に開口した1例

著者: 牧野邦司郎

ページ範囲:P.745 - P.749

はじめに
 膀胱症状を呈した患者で膀胱壁内に嚢胞形成を認め,これが射精管と交通のある興味ある症例を経験したので報告する。

Air Cystoscopy

著者: 豊田尚武 ,   西守哉 ,   後藤薫

ページ範囲:P.751 - P.753

はじめに
 膀胱鏡検査にさいして,膀胱内容液を洗滌水によつて透明にしなければならないことが膀胱鏡検査実施条件の一つであることは周知のごとくである。しかし,いくら洗滌を行なつても,なかなか内容液が透明にならなかつたり,あるいはせつかく透明になつても,すぐ混濁して膀胱鏡検査が円滑にいかなくてこまることも日常私どもの経験するところである。筆者らは膀胱腫瘍の患者で,内容液がいくら洗滌しても透明にならず,膀胱鏡検査に困難を感じた症例に洗滌水のかわりに空気を約200ml注入したところ,液体の場合とはことなつて明瞭に膀胱内景を観察できることを見出した。その後も同様な症例に際しては液体のかわりに空気を注入して観察することにしたが,いずれも満足すべき所見を得ることができたので,実際の症例について洗滌水による場合と対照しながら図示することにする。

Urological Letter・122

前立腺癌のコバルト療法に対する一考察

ページ範囲:P.738 - P.738

 前立腺癌に対するコバルト療法の効果は明らかで,印象的である。しかし,この治療方法が病巣を完全に破壊できるかどうかは疑わしい。
 3人の患者にコバルト療法を行ない,本治療様式を検討した。これらの3人はまだ全治の可能性がある前立腺癌患者であつた。1例では組織検査で腺癌とわかるまでは癌を疑えなかつたくらいであり,他の2例には孤立生の結節があつたが,針生検で完治可能なものとわかつた例であつた。これら3例とも前立腺に6000 radsあるいはそれ以上の照射を施した。3例ともコバルト療法のあと1例は2ヵ月後,1例は7ヵ月後,他の1例は25ヵ月後に会陰式前立腺全摘出術を行なつた。

見聞記

第66回全米泌尿器科学会総会に出席して

著者: 遠藤忠雄

ページ範囲:P.755 - P.756

 1971年5月16日より5日間Dr.John W.Dorsey,Long Beach,Cal-iforniaを会長に全米泌尿器科学会がシカゴで催された。なかなかの盛況で世界各国から多勢が参加していた。学会には婦人同伴の方が沢山おり,その為の特別のプログラムも組まれ,また学会場にも御主人と一諸に出て講演を聞かれている方もあり,なかなかなごやかな雰囲気であつた。
 さて,学会は日曜日から始まつたわけであるが,大きな標題を追いながら印象を書いてみようと思う。沢山の分科会もありすべてを見,聞くことはできなかつたが,その雰囲気だけでもお伝えできればと思い筆を取つた。

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外国文献

ページ範囲:P.759 - P.761

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.105, No.4, April 1971
Patency of Major Renal Vascular Pathways De-monstrated by Rapid Blood Flow Scintiphoto-graphy.L.M.Freeman, C-H.Meng, M.W.Richterand M.D.Blaufox 473
Multicystic Dysplasia of Kidney:With Special Re-ference to Contralateral Kidney.L.F.Greene, W.Feinzaig and D.C.Dahlin 482

内国文献

ページ範囲:P.762 - P.765


 腎疾患の輸液,酒井糾・他:小児科診療,34;(7),29,1971.
 内分泌疾患の輸液,諏訪城三:小児科診療,34;(7),37,1971.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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