icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻1号

1972年01月発行

雑誌目次

図譜・361

特発性後腹膜線維化症をおもわせた回盲部腫瘍の1例

著者: 小金丸恒夫 ,   広中弘 ,   大多和泰憲 ,   高橋俊毅

ページ範囲:P.4 - P.5

 患者 60歳,男子。
 主訴 右側腹部疝痛発作。

図譜・362

子宮筋腫により発生した高度の水腎水尿管症

著者: 折笠精一 ,   丸彰夫 ,   平野哲夫

ページ範囲:P.6 - P.7

 Orkin,Bunkinらによると子宮筋腫,殊に骨盤入口をこえた巨大筋種では高率に水尿管を来たすというが,その程度は子宮癌の場合よりも一般に程度は軽いとされている。次の症例は高度の水腎水尿管を来たしたものである。
 患者 中村某,39歳,家婦(39-187)。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・1

腎実質良性腫瘍(1)

ページ範囲:P.10 - P.11

1.腎血管筋脂肪腫(Angiomyolipoma)
 【症例1】33歳,女子。7年前血尿1週間持続するも放置す。8ヵ月前より肉眼的血尿が断続的にあり,1ヵ月前より増強し,当科入院,右腎腫瘍と診断。尿は新鮮血そのものであり,8400ccの輸血の後右腎剔除術を施行した。病理組織像はAngiomyolipomaであつた。術後10ヵ月健在である(岡山大)。

綜説

性腺の発生と精巣

著者: 吉村不二夫

ページ範囲:P.13 - P.21

Ⅰ.原始生殖細胞(primordial germ cells)
 成熟動物あるいは成人の性腺または生殖腺は,いうまでもなく精巣(testis)と卵巣(ovary)とをまとめた呼び名であるが,胚子の性腺ははじめは同じ構造を呈し,雌雄未分明であるが,個体の性決定(sex determination)はすでに完了している。Spermatogenesisが発現する時期は,遺伝子のレベルですでに性の決定がなされたあとであつて,更に生物に内在するgeneは外的環境の諸因子が加わることによつて修正を受けるものと一般に考えられている。生物個体の初期の発生に際しては先天的な雌雄両能が併存するものであるが,未知の内的および外的因子が加わるにつれてはじめて性の決定が本格化する。性の決定については本綜説の目的ではないので省略するが,精母細胞(spermatocyte)の減数分裂によるXおよびY型染色体の獲得と更には授精の機構を通じて履行されるものであるから,発生学的に性腺分化の跡を辿る場合には,それよりもはるか以前において,すなわち受精前に性の決定がすんでいることに留意する必要がある。

文献抄録

腎髄質石灰化像

ページ範囲:P.21 - P.21

 1936年Randallは腎乳頭部の石灰化が結石となるとの仮説をたてたが,その後McDonald,Vermootenらはこの現象は腎結石と無関係にほとんどの腎に発見されることを報告している。著者らはこの点について光顕的・電顕的に検討を加えて報告している。被検腎は無作意的に撰択した剖検100例の腎について行なつたもので,男性55例,女性45例で,年齢は18歳から91歳までのものである。
 結果についてみると乳頭部にRandalls plaquesを認めたもの23例,腎杯に結石をみたもの7例,この両者が同時にみられたもの4例であつた。しかし,全症例の腎間質と集合管基底膜にbasophilicの沈着物をみとめ,これを強拡大でみると小球石の集合体であり,さらにアルザニンレッド染色でみるとbasophi-licの沈着物はカルシウムであることを認めた。

手術手技

膀胱外科の基礎

著者: 久住治男

ページ範囲:P.23 - P.28

Ⅰ.基礎的知識(解剖)
 膀胱の精細な解剖学的事項は多くの成書に記述されていて,特に新しく述べるところもない。しかし膀胱は骨盤腔内にあつて,精嚢,前立腺および尿管などの重要な臓器と連続しており,いずれも深部にあることからこれらの解剖学的理解が多少困難な部分もある。
 実際に膀胱にかぎらず種々の手術手技において,それぞれいくつかの重要な局所解剖学的ポイントがあり,それに精通していることはその手術を正確に施行する上で必須のことである。この稿ではこれらの重要点のみに焦点を合せて述べるが,今回の「手術手技」膀胱のシリーズでは,それぞれの専門家が得意とするところを記述されることになつているので,筆者の不備な記載が多くの面で救われることは誠に有難い。

Urological Letter

尿管を結紮された腎の寿命/尿道血腫

ページ範囲:P.28 - P.28

 尿管が結紮された場合の腎の寿命については泌尿器科医の問に議論がある。尿管を結紮した場合,あるいはclampで止めた場合,いつまでに解除すれば腎機能が回復しうるか,その時間を決定するための実験は今までかなり多く行なわれてきた。いろいろな著者の評価は3週間から3ヵ月とまちまちである。しかし,それらの実験の大部分は動物で行なわれたものである。
 泌尿器科医達はいろいろな期間結紮されていた尿管の結紮を解除した個人の経験についてしばしば議論しているが,かなり長期間結紮されていた例について検討した例は少ない。

原著

67Ga-citrateによる泌尿性器悪性腫瘍シンチグラムの検討

著者: 岸本孝 ,   小峰志訓 ,   宮前達也

ページ範囲:P.31 - P.38

はじめに
 シンチグラフィーによる悪性腫瘍の診断は,腫瘍に選択的に摂取されたRIを陽性像として描出するのが理想であり,これまでにも多数の研究が行なわれてきた1〜5)。しかし,現在のところ一部の腫瘍,たとえば骨腫瘍,脳腫瘍,甲状腺癌転移などを除き,臨床的に満足すべき結果はえられていない。
 Galliumは元来,骨スキャンに用いられてきたRIであるが,1969年Edwardsら6)67Ga-citrateを用いて,ホジキン病患者の骨スキャンを実施中,たまたま頸部リンパ節の病巣にも本RIがとりこまれることを発見した。東ら7)はこれに着目し,67Ga-citrateに関する基礎実験とともに臨床例を報告した。

長期観察による小腸環膀胱形成術の評価

著者: 豊田泰 ,   中川完二 ,   三浦枡也 ,   土屋文雄

ページ範囲:P.39 - P.43

はじめに
 わが国におけるScheele小腸環膀胱形成術は,1942年の楠の第1例以後しばらく追試されなかつたが,1951年に土屋2)が結核性萎縮膀胱に対する3例を報告してから急速に普及した。
 しかし,近年ではCap-patchないしCup-patch法が用いられるようになり,小腸環を吻合する方式は忘れられつつある。この論文の目的は,Scheeleの手術がもはや忌避すべき術式であるのか,既に適用された数多い症例はどのような経過をたどつていくのかについて,長期観察例に対する調査をもとに知見を提供しようとするものである。

皮膚筋炎に合併した膀胱癌の1例

著者: 近藤猪一郎 ,   塩崎洋

ページ範囲:P.47 - P.53

緒言
 1887年のWagnerおよびUnverrichtの始めての報告以来,皮膚筋炎は臨床ならびに病理学的によく知られたものとなつてきたが,本症が真に一つの独立した疾患であるか否かについては,特に悪性腫瘍との関係を考えるときいまだ解決されたものとはいえない。しかし,皮膚筋炎に悪性腫瘍が合併しやすいことは従来より指摘されている事実であり,しかも年々増加の傾向がみられるという。
 われわれも膀胱癌を合併した1例を経験したので,ここに報告し,あわせて本邦報告例を中心に2,3の問題点について考察を行なつてみる。

Priapismに対するCaverno-Spongiosa Anastomosis

著者: 斯波光生 ,   大橋伸生 ,   山田智二

ページ範囲:P.55 - P.58

緒言
 priapismは今日ではすでにまれな疾患ではないが,病因はなお完全に明らかでなく,治療法も確立されたとはいえない。
 今回,ヘルニオトミー後の炎症性の疑いの濃い本症の1例に対して,静脈bypass法としてのcaverno-spongiosa anastomosisを施行,ほぼ満足すべき結果をえたので報告する。

精索細網肉腫の1例

著者: 加藤弘彰 ,   原田忠

ページ範囲:P.59 - P.65

緒言
 精索は種々の組織で構成されており,そのいずれよりも腫瘍が発生しうる。しかしその報告例は決して多いとはいえず,岸本ら1)によれば欧米における報告は良性腫瘍205例,悪性腫瘍123例,また本邦例は高村ら2)が良性腫瘍44例,悪性腫瘍21例と集計報告している。その後の報告例および自験例を加えても,われわれは本邦の精索悪性腫瘍例を34例集めえたにすぎなかつた。
 精索腫瘍診断の第1歩は本疾患を疑うところにあるといわれてはいるが,病態分析が十分になされているとはいえないのが現状である。

--------------------

外国文献

ページ範囲:P.67 - P.68

JOURNAL OF UROLOGYVol.106, No.2, August 1971
Renin Release and Utilization by Isolated Perfu-sed Canine Kidney.J.K.Smolev, D.M.Baer and G.P.Murphy 163
Renal Transplantation: Preparation of Live and Cadaver Donors and Techniques of Nephrectomy. E.Leiter, I.Gelernt, C.Oh, A. Kark, L.Burrows, S. Glabman, L.Jacobson and H.Brendler 171

内国文献

ページ範囲:P.70 - P.71


 腎機能不全患者と手術,水野克己:外科治療,25;(5),559,1971.
 滞尿腎(水腎)の機能回復の限界についての臨床的考察,岡 直友:日泌尿会誌,62;(10),760,1971.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識

76巻12号(2022年11月発行)

特集 ブレずに安心! 尿もれのミカタ

76巻11号(2022年10月発行)

特集 限局性前立腺癌診療バイブル―このへんでキッチリと前立腺癌診療の“あたりまえ”を整理しよう!

76巻10号(2022年9月発行)

特集 男性不妊診療のニューフロンティア―保険適用で変わる近未来像

76巻9号(2022年8月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)の手術療法―臨床現場の本心

76巻8号(2022年7月発行)

特集 泌尿器腫瘍における放射線治療―変革期を迎えた令和のトレンド

76巻7号(2022年6月発行)

特集 トラブルゼロを目指した泌尿器縫合術―今さら聞けない! 開放手術のテクニック

76巻6号(2022年5月発行)

特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線

76巻5号(2022年4月発行)

特集 実践! エビデンスに基づいた「神経因性膀胱」の治療法

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号特集 専門性と多様性を両立させる! 泌尿器科外来ベストNAVI

76巻3号(2022年3月発行)

特集 Female Urologyの蘊奥―積み重ねられた知恵と技術の活かし方

76巻2号(2022年2月発行)

特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン

76巻1号(2022年1月発行)

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

75巻13号(2021年12月発行)

特集 困った時に使える! 泌尿器科診療に寄り添う漢方

75巻12号(2021年11月発行)

特集 THEロボット支援手術―ロボット支援腎部分切除術(RAPN)/ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)/新たな術式の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻11号(2021年10月発行)

特集 THEロボット支援手術―現状と展望/ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻10号(2021年9月発行)

特集 今こそ知りたい! ロボット時代の腹腔鏡手術トレーニング―腹腔鏡技術認定を目指す泌尿器科医のために〈特別付録Web動画〉

75巻9号(2021年8月発行)

特集 ED診療のフロントライン―この一冊で丸わかり!

75巻8号(2021年7月発行)

特集 油断大敵! 透析医療―泌尿器科医が知っておくべき危機管理からトラブル対処法まで

75巻7号(2021年6月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して

75巻6号(2021年5月発行)

特集 躍動するオフィスウロロジー―その多様性に迫る!

75巻5号(2021年4月発行)

特集 前立腺癌のバイオロジーと最新の治療―いま起こりつつあるパラダイムシフト

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科当直医マニュアル

75巻3号(2021年3月発行)

特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?

75巻2号(2021年2月発行)

特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ

75巻1号(2021年1月発行)

特集 朝まで待てない! 夜間頻尿完全マスター

74巻13号(2020年12月発行)

特集 コロナ時代の泌尿器科領域における感染制御

74巻12号(2020年11月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈下部尿路機能障害/小児・女性・アンドロロジー/結石・感染症/腎不全編〉

74巻11号(2020年10月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈腫瘍/処置・救急・当直編〉

74巻10号(2020年9月発行)

特集 令和最新版! 泌尿器がん薬物療法―手元に置きたい心強い一冊

74巻9号(2020年8月発行)

特集 泌尿器腫瘍の機能温存手術―知っておくべき適応と限界

74巻8号(2020年7月発行)

特集 これが最新版! 過活動膀胱のトリセツ〈特別付録Web動画〉

74巻7号(2020年6月発行)

特集 小児泌尿器科オープンサージャリー―見て学ぶプロフェッショナルの技〈特別付録Web動画〉

74巻6号(2020年5月発行)

特集 高齢患者の泌尿器疾患を診る―転ばぬ先の薬と手術

74巻5号(2020年4月発行)

特集 ここが変わった! 膀胱癌診療―新ガイドラインを読み解く

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

74巻3号(2020年3月発行)

特集 泌尿器科手術に潜むトラブル―エキスパートはこう切り抜ける!

74巻2号(2020年2月発行)

特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!

74巻1号(2020年1月発行)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら