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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻1号

1972年01月発行

綜説

性腺の発生と精巣

著者: 吉村不二夫1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2解剖学教室

ページ範囲:P.13 - P.21

文献概要

Ⅰ.原始生殖細胞(primordial germ cells)
 成熟動物あるいは成人の性腺または生殖腺は,いうまでもなく精巣(testis)と卵巣(ovary)とをまとめた呼び名であるが,胚子の性腺ははじめは同じ構造を呈し,雌雄未分明であるが,個体の性決定(sex determination)はすでに完了している。Spermatogenesisが発現する時期は,遺伝子のレベルですでに性の決定がなされたあとであつて,更に生物に内在するgeneは外的環境の諸因子が加わることによつて修正を受けるものと一般に考えられている。生物個体の初期の発生に際しては先天的な雌雄両能が併存するものであるが,未知の内的および外的因子が加わるにつれてはじめて性の決定が本格化する。性の決定については本綜説の目的ではないので省略するが,精母細胞(spermatocyte)の減数分裂によるXおよびY型染色体の獲得と更には授精の機構を通じて履行されるものであるから,発生学的に性腺分化の跡を辿る場合には,それよりもはるか以前において,すなわち受精前に性の決定がすんでいることに留意する必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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