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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻10号

1972年10月発行

雑誌目次

図譜・379

腎平滑筋肉腫

著者: 広野晴彦 ,   川井博 ,   淡輪邦夫

ページ範囲:P.840 - P.841

 患者 54歳,女子。
 主訴 右腹部有痛性腫瘤および発熱。

図譜・380

前立腺肥大症に合併した膀胱結石の1例

著者: 梶本伸一 ,   瀬川襄

ページ範囲:P.842 - P.843

 患者 54歳,男,農業。
 主訴 排尿困難,結石排出。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・10

尿管腫瘍・3

ページ範囲:P.846 - P.847

1.原発性尿管癌(Transitional Cell Carcinoma)
 〔症例1〕 58歳,男,会社員。
 主訴 無症候性血尿。

綜説

睾丸の炎症—化膿性睾丸炎,耳下腺炎性睾丸炎を中心に

著者: 大森弘之 ,   田中啓幹

ページ範囲:P.849 - P.852

はじめに
 周知のごとく,泌尿器科の臨床上,陰嚢内容の炎症では睾丸炎は比較的まれなものである。これは睾丸が血管およびリンパ管に富み,転移性感染に対し強い抵抗性を有していることがその理由として挙げられている1)
 睾丸炎は次の様に分類されるのが一般である。すなわち,1)化膿性(単純性)2)ビールス性3)スピロヘーター性4)真菌性5)原虫性6)結核性7)外傷性8)化学性9)特発性 などである。今回は,これらのうち特に(1)の化膿性のもの,すなわちnonspecific orchitisと,(2)のビールス性,そのうちでも耳下腺炎性睾丸炎について述べてみたいと思う。

手術手技

膀胱癌根治手術

著者: 松本恵一

ページ範囲:P.853 - P.860

はじめに
 現在,癌治療法は日進月歩の時代にある。手術療法はなんといつても癌が局所にとどまつている間は,クリアカットな治療法としての魅力がある。放射線療法,化学療法は残念ながらまだ特殊な適応を除いては,手術療法の域には到つていない。癌の手術は根治手術が原則であることは当然であるが,癌の浸潤度によつては,根治手術が必要とは限らないし,また進行癌においては根治手術は不可能であるわけであるが,根治手術によつて治癒させうる時期にあるものは逃さないようにすべきである。
 根治手術術式は,各臓器の癌においてそれぞれほぼ確立されたと考えてさしつかえない。殊に,胃癌,子宮癌,乳癌,頭頸部癌,肺癌などでは,術式の確立はもちろん,その正確な遠隔成績も出されているのが現況である。泌尿器科領域の悪性腫瘍についてはどうかと考えてみると,尿路性器癌は全悪性腫瘍中の占める割合が少ないため,各施設における症例数も微々たるもので,残念ながら根治手術術式が確立されたとはいえない。

原著

泌尿器科領域における尿中ステロイド(特に17—KS分画)の研究

著者: 舟生富寿 ,   寺山百合子 ,   工藤茂宣 ,   白岩康夫 ,   二川原和男

ページ範囲:P.863 - P.871

緒言
 副腎および性腺において生合成され,分泌されたステロイドホルモンはそれぞれの作用を示しながら体内で種々の段階に代謝され,尿中に排泄される。その排泄されたステロイドを化学構造により,17—OHCS(17—Hydroxycorticosteroids),17—KS(17—Ketosteroids),17—KGS (17—Ketogenicsteroids)などに分類しそれぞれ特異的な反応を利用して測定している。しかし,各グループは数種類のステロイドの混合物なので,そのグループとしての排泄量の他に個々の排泄量を知りうるならば,生体でのホルモンのより詳細な動態を把握することが可能になる。種々の状態における総17—OHCSとその分画についてはこれまで当教室においても研究を行ない,総17—OHCSの増加にすべての分画が比例して増加するわけではないことなどを明らかにした1,2)

屈曲可能なGlassfiber製膀胱鏡による膀胱頸部の観察

著者: 土田正義 ,   菅原博厚

ページ範囲:P.873 - P.875

はじめに
 Glassfiberの特長は,屈曲した状態でも映像を伝達できることである。この性質を応用したGlas-sfiberscopeの完成により,胃,12指腸,気管支などの検査は進歩を遂げるに至つた。
 ところが泌尿器科領域で古くから行なわれている膀胱鏡検査には,今日でも依然として(硝子)レンズ光学系を使つた膀胱鏡が使われており,Glassfiber (系)は膀胱内視野を照射する導光体として利用されるに過ぎない。映像伝達系としてGlassfiberが膀胱鏡検査に利用される理由を考えてみると,構造上当然のことながら,レンズ光学系の方がGlassfiberより解像力が優れていること,レンズ光学系の支持体が直線状の金属製固体であつても,尿道を通じて膀胱鏡を挿入するのにあまり困難を感じないことなどが挙げられよう。

停留睾丸の統計的観察

著者: 白井将文 ,   佐々木桂一

ページ範囲:P.877 - P.882

はじめに
 停留睾丸は睾丸下降がなんらかの原因で障害され睾丸下降路の途中で停止した状態を言い,男子性器に見られる先天性奇形の中でもつともしばしば遭遇する疾患である。本症は1786年John Hun-ter1)によりはじめて記載されたといわれており,以来数多くの報告がなされて来た。私達も昭和34年4月より昭和46年12月までの12年8ヵ月の間に267例の停留睾丸患者を経験しているので,これら症例について統計的観察を行なうとともに多少の文献的考察を加えたのでここに報告する。

膀胱腫瘍類似の所見を呈した血栓による膀胱潰瘍の1例

著者: 星野嘉伸 ,   横田武彦

ページ範囲:P.883 - P.886

はじめに
 膀胱鏡所見で潰瘍形成や壊死組織の附着がみられ,一見悪性の膀胱鏡所見のごとく思われるが,これと鑑別されなければならない疾患がある。著者らは血栓による潰瘍形成をみた膀胱炎を経験したのでこの症例を報告し,類似疾患について考察してみたいと思う。

女性重複尿道の1例

著者: 福井準之助 ,   中平正美

ページ範囲:P.887 - P.893

緒言
 重複尿道は,尿道奇形のなかでも稀な疾患であり,ことに女性の重複尿道は稀れで,その症例報告は本邦はもとより欧米の文献を調べても,30例に満たない。われわれは,外尿道口側が盲端に終わつており,これが腹圧のために,のう状に膣前庭部に膨隆するという興味深い症例を経験したので報告すると共に,若干の考察を加えてみた。

小田原市立病院における昭和46年泌尿器科入院患者の統計的観察

著者: 武田尚 ,   福岡洋 ,   吉邑貞夫

ページ範囲:P.895 - P.898

はじめに
 小田原市立病院は人口16万6千の地方中小都市小田原の中心をなす医療機関である。われわれの泌尿器科患者分布は市内および箱根,湯河原,松田,山北,大磯などの周辺地区に及んでいる。昭和43年7月,当科が皮膚泌尿器科より独立し,すでに3年半を経ている。昭和46年の入院患者およびその手術術式を中心に統計的観察をしてみた。

トヨタ病院泌尿器科における4年6カ月間の臨床統計的観察

著者: 篠田孝 ,   劉自覚

ページ範囲:P.899 - P.905

緒言
 トヨタ病院は,人口約20万の豊田市の南部に,トヨタ自動車工業株式会社の福祉施設の一環として設立された,ベッド数約300の総合病院である。したがつて診療の対象となるのは,主に工場従業員約40,000人(男約38,000人,女約2,000人)と,その扶養家族約44,000人である。昭和42年7月1日に当病院に泌尿器科が独立してから,昭和46年12月31日までの4年6ヵ月間の臨床統計的観察を行なつたので,以下に記述する。

Urological Letter・139

Urological Care Units(U.C.U.)

ページ範囲:P.886 - P.886

 今日,多くの病院では専門化されたCoronarycrea units(CCU),intensive care units(ICU),burn units, Surgical care units etc.を持つている。ロサンジェルス地区の数病院はUrological Careunits(UCU)を持つている。このUCUは前立腺摘除術後の患者,しばしば膀洗を必要とする患者などのためである。後者の患者群のなかには留置カテーテルを必要とする者もいる。
 これらのunitsにはその病院での前立腺手術の多少によつて違うが4ないし6床入れておく。ここの勤務員は看護夫(male nurses,通常は退役の陸軍衛生兵である)あるいは男のCatheter techniciansから成り立つている。これらの人は病院から給料をもらつている。TUR後の患者でも術後心配な最初の24時間をこのunitsにあずけておけるし,全入院期でもあずけておける。このunitにおける費用は普通病室での看護料よりも高い。この種のunitsを持つているロサンジェルス地区の病院は,これらのunitsで働く特別看護夫の給料を支払うに十分な額に見合つた料金を請求している。

文献抄録

腎移植後にみられた膀胱尿管逆流

ページ範囲:P.898 - P.898

 著者らは死体腎移植後にみられた膀胱尿管逆流について検討し,膀胱尿管吻合法を比較している。移植腎は死体腎21腎で排尿時の膀胱撮影と排泄性腎盂撮影について逆流の有無を調査している。移植尿管数は24本で,これは1例は重複尿管で2例は2回の腎移植を施行したためである。平均の経過観察は2年2ヵ月で,最短6カ月,最長4年である。
 尿管の吻合法は3方法に3群に分けて施行されている。第1群の15尿管は膀胱粘膜下をトンネル式に尿管を通して尿管口を膀胱粘膜に吻合する。粘膜の吻合は一部の例にニツプル法を用いたが,他は簡単に粘膜相互に吻合した。第2群は膀胱壁を貫通するように尿管を通して尿管および膀胱粘膜を吻合する方法で6尿管について行なつた。第3群はPsoasHitchあるいはBoari法で膀胱壁弁をつくり尿管ないし腎盂に吻合した。これが3尿管である。以上の吻合法を施行して逆流の有無について調査した結果は,第1群では逆流を呈した症例は1で,他の14尿管については満足すべきものであつた。第2群では逆流が5尿管で,1例のみ逆流がなかつた。

見聞記

第18回ASAIO(Apr.,15〜18,'72)見聞記

著者: 大沢炯

ページ範囲:P.909 - P.912

 筆者は,先日機会を得てシアトルで開かれたASAIO (American So-ciety for Artificial Internal Organs)の本年総会に出席し,二,三の興味ある点を感じたので披露したいと思う。

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外国文献

ページ範囲:P.913 - P.916

THE JOURNAL OF UROLOGYVol.107, No.5, May 1972
Effects of Bilateral Nephrectomy on Blood Pressure and Renin Activity. J.W. Mostert, R.H. Moore and G.P. Murphy 667
Effect of Posture on Renal Vein Renin in Dia-gnosis and Followup of Renovascular Hyper-tension. A.M. Michelakis 680

内国文献

ページ範囲:P.917 - P.918


 IVP,PSPより見た子宮頸癌患者の尿路系機能,半藤保・他,産の婦,39;(9),63,1972.
 Vascular Malformationによる先天性腎動脈瘻の3例,高羽 津,園田孝夫,打田日出夫,石田 修:日泌尿会誌,63;(7),539,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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