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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻12号

1972年12月発行

雑誌目次

図譜・383

尿管腫瘍

著者: 竹崎徹 ,   鶴見和弘 ,   渡辺節男

ページ範囲:P.1020 - P.1021

 患者 51歳,女子。
 主訴 約10日前より肉眼的血尿,左下腹部痛および残尿感があり来院す。

図譜・384

奇型を伴つた尿道周囲膿瘍

著者: 岩間汪美 ,   日景高志 ,   妹尾素淵 ,   山崎隆治 ,   平岡真

ページ範囲:P.1022 - P.1023

 患者 24歳,主婦。
 主訴 膿性尿道分泌物。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・12

膀胱腫瘍(2)

ページ範囲:P.1026 - P.1027

1.膀胱憩室腫瘍(Tumor of the bladder diverticulum)
 【症例】 46歳,男子。
 主訴 頻尿。

手術手技

腹圧性尿失禁

著者: 川井博

ページ範囲:P.1029 - P.1035

 急迫失禁,切迫失禁あるいは腹圧性失禁などいろいろな名称で呼ばれているこの失禁は,腹圧が加わるような動作があると貯溜膀胱尿が無意識に尿道より漏出する状態を総称している。殊に立位において咳をしたり,くしやみあるいは笑つたりするとはげしく尿がもれてくる。この型の尿失禁はほとんどの場合尿道括約筋の機能不全があるために尿道抵抗が膀胱内圧にたえられずに尿を失禁するものであるが,しかし,下腹部に大型の可動性腫瘤があつて,たとえば子宮筋腫や卵巣嚢腫などがあつてこの腫瘤が腹圧で膀胱内圧を急上昇させる時にもおこることがある。後者の場合は腹部触診で腫瘤を触知できるので診断は容易であり,またこの腫瘤の摘除をすれば失禁は消失する。婦女子にみられる腹圧性尿失禁の頻度についてはGaineyら(1940)によると,成人女子の約5%にみられるといわれる。またNewmanおよびNor-thrupら(1961)は未産婦の15%,経産婦では43%が多少とも腹圧性失禁に悩んでいると報告している。

小児の膀胱外科

著者: 千野一郎

ページ範囲:P.1037 - P.1042

はじめに
 小児の尿路性器疾患では感染症,先天性異常による疾患が主要な部分を占めている。特に下部尿路の疾患では先天性異常に起因する排尿障害は重要な疾患である。
 今回与えられた標題は小児の膀胱外科であり,全般におよべば前述の箸者らと重複する部分が多いため排尿障害に対する手術を中心にする。

原著

脊髄損傷患者のラジオアイソトープ・レノグラム—(附)残尿測定への応用

著者: 石川登喜治 ,   高村孝夫

ページ範囲:P.1045 - P.1050

緒言
 脊髄損傷患者(以下脊損)の治療にあたり尿路管理の重要性は今日周知のことである。近年I131Hippuranなどを用いたレノグラムが普及してきているが,これが脊損患者の腎および尿路機能の検査法としてどのように役立つかを検討し,若干の知見を得たので報告する。
 われわれの用いたレノグラム装置は東芝RDP-105型および島津UTC−12型で,体位は腎からの距離を短くするため腹臥位または坐位として背中から前もつてIVPで確認してある腎部にプローブをあて,Time Constant 5秒,Paper Speed 10mm/minで記録した。対象は美唄労災病院の脊損患者100例である。

海綿腎—統計的観察を中心に

著者: 広野晴彦 ,   中神義三 ,   陳泮水

ページ範囲:P.1051 - P.1058

緒言
 海綿腎については,Lenarduzzi(1939)1)が,その腎盂像において特異な所見を呈するものとして最初に記載し,ついでCacchi & Ricci (1949)2)が,その類似疾患5例につき病理組織学的に検討してrein en éponge(Sponge kidney)の命名のもとに発表して以来,欧米での報告例はAbes-houseら(1960)3)が136例を集計し,その後Morrisら(1965)4), Pyrah (1966)5),Macdougallら(1968)6),Harrisonら(1971)7)の症例を加えると200例以上の多きを数える。本邦においては,酒徳ら(1956)8)によつてはじめて"海綿腎"なる訳名のもとに症例報告がなされて以来,近時,本症の概念が広く認識されるにいたり,泌尿器科領域のみならず内科,放射線科領域でも発表されており,今回,集計しえた本邦症例数は自験例をも含め68例8〜58)に達する。自験例について,病理組織学的にも検討しえたので,これにつき報告すると共に,併せて若干の統計的観察を試み,本症の概念についても述べてみたい。

鎮痛剤常用者にみられた両側腎乳頭壊死の1例

著者: 関根昭一

ページ範囲:P.1059 - P.1064

はじめに
 腎乳頭壊死は欧米では多数の報告例がみられるが,本邦では未だまれな疾患と思われる。以前より糖尿病,尿路感染症,尿路閉塞と関係深いことが知られており,最近では鎮痛剤の乱用(殊にフェナセチソ),鎌状赤血球症との関係も指摘されている。本邦では報告例が自験例を含めて15例しかなく,殊に鎮痛剤による腎乳頭壊死のはつきりしたものは未だその報告例がないようである。最近当教室で,鎮痛剤常用者にみられた腎乳頭壊死の1例を経験したので報告する。

空置回腸を利用した尿路形成術の検討—第Ⅲ編 腎機能と尿中細菌

著者: 堀内誠三 ,   星野嘉伸

ページ範囲:P.1065 - P.1072

はじめに
 著者らは33例の空置回腸を利用した尿路形成術について,第Ⅰ編2)として臨床経過を中心に術式の検討などについて,第Ⅱ編3)には尿路に利用した回腸より,尿中電解質の吸収と血中電解質の変動について報告した。
 本稿においてこれらの症例の一部に対して,種々の腎機能検査を行なつたので,この点について検討した結果を述べる。

前立腺癌に合併した前立腺嚢腫の1例—超音波診断を中心にして

著者: 猪狩大陸 ,   渡辺泱 ,   海法裕男 ,   島正美 ,   棚橋善克 ,   原田一哉

ページ範囲:P.1073 - P.1076

緒言
 私達は最近,前立腺癌に合併した前立腺嚢腫の1例を経験したので報告する。

Ectopic Prostatic Tissue—成人男子血尿の1因

著者: 小柳知彦 ,   石川登喜治 ,   高村孝夫

ページ範囲:P.1077 - P.1081

緒言
 血尿はわれわれがとり扱う非常にcommonでしかも重要な問題であり,当然その原因も多岐にわたる。診断技術の発達が目覚しい現在,各種の検査法を駆使することによつて血尿の原因を明らかにすることができるものが大部分であるが,なお時には原因不明またはidiopathicな血尿とせざるをえないものもある。最近われわれの外来では積極的に尿道鏡検査を検査の一部として組み入れることにより,後部尿道ポリープがいわゆる原因不明の男子血尿の原因として意外に多いことに気ずいた。このポリープは組織学的にはNesbit1)が報告したectopic prostatic tissueに合致するものであるが,本邦ではこの概念について未だ一般によく認識されていないようなので以下に報告させていただくこととする。

停留睾丸に発生した巨大セミノームの1例

著者: 楠見博紀

ページ範囲:P.1085 - P.1087

緒言
 両側停留睾丸の右停留睾丸より発生した巨大セミノームの1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

幼児包皮腫瘍の1例

著者: 須藤進 ,   佐々木恒臣 ,   白石祐逸

ページ範囲:P.1089 - P.1091

緒言
 陰茎の非上皮性腫瘍は良性,悪性ともに非常にまれな疾患である。最近われわれは幼児に発生した良性の線維腫を経験したので報告する。

Urological Letter・141

Ⅰ.尿道の転移性脊索腫,他

ページ範囲:P.1050 - P.1050

 Nursing homeに入っている78歳の老人で,陰嚢が大きな腫瘤となつた人を診せられた。陰嚢の大きさは15×10×8cmであつた。左側睾丸炎と診断して,抗生物質による治療を行なつたが無効であつた。なお,この患者の既往歴をみると,1969年にL2,L3の腫揚で手術を受けており,血管腫という診断がつけられている。その時の手術は出血がひどく途中でやめられたが,1971年再びL2,L3の手術を大学病院で受けた。この時も腫瘍は完全には切除されなかつた。しかし,その際の診断は脊索腫ということであつた。
 この患者を入院させて陰嚢腫瘤を摘出した。一部の膿瘍とともに腫瘍があることも凍結標本からわかつた。なおこの腫瘍は尿道,尿道海綿体,陰茎海綿体にもおよんでいた。腫瘍を完全に切除するためには陰茎の根治的切断が必要であつたであろうが,罹患部の尿道を2cm切除しておいた。尿道カテーテルを挿入し,創を閉じた。

文献抄録

末期前立腺癌の放射線治療

ページ範囲:P.1081 - P.1081

 前立腺癌の大部分は根治的手術の不可能な症例であるために,除睾術と女性ホルモン投与のいわゆる抗男性ホルモン治療をすることになるが,癌細胞が女性ホルモン依存性をなくして腫瘍の再増殖のために治療継続に困却することが多い。最近かかる症例に高圧X線照射の効果が見直されて種々報告があるが,著者らは1961年より1970年までに33例の末期前立腺癌に放射線治療を試みてその効果について述べている。治療は6mevの照射装置で毎1000 radsで総計4000から5000 radsを照射する。3分の2は前後方向より,残りは回転照射を施行した。患者24例はstage C,9例はstage Dのものである。33例中6例はなお女性ホルモン投与が行なわれたので放射線効果との判定困難にて27例について観察している。効果については23例に腫瘍の縮少と硬度の変化を認め,うち19例はその効果は顕著であつた。効果発現の時期は2〜3の例は早期に認められたが,大多数は照射終了後数ヵ月にて認められた。また照射前は癌浸潤のために直腸の疼痛,シブリ,二次出血などのあつた5例も照射完了後には症状の消失を認めている。癌浸潤のために膀胱頸部の通過障害の観察された14症例には照射後平均10ヵ月でその改善があつた。

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外国文献

ページ範囲:P.1093 - P.1094

DER UROLOGE Jahrgang 12, Heft 3, Ausgabe B, Juni 1972
Die Klinik und Behandlung der Pyelonephritis. J.Moeller 69
Die moderne Therapie des Diabetes mellitus.R. Petzoldt, K.Schoffling 76

内国文献

ページ範囲:P.1095 - P.1097


 末期腎不全の高血圧について,黒崎正夫:内科,30;(4),713, 1972.
 血液透析と輸血,太田和夫:臨床検査,16;(11),1329,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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