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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻12号

1972年12月発行

手術手技

腹圧性尿失禁

著者: 川井博1

所属機関: 1日本医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1029 - P.1035

文献概要

 急迫失禁,切迫失禁あるいは腹圧性失禁などいろいろな名称で呼ばれているこの失禁は,腹圧が加わるような動作があると貯溜膀胱尿が無意識に尿道より漏出する状態を総称している。殊に立位において咳をしたり,くしやみあるいは笑つたりするとはげしく尿がもれてくる。この型の尿失禁はほとんどの場合尿道括約筋の機能不全があるために尿道抵抗が膀胱内圧にたえられずに尿を失禁するものであるが,しかし,下腹部に大型の可動性腫瘤があつて,たとえば子宮筋腫や卵巣嚢腫などがあつてこの腫瘤が腹圧で膀胱内圧を急上昇させる時にもおこることがある。後者の場合は腹部触診で腫瘤を触知できるので診断は容易であり,またこの腫瘤の摘除をすれば失禁は消失する。婦女子にみられる腹圧性尿失禁の頻度についてはGaineyら(1940)によると,成人女子の約5%にみられるといわれる。またNewmanおよびNor-thrupら(1961)は未産婦の15%,経産婦では43%が多少とも腹圧性失禁に悩んでいると報告している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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