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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻13号

1972年12月発行

特集(増刊号の)5 尿路・性器疾患の化学療法(感染症と腫瘍)

Ⅲ.尿路・性器悪性腫瘍の化学療法

ブレオマイシンによる陰茎腫瘍の治療

著者: 広川勲1

所属機関: 1国立東京第1病院泌尿器科

ページ範囲:P.221 - P.228

文献概要

 ブレオマイシン(以下ブレオと略記する)は梅沢等1)が発見した抗腫瘍性抗生物質で,最初の臨床的研究が1965年10月以降市川院長の指導のもとに国立東京第一病院泌尿器科で行なわれた。最初膀胱癌(移行上皮癌),前立腺癌(腺癌),腎癌および睾丸腫瘍(ゼミノーム)に対して試みられたが何れも著効は得られなかつたが,たまたま陰茎癌に使用する機会がありその有効性が確認された。即ちブレオは陰茎癌に対して最初にその有効性が確認された制癌剤である。
 従来陰茎癌の治療は初期症例には放射線治療で治癒せしめることも出来るが,多くの場合進行した状態で来院するために,手術的治療を必要とする場合が多く所属リンパ腺の廓清を含めた陰茎切断術が行なわれるため,患者の受ける肉体的精神的打撃は極めて大であつた。ブレオの出現はこうした患者の苦悩を救うものであつて,陰茎癌の治療には画期的な治療法となつた訳である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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