icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻2号

1972年02月発行

雑誌目次

図譜・363

尿管鋳型結石

著者: 田利清信 ,   宗菊次郎

ページ範囲:P.84 - P.85

 患者 47歳,女子。
 主訴 右側腹部痛。

図譜・364

前立腺平滑筋肉腫

著者: 仁藤博 ,   寺田洋子

ページ範囲:P.86 - P.87

 患者 36歳,洋服仕立業。
 主訴 頻尿,尿線細化,排尿痛。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・2

腎実質良性腫瘍(2)

ページ範囲:P.90 - P.91

1.腎血管筋脂肪腫(Angiomyolipoma)
 【症例】石○千○子,18歳,未婚女子。
 家族歴・既往歴 特記すべきことなし。

綜説

睾丸の発生異常

著者: 志田圭三 ,   島崎淳

ページ範囲:P.93 - P.103

Ⅰ.胎生期における睾丸の発育
a)睾丸原基とその発生
 泌尿性器系という呼称の示すごとく,尿路系と性器系とは発生学にも密接な関連をもつている。胎生5週頃,原始体腔の背側腸間膜の両側において,腹膜の皺襞肥厚という形態でまず尿生殖隆起urogenital ridgeが発生する。
 6週頃になると,この尿生殖隆起は2つに分かれ,正中側は生殖隆起genital ridgeに,外側部は原腎隆起mesonephric ridgeとなり,それぞれ特有の増殖分化をきたし,前者からは性腺が,後者からは原腎(中腎)が発生する。この時期における性腺は性別による形態学的差異は認められず,いわば両性ないし中性の状態である。生殖隆起の表層には腹膜上皮に由来する胚上皮germinal epi-theliumが重層し,その間に腸間膜起始部から迷入した特殊の腹膜上皮,すなわち原始胚細胞pri-mordial germ cellが混在し,下層には残存間葉系細胞が散在している。原始胚細胞は将来,精細胞となり,胚上皮はSertoli細胞となるものであるが,通常の検索では両者を区別することは不可能とされている。

手術手技

外傷性および骨盤外科時の膀胱損傷の診断と治療

著者: 井上武夫

ページ範囲:P.105 - P.110

緒言
 最近,交通戦争と言われるほどに交通災害による死傷者は増加している。スピードアップのため,損傷は複雑,多発で,緊急,高度の技術を要するものが多くなつている。泌尿器科医は膀胱損傷に直面する時,大きな責任を課せられる。診断,治療の遅延は死につながるからである。

原著

本邦泌尿器科における副腎疾患症例602例の検討

著者: 宍戸仙太郎 ,   渡辺泱

ページ範囲:P.113 - P.121

はじめに
 本年4月17日,第18回日本医学会総会の「臨床医学の進歩」シリーズの一主題として,「内分泌の外科とくにその遠隔成績」に関するシンポジウムが,信州大学丸田公雄名誉教授の司会のもとに開催された。私達はその中で「副腎外科」を担当したが,それを機会に本邦泌尿器科クリニックにおける副腎疾患症例の現況を知る目的で,全国的なアンケート調査を行なつた。質問用紙はすべての医科大学附属病院および主要な基幹病院の泌尿器科に対して発送され,第1表に示す各機関より回答を頂くことができた。症例総数は602例の多数に達した。私達はこの調査結果にもとづき,本邦において副腎外科の対象とされている諸疾患の病態,手術,予後などについて検討を加えたので,ここに報告する。

Milk of Calcium Renal Stoneの1例

著者: 寺邑能実 ,   津川竜三 ,   島木彰

ページ範囲:P.123 - P.129

はじめに
 Milk of Calcium Renal Stoneは1959年にHo-well4)が命名したものであるが,それ以前に1937年Fresnais1),1940年Lüdin2),1941年Rudstörm3)らの症例が本症に相当するものとされている。Howell以後,欧米文献上14例5〜18)の報告がみられるが,本邦においては6例19〜23)を数えるのみである。われわれは約5年半にわたつて観察しえた本症の1例を報告するとともに,若干の文献的考察を加えてみた。なお本症例は既に第225回日本泌尿器科学会北陸地方会において一応診断例として報告24)したが,その後文献的に調査したところ同様の所見を呈する報告例に接し,本症であることが判明した。箸者らはできれば手術所見または穿刺吸引し内容物質の分析所見を加えて報告したいと考えていたが自覚症状のないことが主なる理由でそのまま今日に至つたものであり,ここに本邦例の1例としてあらためて報告する次第である。

食塩喪失症候群を呈した腎結核の1例

著者: 加藤弘彰 ,   原田忠

ページ範囲:P.131 - P.137

緒言
 腎機能が低下し濃縮力が障害されるにつれて低稠多尿の傾向が現われてくる。しかし,Na排出量はさほど増大せず,摂取の制限が必要となつてくる場合の方が多い。しかるに高度腎障害にもかかわらず食塩摂取量の制限により症状が増悪する症例のあることが知られている1,2)
 われわれは無尿を主訴とした腎結核症例に,Naを主とした補液療法を行ない著効をえた1例を経験した。この症例は普通の食塩摂取量では容易に低Na血症をきたす傾向があり,食塩喪失症候群に属するものであつたが,帯状疱疹,結核性髄膜炎を続発,またpartial Addison病様の所見もみられる多彩な病状をとつた興味あるものであつた。

セルディンガー法を簡易化した腎動脈撮影手技

著者: 伊藤晴夫 ,   百瀬剛一 ,   遠藤博志 ,   片海七郎 ,   真鍋溥 ,   藤田道夫

ページ範囲:P.139 - P.141

はじめに
 セルディンガー法1)による腎動脈撮影および骨盤動脈撮影は泌尿器科におけるroutineの検査法として広く行なわれている。この方法はドス・サントス法のように全身麻酔を必要とせず経皮的に行ない得て非常に有用であるが,その操作が比較的煩雑である。われわれはセルディンガー法を簡易化した1法を考案し,臨床的に応用し所期の目的を達したので,ここにその術式を紹介する。

腎盂および尿管癌の血管造影

著者: 石田晤玲 ,   勝部吉雄 ,   水垣洋

ページ範囲:P.143 - P.147

はじめに
 腎癌の動脈造影では典型的な腫瘍血管が造影されることが多いので,その診断価値は高く評価されている。しかし,腎盂および尿管の悪性腫瘍の動脈造影についての報告はきわめてすくない。このことは,これらの部に発生する悪性腫瘍そのものがすくないという理由のほかにBergmanら2)のいうように逆行性腎盂造影上,閉塞部より末梢で尿管が限局性に拡張することが多く,他の疾患とくに結石による閉塞と鑑別しやすいことにもよる。しかし,この所見が得られないこともあるので,動脈造影法を併用する必要がある10)
 腎盂および尿管の癌の動脈造影では腫瘍血管が造影されないか,造影されてもきわめて軽度である。しかし,栄養動脈の怒張や膵癌でみられるようなかなり典型的な腫瘍による血管の狭窄像がみられることがあるので,動脈造影は診断上参考になると思われる。一方,最近ではアドレナリン注入による腎静脈造影法などによりすぐれた腎静脈像が得られ,その診断価値が認められている。さらに,腎静脈造影法に下大静脈造影法を併用すると,腫瘍の進展範囲,予後の推定などに有利である。われわれも泌尿器科疾患に静脈造影を応用し,動脈造影より診断価値の高い症例を経験しているが7),腎盂および尿管の癌の診断では,動脈の圧迫による静脈の陰影欠損像が得られ,癌によるそれと誤られやすいので注意を要する。

膀胱腫瘍照射療法後の放射線障害(出血性膀胱炎)

著者: 坂田安之輔

ページ範囲:P.149 - P.155

はじめに
 膀胱腫瘍に対して,術前照射および術後照射が積極的に用いられるようになり,線源の改良,照射技術の進歩が相まつて,予後成績を著しく向上させてきた。照射効果が十分に発揮されるためには,照射に伴う副作用(骨盤腔内臓器の早期反応)を制御しながら,予定線量を完逐させることが絶対に必要であるが,一方,照射終了後に種々の形で晩期反応が出現することがあり,それが極めて難治で,時には重篤な事態を招くことがある。著者は晩期反応としての出血性膀胱炎および直腸炎の治療に難渋した経験を述べ,それらの対処の方法について考えてみたい。

Urological Letter・129

尿管逆流現症の家族的発生

ページ範囲:P.129 - P.129

 筆者らは最近2組の家族から3人の同胞の患者を診た。それら3人には程度は違つているが,いずれも尿管腎逆流(ureterorenal reflux)があつた。全体で6人のうち2人には膿尿,感染あるいは機能障害などの症状があつた。他の4人は無症候性であつた。6人の同胞のうち3人は逆流防止の手術が必要であつた。
 そこで次のような疑問がおこつた。

文献抄録

腎杯軸症候について

ページ範囲:P.137 - P.137

 腎実質の腫瘤か,腎外腫瘤かのレ線的鑑別は通常の排泄性腎盂撮影でしばしば困難なことがある。この際のX線鑑別の要点は腎盞・腎杯像の破壊変形像の有無であるが,この所見が見られない時には鑑別は非常にむずかしい。そこで著者らは腎杯軸の変位如何を観察することで,後腹膜腔の腫瘤の位置を知ることができるとしている。正常腎では腎の上下極を結ぶ線は腰腸筋縁と平行である。腎の長軸は体の正中線の20度の角をなしている。また腎杯の最上・最下を結ぶ腎杯軸も,腎長軸および腰腸筋縁と平行となつている。そこで腎実質からの腫瘤,たとえば嚢腫,水腎,重複腎盂などでは腎軸よりも腎杯軸の方が一層変位するが,腎外腫瘤の場合には腎軸と同様に腎杯軸も同等に変位するものである。著者らはこの所見について,腎癌の2例と後腹膜肉腫,副腎皮質腺腫の各1例についてレ線的所見を述べている。
 後腹膜腔には副腎・膵の一部消化管をはじめ大動静脈・リンパ節・神経系などからの腫瘍はいずれも腎のレ線像に変化を与えるし,肝・副腎の腫瘤は腎を下・側方へ圧排する。また腎軸の正常変位幅も相当広く,病的な変位との区別が困難なこともしばしばであり,加えて腎自身の変位回転などがあるために更に困難となることがある。

--------------------

外国文献

ページ範囲:P.159 - P.160

BRITISH JOURNAL OF UROLOGY Vol.43, No.5, October 1971
Pituitary Irradiation in Advanced Carcinoma of the Prostate: Analysis of 100 Cases.J.D. Fergusson and W.F.Hendry 514
Yttrium90 Pituitary Ablation in Advanced Carci-noma of the Prostate.A.Morales, D.W.Blair and J.Steyn 520

内国文献

ページ範囲:P.161 - P.162


 慢性腎炎,小林快三・柴田昌雄:日本臨状,29;(11),482,1971.
 腎症候群,広岡豊:小児科診療,35;(1),14,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識

76巻12号(2022年11月発行)

特集 ブレずに安心! 尿もれのミカタ

76巻11号(2022年10月発行)

特集 限局性前立腺癌診療バイブル―このへんでキッチリと前立腺癌診療の“あたりまえ”を整理しよう!

76巻10号(2022年9月発行)

特集 男性不妊診療のニューフロンティア―保険適用で変わる近未来像

76巻9号(2022年8月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)の手術療法―臨床現場の本心

76巻8号(2022年7月発行)

特集 泌尿器腫瘍における放射線治療―変革期を迎えた令和のトレンド

76巻7号(2022年6月発行)

特集 トラブルゼロを目指した泌尿器縫合術―今さら聞けない! 開放手術のテクニック

76巻6号(2022年5月発行)

特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線

76巻5号(2022年4月発行)

特集 実践! エビデンスに基づいた「神経因性膀胱」の治療法

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号特集 専門性と多様性を両立させる! 泌尿器科外来ベストNAVI

76巻3号(2022年3月発行)

特集 Female Urologyの蘊奥―積み重ねられた知恵と技術の活かし方

76巻2号(2022年2月発行)

特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン

76巻1号(2022年1月発行)

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

75巻13号(2021年12月発行)

特集 困った時に使える! 泌尿器科診療に寄り添う漢方

75巻12号(2021年11月発行)

特集 THEロボット支援手術―ロボット支援腎部分切除術(RAPN)/ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)/新たな術式の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻11号(2021年10月発行)

特集 THEロボット支援手術―現状と展望/ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻10号(2021年9月発行)

特集 今こそ知りたい! ロボット時代の腹腔鏡手術トレーニング―腹腔鏡技術認定を目指す泌尿器科医のために〈特別付録Web動画〉

75巻9号(2021年8月発行)

特集 ED診療のフロントライン―この一冊で丸わかり!

75巻8号(2021年7月発行)

特集 油断大敵! 透析医療―泌尿器科医が知っておくべき危機管理からトラブル対処法まで

75巻7号(2021年6月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して

75巻6号(2021年5月発行)

特集 躍動するオフィスウロロジー―その多様性に迫る!

75巻5号(2021年4月発行)

特集 前立腺癌のバイオロジーと最新の治療―いま起こりつつあるパラダイムシフト

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科当直医マニュアル

75巻3号(2021年3月発行)

特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?

75巻2号(2021年2月発行)

特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ

75巻1号(2021年1月発行)

特集 朝まで待てない! 夜間頻尿完全マスター

74巻13号(2020年12月発行)

特集 コロナ時代の泌尿器科領域における感染制御

74巻12号(2020年11月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈下部尿路機能障害/小児・女性・アンドロロジー/結石・感染症/腎不全編〉

74巻11号(2020年10月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈腫瘍/処置・救急・当直編〉

74巻10号(2020年9月発行)

特集 令和最新版! 泌尿器がん薬物療法―手元に置きたい心強い一冊

74巻9号(2020年8月発行)

特集 泌尿器腫瘍の機能温存手術―知っておくべき適応と限界

74巻8号(2020年7月発行)

特集 これが最新版! 過活動膀胱のトリセツ〈特別付録Web動画〉

74巻7号(2020年6月発行)

特集 小児泌尿器科オープンサージャリー―見て学ぶプロフェッショナルの技〈特別付録Web動画〉

74巻6号(2020年5月発行)

特集 高齢患者の泌尿器疾患を診る―転ばぬ先の薬と手術

74巻5号(2020年4月発行)

特集 ここが変わった! 膀胱癌診療―新ガイドラインを読み解く

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

74巻3号(2020年3月発行)

特集 泌尿器科手術に潜むトラブル―エキスパートはこう切り抜ける!

74巻2号(2020年2月発行)

特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!

74巻1号(2020年1月発行)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら