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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻4号

1972年04月発行

雑誌目次

図譜・367

腎杯憩室

著者: 藤田公生 ,   藤間弘行

ページ範囲:P.272 - P.273

 患者 菅○健○,22歳男性。
 主訴 左上腹部痛。

図譜・368

巨大なる睾丸腫瘍の1例

著者: 井川欣市 ,   宮岸武弘 ,   岡林高男

ページ範囲:P.274 - P.275

 患者 33歳,男,自衛官。
 主訴 有痛性右陰嚢内容腫大。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・4

腎実質悪性腫瘍(2)

ページ範囲:P.278 - P.279

1.Wilms腫瘍(Wilms Tumor)
 患者 H.T.,4歳,男。
 主訴 肉眼的血尿。

綜説

精子形成障害,特に男子不妊症について

著者: 白井将文

ページ範囲:P.281 - P.294

はじめに
 内分泌腺は間脳下垂体系を中心として,脳下垂体前葉より分泌されるtropic hormoneの作用によりtarget organ(標的臓器)である内分泌臓器の機能が賦活され,それぞれ個有のホルモンを分泌し,生体の成長発育ならびに代謝に必要な作用を分担すると共に,各腺の機能は完全に独立したものではなく互いに共同してmetabolic homeostasisを維持している。
 睾丸も上位中枢と密接な関係を持ちながらその2大機能である精子の形成と性ホルモンの分泌機能を営んでいる。しかし,男性においては女性のごとく明瞭な性周期がない(Friedmanら1)は男性にも性周期のあることを認めているが)ために中枢と性腺の関係が女性のごとく明らかにされてはいないが,一応下垂体より分泌されるLH (ICSH)が睾丸間細胞を刺激して性ホルモンの分泌を促進すると同時に精細管に作用するFSHと協力して精細胞分化を促進して完全なる精子形成能を営むものと考えられている。

手術手技

膀胱の奇形の外科

著者: 辻一郎

ページ範囲:P.297 - P.303

Ⅰ.尿膜管疾患(臍尿瘻)
 尿膜管疾患には色々なものがあるが,以下尿膜管発生異常に基づく臍尿瘻について記す。
 臍尿瘻は先天性のものはもちろん後天性のものもすべてその基底には尿膜管のなんらかの発生異常がある。出産後臍帯脱落と共に始まる臍尿瘻はまず尿膜管無形成(胎生期尿生殖洞上部の狭化がまつたく起こらず膀胱上端が臍に直接しているもの)か尿膜管形成不全(尿生殖洞上部の狭化が不完全で通常の意味の尿膜管は形成されず,膀胱頂部から上方に漏斗状あるいはひざご形に内腔が延びて臍に達する状態)である。ただし尿膜管の無形成や形成不全でも臍帯脱落後必ずしも臍尿瘻を来たすとは限らない。出産後まつたく無症状であつたもの,あるいは出産直後一時的に膀尿瘻を来たしたが間もなく自然治癒したものが,後年下部尿路通過障害による膀胱内圧上昇や外傷・炎症などが加わつて晩発性の臍尿瘻を来たすこともある。尿膜管降下不全(尿膜管はほぼ正常に形成されるが,出産後降下せぬ状態)や尿膜管性膀胱憩室が臍に破れ,また尿膜管嚢胞が感染して膀胱および臍の両方向に破れて,臍尿瘻となることは比較的稀で,かつこの場合は尿洩の程度も一般に軽度である。

原著

副腎腫瘍の3例—副腎腺腫によるクッシング症候群2例と褐色細胞腫1例

著者: 秋元成太 ,   西村泰司 ,   平岡保紀 ,   金子直之 ,   近喰利光 ,   川井博

ページ範囲:P.305 - P.310

緒言
 われわれは,最近2年間に副腎皮質腺腫でかなり定型的なクッシング症候群2例と,髄質腫瘍である褐色細胞腫1例を経験し,いずれも手術前にほぼ確定診断ができ,手術により治癒させ得た3例を経験したので若干の文献的考察とともに報告する。

両側性副腎性褐色細胞腫の1例

著者: 新村研二 ,   井沢明 ,   村井勝 ,   勝岡洋治 ,   名出頼男 ,   田崎寛 ,   東福寺英之 ,   桜田知己 ,   木下英親 ,   木村哲

ページ範囲:P.311 - P.318

緒言
 Phecchromccytoma(Ph)は,副腎髄質や傍神経節などchrom親和性細胞の存する所より発生する腫瘍で,Epinephrine(E),Norepinephrine(NE),Dopamineなどcatecholamine (CA)を過剰に産生し,そのため発作性または持続性の高血圧や基礎代謝率の上昇,過血糖,血漿遊離脂肪酸の上昇など代謝亢進を来たす疾患である1)
 またPhは原発性aldosterone症,cushing症候群と同様,高血圧症を主症状の一つとしている副腎疾患でもあり,手術により腫瘍を摘出し得れば根治しうる疾患であるため,臨床上極めて重要である。

尿管癌の術後発生した前部尿道の乳頭状腫瘍症例

著者: 小柳知彦 ,   工藤哲男

ページ範囲:P.319 - P.322

緒言
 膀胱腫瘍に尿道腫瘍が続発することは必ずしも稀なことではなく,Cordonnier1),Ashworth2)らによれば,全膀胱腫瘍の約4%にみられたと報告している。特に多発性傾向の強い膀胱腫瘍で,後部尿道にも同様な腫瘍が発生していることは度々であり,また膀胱全剔の際に後部尿道を残すと,ここに度々再発をみることもよく知られている(辻3))。しかしながら,腎盂・尿管腫瘍の手術後同様の腫瘍が尿道,殊に前部尿道に再発した例は極めて稀なことと思われ,内外の分献にもその記載は少ない。以下,最近われわれが経験した尿管腫瘍に続発せる前部尿道移行上皮癌の1例を報告し,若干の考案を加えてみたい。

急性尿閉を呈した処女膜閉鎖症の1例

著者: 田村瑞穂 ,   津久井厚

ページ範囲:P.325 - P.327

緒言
 処女閉鎖に伴う急性尿閉の1例を経験したので報告する。

女子尿道憩室結石の1例

著者: 山本忠治郎 ,   身吉隆雄 ,   並河広二 ,   尾上泰彦

ページ範囲:P.329 - P.333

緒言
 女子尿道憩室は従来から比較的稀れな疾患といわれてきたが,最近では泌尿器科的検査手技の向上と本症に対する認識の高揚から次第に増加の傾向にあるように思われる。われわれも無徴候性血尿を主訴とし,膀胱腫瘍の治療の目的で入院した際偶然発見した本症の1例を経験したので,追加報告する。

Urological Letter

インジゴカルミン(メチレンブルー)の効用/勃起不能の治療—人工支柱挿入法

ページ範囲:P.310 - P.310

a) TUR,会陰式あるいは恥骨後式手術および尿管切石術の場合:TURの際には開始予定の1時間前に1000mlの輸液中に2アンプルのインジゴカルミンを加えて静注する。この早期の水分投与で,TURの施行中に尿管から青色が噴出するのが見えることになる。このような方法で注射をしておくと,手術時に1アンプルのインジゴカルミンを静注する方法よりも,青の排泄が長続きする。この方法は,前立腺部尿道の短かい例で,中柵あるいは尿管口に近い膀胱腫瘍のTURの際に尿管口の識別が容易になる。また,以前に尿管膀胱再移植が行なわれた患者の手術の際には特に有効である。会陰式あるいは恥骨後式前立腺根治手術の際にも尿管口の識別に有効である。尿管切石術の実施中にもインジゴカルミンを使うと尿管の識別に役立つ。

文献抄録

第1度前立腺癌の治療について

ページ範囲:P.318 - P.318

 第1度前立腺癌は直腸診では硬度を増して触れることはなく,肥大症として摘出された腺腫中や経尿道的に切除された腺腫組織中に癌病巣を発見されることが大部分で,その良性腺腫中に見出される頻度は報告者によりまちまちで3.5%から21%に及んでいる。この治療については,現在諸家の意見は一致していないが,著者は1960年より1968年の9年間に取扱つた91例の第Ⅰ度前立腺癌の各種治療の予後を観察して報告している。
 91症例の診断はTUR時の組織診断82例,腺腫摘出によるもの8例,生検にて診断された者1例となつている。診断確定後の治療については3群に分けて考察し,第1群はTURおよび腺腫摘出のみ45例,第2群は抗男性ホルモン治療施行22例,第3群は外科的根治手術施行16例,根治手術とホルモン治療併用8例計24例となつている。各群とも経過観察の期間は最短1年最長110ヵ月となつている。

見聞記

東北部ブラジルの泌尿器科の現況

著者: 河村信夫

ページ範囲:P.335 - P.339

 私は昭和45年9月より1年間,ブラジルのペルナンブコ国立大学に勤務し,その間に泌尿器科の現状をみる機会もあつたので,少し紹介してみようと思う。
 私は海外技術協力事業団派遺の医療専門家という資格で,研究指導の目的でこの地へ赴任した。医学部卒業前から手がけていた寄生虫の研究が嵩じて,泌尿器科へ入つてからも腔トリコモナスの男子尿性器寄生を専門にやつていたので,今回も寄生虫学専門家としての派遺であつた。指導対象はブラジル国立ペルナンブコ大学医学部の熱帯医学研究所で,昭和43年から慶大の寄生虫学教室が主体となつて技術援助を行なつており,2,500万円位の器材も日本から供与されている。このプロジェクトの最後の部分を受持つチーフとして送られた。

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外国文献

ページ範囲:P.341 - P.342

BRITISH JOURNAL OF UROLOGY Vol.43, No.6, December 1971
Management of Closed Renal Injuries.Norman Slade 639
Conservative Management of Renal Masses.J.J.Stevenson and Thomas Sherwood 646

内国文献

ページ範囲:P.343 - P.344


 長期透析例を含む慢性腎不全患者に対するAnabolic steroid投与の検討,新島端夫:ホと臨床,20;(2), 75,1972.
 石灰化,骨形成を認めた腎腺癌の1例,加藤篤二:泌尿紀要,18;(1),3,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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