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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻6号

1972年06月発行

雑誌目次

図譜・371

腎血管性高血圧

著者: 杉浦啓之 ,   後藤薫 ,   小林聡 ,   黒田康正 ,   田中敬正

ページ範囲:P.440 - P.441

 患者 26歳,警察官。
 主訴 高血圧,全身倦怠。

図譜・372

結石を伴える巨大膀胱脱

著者: 石川博義 ,   松永重昻 ,   大越正秋

ページ範囲:P.442 - P.443

 患者 角田某,88歳,女子。
 主訴 頻尿,血尿,下腹部重圧感,腫瘤。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・6

腎盂腫瘍

ページ範囲:P.446 - P.447

1.乳頭状移行上皮癌(Papillary Carcinoma)
 【症例1】38歳,男,出版社経営。
 なんらの自覚症状もなかつたが,生命保険の検査で血尿を指摘されて入院精査。腎(実質)腫瘍の臨床診断で昭和41年1月,左腎摘除し,標本に割を入れてはじめて腎盂腫瘍と判明したもの。手術所見では上半分の腎周囲に腎周囲炎による軽度の癒着があり,腎は通常の大きさであるが,上極近くは表面にやや凹凸があり粗である。腎門部リンパ節腫大を触れず。腎盂腫瘍は組織学的には乳頭状癌Grade Ⅱで,腎髄質への浸潤を認める。放射線療法,制癌剤の併用は行なわなかつた。

綜説

睾丸機能不全—とくに類宦官症を中心に

著者: 岩動孝一郎 ,   和久正良

ページ範囲:P.449 - P.458

緒言
 男子における性腺機能不全の代表的なかたちがいわゆる類宦官症である。すなわち性成熟期における2次性徴の完成の障害がみとめられ,体格や声の変化,体毛の発生さらには授精能力の発現などの性機能の点で未熟な状態にとどまつている。その原因として睾丸そのものに障害があつて機能を発揮し得ない場合のほかに,下垂体あるいはそれより上位の中枢からの刺激が睾丸に伝えられる過程に欠陥があるため睾丸のはたらきが抑えられている場合などがある。
 このようなことからこれまで類宦官症(eunucho-idism)を分類する場合に,大きく分けて下垂体前葉よりのゴナドトロピン分泌の低下に原因があると考えられる低ゴナドトロピン性類宦官症(hypogo-nadotropic eunuchoidism,すなわちsecondary hypogo-nadism)および睾丸に一次的な障害があると考えられる高ゴナドトロピン性類宦官症(hypergonado-tropic eunuchoidism,またはprimary hypogonadism)の2型を中心として論じられてきた。

手術手技

尿管膀胱新吻合術—膀胱尿管逆流防止法を含む

著者: 安藤弘 ,   澤村良勝

ページ範囲:P.461 - P.468

Ⅰ.尿管膀胱新吻合術の適応
 下部尿管の病変を切除して,残存尿管を膀胱に新吻合する必要性は臨床上しばしば遭遇する。(1)骨盤臓器手術後の尿管損傷,癒着,屈曲,偏位,狭窄。(2)膀胱腫瘍の尿管口浸潤。(3)尿管結核の瘢痕性狭窄。(4)結石性瘢痕狭窄などがその適応となる。

原著

高Ca血症を伴う腎腺癌症例

著者: 西田亨 ,   石川登喜治 ,   高村孝夫

ページ範囲:P.469 - P.475

緒言
 比較的稀ではあるが,腎癌,乳癌,肺癌などの悪性腫瘍の患者で,骨には転移その他の破壊性病変がなく,かつ副甲状腺機能にも異常がないにもかかわらず,著明な高Ca血症を示すものがあることは,かなり以前より注目されており,その検索についても種々の論議が行なわれてきている。
 今回われわれも右の範ちゆうに入る腎腫瘍患者の高Ca血症を経験したので,以下に記録すると共に,本邦の悪性腫瘍に伴つた高Ca血症を渉猟し,かつ高Ca血症の成因などについて若干の文献的考察を加えてみた。

交叉性変位腎,尿管開口異常および女子性器奇形を合併せる1例

著者: 白井千博 ,   津川龍三

ページ範囲:P.477 - P.482

 Malekら1)は世界人類の10%かそれ以上は,泌尿器系の奇形を伴つて生れ,これらのうち,ほぼ50%は上部尿路の奇形であるが,その多くは見過されているのが現状であると述べている。上部尿路の奇形中臨床上問題となるものには,交叉性腎変位と尿管開口異常がある。われわれは,最近交叉性腎変位と尿管開口異常を伴い,さらに後述するごとき性器奇形を合併した症例を経験したので報告する。

水腎にみられたMilk of Calcium Renal Stone例

著者: 宮越国雄 ,   小田完五 ,   村田庄平 ,   三品輝男 ,   大江宏 ,   大山朝弘

ページ範囲:P.483 - P.487

緒言
 Milk of Calcium Renal Stoneという用語は,Howell(1959)1)が腎杯性嚢腫内に貯留したcalcium粒子の浮遊状態に対し,すでに胆石に用いられている同様の状態を連想して記述したのに始まる。嚢腫状の腔内に微細なcalcium粒子が尿とともに貯留すると,その比重差のため上方が水平となつて沈澱する。この状態は立位または側臥位における水平投光によるレ線学的描写によつて上方に水平面を示す半月状陰影として認められ,診断上欠くことのできない所見である。Fresnais (1937)が,Niveaux horizontaux sur la radiographie faite enverticale et préparation d'une pyonéphrose calculeuseの題名で報告している症例2,3)は本範疇に入るものである。欧米ではHowell以後1970年までに14例,本邦では広中(1968)4)の報告に始まり4年間で自験例を含めて10例を数える。最近経験したMilk of Calcium Renal Stoneの1例を追加報告するとともに,24症例を基礎に,簡単な考察を加える。

腎血管腫の1例

著者: 藤田幸雄 ,   大川光央

ページ範囲:P.489 - P.492

緒言
 著者らは最近腎血管腫の1例を経験した。ここに本症例を報告するとともに,比較的まれな腎血管腫について若干の文献的考察を加える。

腎不全と貧血に関する検討

著者: 今川章夫 ,   横田武彦 ,   星野嘉伸

ページ範囲:P.493 - P.496

緒言
 貧血は腎不全につねにみられる所見であり,すでに1836年Bright1)が,はじめていわゆるBright氏病を記載した時に,"からだの苦痛をやわらげようとして瀉血を行なうと,血液の色は淡黄色で,また血清はミルク様不透明である"と腎機能障害の進行に併つて貧血がみられることを指摘している。以来腎機能低下にみられる貧血は,腎性貧血とよばれ,発生病理,病態生理,病態生化学などに関して数多くの論文がみられるが,腹膜透析血液透析などの保存的療法により,腎不全患者のある程度の延命,社会復帰が可能になつた現在もなお,根治療法としての腎移植以外13),腎性貧血の治療に関しては未だ決定的なものはない。また一方腎不全のある患者に輸血を行ない,急速にHematocrit値を上げると,糸球体濾過値が一過性に低下し,血中尿素が上昇することがしられており,血液透析療法の普及につれ,末期腎不全患者が延命するにつれ,失血の機会も多く,輸血量の決定に悩まされることもしばしばである。今回われわれは腎不全と貧血に関し臨床的検討を加えたので報告する。

小児睾丸成熟奇形腫の3例

著者: 福井準之助 ,   中平正美

ページ範囲:P.497 - P.503

 睾丸原発の腫瘍は,最近報告症例がかなり多くなつたのだが,全泌尿性器腫瘍の3〜4%といわれており,その睾丸腫瘍の中でも,小児の腫瘍は全睾丸腫瘍の2〜3%であるので,稀な疾患と考えられている。われわれは最近1年間に小児の成熟奇形腫3例を経験したので報告すると共に,若干の文献的考察を加えてみた。

睾丸類表皮嚢腫の2例

著者: 平石攻治 ,   堀内誠三 ,   親松常男

ページ範囲:P.505 - P.508

はじめに
 類表皮嚢腫は,皮下に発生する良性腫瘍としてはごくありふれたものであり,脳2)や脾臓1)にも発生し得る。しかし,これが睾丸内に発生すると発生起源および治療法が問題となる疾患である。われわれは2例の睾丸類表皮嚢腫を経験したので,報告し検討を加える。

男子成人のPanendoscopy時疼痛に対する鎮痛対策について—PentazocineとHydroxyzineの併用

著者: 熊本悦明 ,   田宮高宏

ページ範囲:P.509 - P.514

Ⅰ.内視鏡検査時疼痛対策の問題点
 泌尿器科的内視鏡検査時の疼痛対策と一口にいつても,患者が小児か成人かまた男か女かで問題が異なるし,またCystoscopyとPanendoscopyとでも疼痛の程度に著しい差があるため,それぞれの条件で対策は異なつてくる。
 しかし総括的にいつて,①小児の内視鏡検査と,②男子成人のPanendoscopyが泌尿器科臨床上疼痛対策が必須のものといえよう。

Urological Letter・134

Ⅰ.開胸術や開腹術でわかつた前立腺癌の3症例・他/Ⅱ.尿管逆流現象の家族的発生について

ページ範囲:P.496 - P.496

 過去2年間に他の大手術後に泌尿器科的疾患の有無を検査するようにと3例が紹介されてきた。
 第1例は65歳の男子で,腹部腫瘤と体重減少や貧血のために病院に入院した患者である。開腹術が行なわれて,膵頭部癌とわかつた。生検はされなかつた。患者はアリゾナに来て結局は死んだのであるが,到着後間もなく尿路通過障害が現われ,泌尿器科的検査をたのまれた。しらべてみると前立腺癌のあることが明らかで,しかもひどく進んでいることがわかつた。除睾術と女性ホルモンで保存的に治療したら回復し,1年有余,平常のごとく生活できた。

文献抄録

尿路感染症に対する自家導尿の効果

ページ範囲:P.503 - P.503

 一般に尿路感染症は尿路の正常な組織に新生物,結石あるいはカテーテル,器械的操作などの異物の力が加わるときに発生しやすいことは認められているが,細菌感染は組織の血流障害があるときにもつともおこりやすい。胱膀の血流障害は内圧が上昇したり膀胱が過伸展したときにおこるもので,この膀胱の貧血時にグラム陰性細菌が血行あるいはリンパ行性に感染すると考えられる。女子の場合には排尿を我慢したり,男子では下部尿路の通過障害が膀胱炎の第1の原因といえる。われわれは以上のような考えのもとに上・下部尿路の感染症を防止するもつとも重要な方法は,膀胱の内圧上昇をさけ,かつ膀胱の過伸展を防げば十分であると考えている。著者らのこの考えを実証した症例として次のような例をあげている。症例は30歳の女性で多発性の硬化症で促迫失禁,不完全尿閉と再発生の尿路感染を主訴にしている。神経因性排尿障害で残尿は約120ml存在する。

新薬治験

尿路性器感染症に対するMinocyclineの臨床効果について

著者: 生亀芳雄 ,   小川秀彌 ,   菅間正気

ページ範囲:P.515 - P.516

はじめに
 MinocyclineはMartell,Bootheらによつて1967年に発表されたTetracycline誘導体で,化学名は7-dime-thylamino-6-deoxy-6-demethyltetracylineであり,その構造は第1図のようである1)
 本剤はTetracycline(TC)と同様に広領域抗生剤であるが,グラム陽性菌に対しては従来のTCの2〜4倍の抗菌力を有するといわれている。

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外国文献

ページ範囲:P.519 - P.520

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.106, No.5, November 1971
Neoplasms odf Adrenal Gland. A.H.Bennett, J.H. Harrison and G.W.Thorn 607
Cephaloglycine as Urinary Antimicrobial in Patients With Reduced Renal Function. L. Lowentritt, J.U.Schlegel and G.J.Domingue 615

内国文献

ページ範囲:P.521 - P.522


 腎癌を重複し,その中に転移をみた原発性肺横紋筋肉腫の1剖検例,古瀬清行・他,癌の臨床,18;(4).279,1972.
 マサチューセッツ総合病院・臨床病理討議会から—大腸菌性菌血症と進行性腎不全の1症例:医学のあゆみ,81;(2),534,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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