文献詳細
原著
水腎にみられたMilk of Calcium Renal Stone例
著者: 宮越国雄1 小田完五1 村田庄平1 三品輝男1 大江宏1 大山朝弘1
所属機関: 1京都府立医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.483 - P.487
文献概要
Milk of Calcium Renal Stoneという用語は,Howell(1959)1)が腎杯性嚢腫内に貯留したcalcium粒子の浮遊状態に対し,すでに胆石に用いられている同様の状態を連想して記述したのに始まる。嚢腫状の腔内に微細なcalcium粒子が尿とともに貯留すると,その比重差のため上方が水平となつて沈澱する。この状態は立位または側臥位における水平投光によるレ線学的描写によつて上方に水平面を示す半月状陰影として認められ,診断上欠くことのできない所見である。Fresnais (1937)が,Niveaux horizontaux sur la radiographie faite enverticale et préparation d'une pyonéphrose calculeuseの題名で報告している症例2,3)は本範疇に入るものである。欧米ではHowell以後1970年までに14例,本邦では広中(1968)4)の報告に始まり4年間で自験例を含めて10例を数える。最近経験したMilk of Calcium Renal Stoneの1例を追加報告するとともに,24症例を基礎に,簡単な考察を加える。
掲載誌情報