文献詳細
原著
文献概要
緒言
貧血は腎不全につねにみられる所見であり,すでに1836年Bright1)が,はじめていわゆるBright氏病を記載した時に,"からだの苦痛をやわらげようとして瀉血を行なうと,血液の色は淡黄色で,また血清はミルク様不透明である"と腎機能障害の進行に併つて貧血がみられることを指摘している。以来腎機能低下にみられる貧血は,腎性貧血とよばれ,発生病理,病態生理,病態生化学などに関して数多くの論文がみられるが,腹膜透析血液透析などの保存的療法により,腎不全患者のある程度の延命,社会復帰が可能になつた現在もなお,根治療法としての腎移植以外13),腎性貧血の治療に関しては未だ決定的なものはない。また一方腎不全のある患者に輸血を行ない,急速にHematocrit値を上げると,糸球体濾過値が一過性に低下し,血中尿素が上昇することがしられており,血液透析療法の普及につれ,末期腎不全患者が延命するにつれ,失血の機会も多く,輸血量の決定に悩まされることもしばしばである。今回われわれは腎不全と貧血に関し臨床的検討を加えたので報告する。
貧血は腎不全につねにみられる所見であり,すでに1836年Bright1)が,はじめていわゆるBright氏病を記載した時に,"からだの苦痛をやわらげようとして瀉血を行なうと,血液の色は淡黄色で,また血清はミルク様不透明である"と腎機能障害の進行に併つて貧血がみられることを指摘している。以来腎機能低下にみられる貧血は,腎性貧血とよばれ,発生病理,病態生理,病態生化学などに関して数多くの論文がみられるが,腹膜透析血液透析などの保存的療法により,腎不全患者のある程度の延命,社会復帰が可能になつた現在もなお,根治療法としての腎移植以外13),腎性貧血の治療に関しては未だ決定的なものはない。また一方腎不全のある患者に輸血を行ない,急速にHematocrit値を上げると,糸球体濾過値が一過性に低下し,血中尿素が上昇することがしられており,血液透析療法の普及につれ,末期腎不全患者が延命するにつれ,失血の機会も多く,輸血量の決定に悩まされることもしばしばである。今回われわれは腎不全と貧血に関し臨床的検討を加えたので報告する。
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