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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻8号

1972年08月発行

雑誌目次

図譜・375

融合性交叉性腎変位

著者: 岡田隆夫

ページ範囲:P.632 - P.633

 患者 斉○卜○,28歳,家婦。
 初診 昭和46年7月29日。

図譜・376

腰部位置異常腎(L型腎)

著者: 佐藤威 ,   三好信行

ページ範囲:P.634 - P.635

 患者 42歳,男,会社員。
 初診 昭和46年11月8日。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・8

尿管腫瘍(1)

ページ範囲:P.638 - P.639

1.肉芽腫
 〔症例〕 男,37歳。昭和45年8月頃から腰痛を訴え,某医にて左尿管結石を指摘され当科に紹介された。左尿管走行部に一致して圧痛を認めた。レ線検査により,結石陰影下方に長楕円形の陰影欠損を認め,尿管腫瘍の合併も疑われたが尿管切石術を施行した。
 手術時,結石直下の尿管粘膜に赤色半球状の腫瘍を認め,その上から数個の樹枝状の突起がのびていた。肉芽腫も疑われたが,乳頭腫も否定し得なかつた。尿管と周囲との癒着が強く尿管閉塞部を広く切除するのは困難であつたので腎尿管全摘除術を施行した。組織学的には結合織を主としたリンパ球,形質細胞の増多した肉芽腫であつた(弘前大泌尿器科)。

綜説

睾丸の外傷

著者: 金澤稔 ,   大川順正 ,   阿部富彌

ページ範囲:P.641 - P.651

緒言
 男性の外陰部とくに陰嚢部は,外界に接しているために外力の影響を受けやすい部分であることは想像に難くない。ことに最近の交通事情の悪化からおこり得る種々の事故,作業場における近代的機械化あるいはスポーツ外傷の増加などは,陰嚢部の外傷をきたすに十分な因子として考えられるものである。
 もちろん,このような事故による外傷の発生は,身体の一部分あるいは一臓器にとどまらない場合が多いことは明らかであるが,ここでは陰嚢部とくに睾丸に及ぼされる外傷に関して詳述してみたい。

文献抄録

仮性副甲状腺機能亢進症とセミノーマ

ページ範囲:P.651 - P.651

 Albright(1941)はある程の腫瘍は副甲状腺ホルモン様物質を出すことを初めて指摘しているが,悪性腫瘍のときに骨転移はないのに高カルシウム血症がみられることがある。仮性副甲状腺機能亢進症を呈する腫瘍の半数近くは泌尿性器組織から出るといわれる。
 すなわち腎実質癌に最も多く,ついで腎盂癌,膀胱,陰茎の癌腫などにみられる。また副腎描出物にも副甲状腺ホルモン様物質が取出されているようなわけで,泌尿器科医はこの問題にはしばしば関係することがある。著者は精上皮腫の症例で骨転移はないのに,急性の副甲状腺クリーゼを呈した文献的にも報告のないまれな症例を経験して報告している。

手術手技

膀胱腫瘍に対するTransurethral resection (TUR)の手術適応と手技

著者: 岡本重禮

ページ範囲:P.653 - P.658

はじめに
 膀胱腫瘍に対する各種の治療のうち高周波電流を利用する内視鏡的手術操作の試みは遠く1910年にさかのぼる。すなわちEdwin Beerが膀胱鏡を通して膀胱腫瘍を凝固したのが最初である。
 その後1924年に至り,凝固波と切除波の両方が発生できる電気手術器(surgical unit)が完成,外科領域に電気メスが登場するが,泌尿器科領域でもこれを応用し,組織の切除が可能となり,内視鏡手術に革命がもたらされた。膀胱腫瘍を切除するという概念は電気凝固とまつたく異るもので,適応を選ぶことにより膀胱腫瘍を根治し得るものである。その後主として米国において,切除鏡,電気手術器の改良とともに,手術の技術も大いに進歩し,膀胱腫瘍の開放的手術が一応体型づけられた今日といえども,TURはもつとも重要な手術手技となつている。

パネルディスカッション

先天性神経因性膀胱の診断と治療(2)

著者: 辻一郎 ,   折笠精一 ,   今林健一 ,   小川秋実 ,   宮崎一興 ,   遠藤博志 ,   黒田一秀 ,   大田黒和生

ページ範囲:P.661 - P.676

Ⅲ.治療
 辻 先天性神経因性膀胱の治療は,1)排尿の指導・訓練を中心とする保存的療法,2)神経学的あるいは泌尿器科的手術による排尿効率改善,3)尿路変更術,に大別され,2),3)にはそれぞれいろいろな方法がある。これらのうちから各症例に応じて最適な方法を選ぶわけであるが,各治療法の限界と適応については今日なお論者の意見はかなり混乱しており,実際問題としていかなる治療を行なうべきかに迷うことがしばしばである。またわれわれの最大目標が排尿効率改善・残尿除去と腎機能の保持改善であるのに対し,患児や家族の最大関心は尿失禁対策であり,しかも排尿効率と尿失禁防止を両立させることが一般に本症では難しいため,治療方針に関し医師と患者側の意志・希望の連絡調整がうまくいかないことも多い。以下,順次討議していきたいと思います。

原著

泌尿器科領域の超音波診断

著者: 渡辺泱 ,   海法裕男 ,   島正美 ,   猪狩大陸 ,   棚橋善克 ,   原田一哉

ページ範囲:P.677 - P.689

はじめに
 戦時中主として潜水艦の水中探知器に用いる目的で急速な発達をみた超音波技術は,戦後漁業や工業方面に広汎に利用され,実用化されている。またその特殊な性質を医用,ことに診断面に応用しようとする試みも活発に行なわれ,脳外科領域,産科領域などではすでに日常不可欠の検査としてとり入れられており,その他内科的外科的にも広い範囲にわたる適用が約束されている。わが国のこの方面に関する技術は世界的にみても水準が高く,日本医学の誇りうる一分野であるといつてもよい。
 一方泌尿器科領域においても,超音波診断導入の必要性は以前から説かれており,わが国では順天堂大グループ1)および岐阜医大グループ2)がその主唱者であつた。しかし,現状においては,泌尿器科クリニックで超音波診断を採用したところは未だまことに少ない。私達は日本超音波医学会第20回研究発表会(昭和46年11月,於大阪)パネル討論において「泌尿器科領域における超音波診断の現状と将来」という主題を担当したが3),本稿ではその講演内容を中心に,将来泌尿器科領域内のどの分野に超音波診断を応用すべきであるかについて論じ,さらに私達が積極的に施行している前立腺の超音波診断について,現在までの成果を報告しようと思う。

男性化を呈した副腎皮質癌

著者: 島崎淳 ,   栗原寛 ,   古谷信雄 ,   松岡政紀 ,   志田圭三 ,   佐藤恒治

ページ範囲:P.691 - P.695

はじめに
 副腎皮質に由来する癌腫の過半数はホルモンの過剰による内分泌活性を有するという。これらの症状はCushing症候群を呈するもの,アルドステロン産生性,男性化または女性化を呈するものなどと多岐にわたり,内分泌学的に興味ある疾患である1)。私どもは最近男性化を主症状とした17歳女子に副腎皮質癌と診断し,手術により加療したのでその概要を報告する。

後腹膜腫瘍を疑わせた大腰筋内顆粒細胞性筋芽細胞腫(Granular Cell Myoblastoma)の1例

著者: 渡辺哲男 ,   近藤元彦 ,   木根渕清志 ,   高木直行 ,   安間嗣郎

ページ範囲:P.697 - P.703

緒言
 いわゆる顆粒細胞性筋芽細胞腫granular cellmyoblastoma(以下G.C.M.と略称)はAbrikos-soff任(1926)1)が5例を報告しmyoblasten myomaと名づけたのが最初である。その後欧米では550例以上2),本邦では50数例の報告が見られるが,現在その組織発生に関して定説がなく筋原説1,12),神経原説7,10),組織球説,線維芽細胞説5),間葉系細胞説19)),多元説18)などの諸説が組織培養あるいは電顕などの研究により発表されてきた。
 われわれはその発生部位が比較的珍らしく,また本邦報告の良性例では最大と思われる本腫瘍を経験したので報告し,合わせて若干の文献的考察を行ないたい。

原発性尿管腫瘍の7例

著者: 吉田和弘 ,   横山良望 ,   富田勝 ,   西浦弘 ,   宮内十三郎 ,   秋元成太 ,   近喰利光 ,   川井博

ページ範囲:P.705 - P.712

緒論
 原発性尿管腫瘍は,泌尿器科領域において近年その症例数は増加する傾向にある。われわれも,宮里1)の4例の報告以後7例を経験したので,若干の統計的観察をあわせて行ない報告する。

尿管狭窄に対するシリコンチューブの経尿道的尿管内留置法

著者: 斯波光生 ,   大橋伸生 ,   山田智二 ,   稲田文衛

ページ範囲:P.713 - P.718

緒言
 尿管切石術後の尿もれや,婦人科手術後の尿管瘻などの保存的治療法として,尿管カテーテルを留置する方法は日常よく行なわれているが,留置した尿管カテーテルが体外に出ていると患者の自由が制限されるだけでなく,カテーテルの自然脱出や細菌感染の危険などがあつて,長期間の留置を続けることは不可能のことが多い。
 この解決法としてSchmitz(1970)はポリビニール管を,Zimskind(1967)は石灰沈着や異物反応のより少ないシリコンチューブを,ともに経尿道的に尿管内に挿入したのちその下端を膀胱内におし込んでおく方法を発表,さらに折笠(1968,1970),Marmer(1970)らは,あらかじめ一定の長さに切つたシリコンチューブをBrown-BurgerCystoscopeで尿管内に挿入,その下端を膀胱内とする方法を考案,ともに癌の転移,浸潤による尿管狭窄や子宮癌手術後の尿管狭窄,尿管腟瘻などに応用して,腎機能の改善に著効をえたと報告している。

睾丸白膜線維腫の1例

著者: 山本忠治郎 ,   身吉隆雄 ,   並河広二 ,   尾上泰彦

ページ範囲:P.719 - P.723

緒言
 睾丸被膜に発生する腫瘍は従来極めて稀なものと考えられていたが,臨床症例報告数からみて近年漸増の傾向にあるように見受けられる。
 われわれも最近左睾丸白膜より発生したと思われる線維腫の1例を経験したので,報告する。

産婦人科患者の泌尿器科的合併症に関する臨床統計的観察

著者: 仁平寛巳 ,   石部知行 ,   田戸治 ,   碓井亜

ページ範囲:P.725 - P.728

緒言
 女子の性器は尿路と密接な関係にあり,そのためそれらの疾患ならびにその処置に際し大なり小なり尿路に対し影響を及ぼす。このため泌尿器科領域からもこのような合併症に対する統計的観察が行なわれてきた。近年手術適応の拡大とともに合併症の発生頻度が再び増加の傾向にあると思われる。今回著者らも産婦人科よりの紹介患者について術前術後の泌尿器科的合併症の発生頻度を検討したのでその成績を報告する。

Urological Letter

女子患者の尿道拡張/Fogarty Catheterの泌尿器科的利用法

ページ範囲:P.689 - P.689

 女子の場合は,実際には尿道狭窄がないのに,尿道拡張を受けている患者があまりにも多いように思われる。われわれは尿道狭窄に対する正しい診断条件を設定すべきである。病理的変化を無視して尿道拡張が行なわれている例が多い。
 もしも尿道狭窄があるとすれば,内尿道切開術を行なうべきである。さもなければ一生拡張をつづけられなければならないのではないだろうか。

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外国文献

ページ範囲:P.729 - P.734

THE JOURNAL OF UROLOGY Vol.106, No.6, December 1971
Renal Emphysema. S.J.Kandzari and D.F.Milam 797
Urologic Aspects of Hippel-Lindau Syndrome.R. S.Malek and L.F.Greene 800

内国文献

ページ範囲:P.735 - P.738


 Kolff型人工腎におけるコイルの反復使用についての検討,植田覚・他:西日泌尿,34;(3),267,1972.
 腎梗塞の1例,徳原正洋:西日泌尿,34;(3),283,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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