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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科26巻9号

1972年09月発行

雑誌目次

図譜・377

IVPにより早期診断のできた腎腫瘍

著者: 徳江章彦 ,   北川龍一 ,   岩動孝一郎 ,   加納勝利 ,   小峰志訓 ,   和久正良 ,   山田義晴

ページ範囲:P.748 - P.749

 患者 63歳,女子。
 主訴 右側腹部鈍痛。

図譜・378

石灰化を伴つた腎嚢腫

著者: 横田武彦 ,   今川章夫 ,   星野嘉伸

ページ範囲:P.750 - P.751

 患者 M.S.,41歳,男。
 主訴 血尿。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・9

尿管腫瘍(2)

ページ範囲:P.754 - P.755

1.乳頭状癌(Papillary Transitional Cell Carcinoma)
 〔症例1〕 K.Y.,48歳,女子。
 6カ月前,突然無症候性血尿が2度あり,某医を受診。膀胱炎の診断の下に薬物療法を受け1週間で軽快した。その後は特別な症状もなく経過したが,2カ月前再び血尿を生じ,その後も断続的に血尿をみるので当科を受診した。膀胱鏡的に左尿管口より腫瘍の突出を認めたため入院。IVPで右腎盂尿管は正常であつたが,左腎盂はほとんど造影されなかつた。左尿管腫瘍の診断の下に腎尿管全剔出術を施行した。尿管腫瘍は周囲組織に浸潤しており,リンパ節転移も認められたため,術後,放射線照射を施行し,退院した。(千葉大泌尿器科)

綜説

睾丸腫瘍

著者: 尾関全彦

ページ範囲:P.757 - P.767

はじめに
 睾丸腫腸の頻度は決して高いとはいえないが,そのほとんどが悪性であるために泌尿器科領域では,きわめて重要な疾患の1つとなつている。重要な疾患ということの裏をかえせば,未知の事柄があまりに多いということであり,したがつてその診断法,治療法とも今後の研究の発展を待たなければならない点が多い。
 現時点では睾丸腫瘍に関していくつかの問題点があるが,1)病因病態生理についての研究が進んでいない,2)本人の自覚症と医師の触診以外には診断の根拠に乏しいこと,3)治療の方針も組織像に依存しているが,混合型や分化,未分化の差が大きいことから,確立されたものがないなどで,この機会にこれらの問題点を再検討してみたい。

手術手技

膀胱腫瘍に対する壁切除と膀胱単純摘出術

著者: 宮崎重 ,   高崎登

ページ範囲:P.769 - P.775

緒言
 膀胱腫瘍の手術的療法に際しては,膀胱部分切除術を行なうか,または膀胱全摘出術を行なうかによつて,尿路変更を必要とするか否かが決定され,後者においては患者の日常生活がかなり制限されることになる。
 膀胱の部分切除術を行なう場合,腫瘍が膀胱の前壁,頂部あるいは尿管口よりも3cm以上離れた側壁や後壁に存在しているときには,単純な膀胱部分切除術が可能である。しかし,膀胱三角部や側壁または後壁で尿管口に接近して腫瘍が発生している場合には,尿管口部を含めて膀胱壁を腫瘍と共に切除することが必要であり,尿管膀胱新吻合術を同時に施行しなければならない。

原著

腎動脈瘤の1手術治験例

著者: 勝岡洋治 ,   村井勝 ,   田崎寛 ,   東福寺英之 ,   川田光三

ページ範囲:P.777 - P.784

緒言
 腎動脈瘤は,従来まれな疾患と考えられていたが,最近腎疾患一般,特に腎腫瘍・腎性高血圧に対する診断法として血管撮影が行なわれるようになり,腎動脈疾患の発見が容易となつた。その中で腎動脈瘤の臨床報告は次第に増加してすでに300例を超えている。本邦においては,1961年勝目の第1例以来自験例を含めて24例を数えている。
 われわれは,背部痛を主訴とする27歳女子にみられた嚢状動脈瘤の1例を経験したので,症例を報告するとともに,若干の文献的考察を行なつた。

重複下大静脈を伴つた下大静脈後尿管の1例

著者: 松村聡 ,   鈴木騏一

ページ範囲:P.785 - P.789

緒言
 下大静脈後尿管は,本来は尿管の奇型というよりも,むしろ下大静脈の胎生期発育の異常によるといわれている。本邦における本症の報告例は1969年初めまでに75例を数えるが,これらの中で,下大静脈に異常を認めたとの記載は,横川,酒井1)が報告した両側下大静脈後尿管の不全型と考えられる症例以外にはまつたく認められない。
 われわれは最近,下大静脈が前後に二分され,しかも尿管が,この二分された下大静脈の間を走行しているという珍しい症例を経験したので,多少の文献的考察を加えて,ここに報告する。なお本症例は対側の腎結核があつたために発見されたものである。

後腹膜嚢腫と思われた過剰腎所属のDistal Ureteral Atresia—(附:Distal Ureteral Atresiaの分類)

著者: 川口安夫 ,   伊藤芳雄 ,   上田正山

ページ範囲:P.791 - P.799

緒言
 最近,われわれは後腹膜嚢腫と思われた過剰腎所属のDistal Ureteral Atresiaの1例を経験した。文献上,尿管奇型であるDistal Ureteral Atresiaは極めて少く,しかも巨大な嚢腫状の尿管が重複腎盂でなく過剰腎に所属していたのは非常に稀なので報告すると共に,本症について文献的考察を加え,分類法を考えてみた。

前立腺癌の抗男性ホルモン療法の予後ならびに統計的観察

著者: 広野晴彦 ,   能美稔 ,   高橋厚 ,   淡輪邦夫 ,   秋元成太 ,   中神義三 ,   陳泮水 ,   川井博

ページ範囲:P.801 - P.806

緒言
 本邦における前立腺癌発生頻度は,欧米のそれに比し極めて低いといわれているが,近年,平均寿命の延長ならびに診断技術の向上に伴い増加の傾向を示しており,前立腺癌は前立腺肥大症とともに老人病として重要な疾患となつている。
 今回,日本医科大学附属第一病院泌尿器科において40例の前立腺癌患者を集計しえたので,これらにつき抗男性ホルモン療法の予後ならびに統計的観察を試み,ここに報告する。

いわゆるPseudoseminomaと判定された幼児睾丸腫瘍の1例

著者: 三樹明教 ,   成瀬克邦 ,   工藤茂宣 ,   舟生富寿 ,   永井一徳

ページ範囲:P.807 - P.812

緒言
 小児睾丸の悪性腫瘍は比較的まれであり,しかもその大多数は奇形腫,胎児性癌で,セミノーマはきわめてまれとされている。しかし,本邦では西尾11)の集計以来1971年10月までに,交献上でほぼ26例を数えることができる。われわれは8ヵ月の幼児の左睾丸に発生した腫瘍を摘出,組織学的所見によりセミノーマと診断したが,さらに精査を加えたところ,その判定に問題が存したことが明らかにされたので,症例の詳細を報告し,検討を加える。

睾丸類表皮嚢腫の1例—相同性腫瘍の観点からの考察

著者: 横田武彦 ,   今川章夫 ,   星野嘉伸 ,   山本英一

ページ範囲:P.813 - P.815

はじめに
 睾丸の類表皮嚢腫(Epidermoid cyst)については,本邦でもすでに20例以上の報告をみているが,最近われわれもその1例を経験したので追加報告し併せて相同性腫瘍の観点から検討を行ないその治療方針について考察を試みる。

細菌性ショックに皮膚壊死を伴つた1例—セファロチン静注に起因すると思われる

著者: 田中一成 ,   井上武夫 ,   長田尚夫 ,   平野昭彦

ページ範囲:P.817 - P.821

緒言
 尿管結石を基礎疾患として,大腸菌による細菌性ショック患者に,セファロスポリン系の抗生物質であるセファロチンを静注したところ,著しい局所の疼痛を訴え,静注部位3ヵ所がいずれも壊死に陥つた症例を報告する。

文献抄録

泌尿器科的無症状者のIVPの意義

ページ範囲:P.799 - P.799

 Warranらは400例の腎実質腫瘍の検査において80例が臨床的には無症状であつたことを指摘しているが,腎腫瘍の早期発見は血液化学,細胞学的スクリーニングでは必ずしも十分でない。そこで著者らは高血圧を主訴にしているが,尿路症状のまつたくない558人の患者についてIVPを実施して尿路疾患の発見頻度について検討を加えてみた。
 その成績についてみると,558人中445名(79.8%)は異常所見はみられなかつたが,113名(20.3%)になんらかの異常がみられた。この113名は年齢的には大部分が40歳以上の者で,50歳から70歳までの者がほとんどを占めている。泌尿器疾患としての主なものをみると,腎腫瘍1,卵巣腫瘍2,UPJ狭窄で手術を必要とするもの1,腎結石7,高度の尿管狭窄1,前立腺に関する下部尿路の疾患29,など相当数の泌尿器疾患が無症状のものから発見されている。

Urological Letter・138

1つの切開創による複数手術

ページ範囲:P.821 - P.821

 麻酔下の患者に2つあるいはそれ以上の手術をする場合には,1つの切開創で行なう方が良い。結石除去のために腎および尿管を露出する際に,腹膜を開き虫垂を切除することはむずかしいことでもないし,有害なことでもない。左尿管結石の手術の際に限られた切開創から虫垂を出すことはかなり困難である。1つの切開創から一般外科医と協同して前記のような手術を何年間かにわたつて何回か行なつたが,合併症も起こさずうまくいつた。虫垂切除は腎あるいは尿管の手術の前に行なう。
 恥骨後式前立腺摘出術の際に横切開で行なえば,鼠径ヘルニアの手術に対して内側から広い視野が得られる。恥骨後式は恥骨上式よりも止血に便利なので好ましい。

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外国文献

ページ範囲:P.825 - P.828

BRITISH JOURNAL OF UROLOGYVol.44, No.1, February 1972
Conservation of the Kidney in Operations forTumours of the Renal Pelvis and Calyces: Areport of 26 cases. Sava D.Petkovic 1
Errors and Pitfalls in the Management of AcuteUrinary Obstruction complicated byUraemia with Special Reference to Stone. E.Proca 9

内国文献

ページ範囲:P.829 - P.830


 腎不全を合併した消化管出血,Benjamin Castleman,Betty U.McNelly:医学のあゆみ,82;(2),98,1972.
 蔗糖濃度勾配法による腎不全患者の血清アミラーゼの分析について,小島健二:臨床病理,20;(6),425,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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