文献詳細
原著
慢性膀胱炎類似の膀胱鏡像を呈した原発性浸潤性膀胱癌の2例
著者: 林田重昭1 小宮俊秀1 桐山啻夫1 酒徳治三郎1
所属機関: 1山口大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.51 - P.56
文献概要
原発性膀胱癌はその大多数が膀胱内腔に向つて乳頭状または実質性の腫瘤を形成し,また一部散在性の小結節状ないしは潰瘍状に浸潤する。腫瘤を形成するときはもとより後者の場合においても,粘膜表面の不整,壊死状および白色痂皮様物質や粘液膿性物質の付着,石灰沈着など,内視鏡的所見を十分検討しておけばその診断は比較的容易である。しかし,膀胱癌のうちには比較的まれであるが頑固な膀胱炎様症状をきたし,注意深い膀胱鏡検査を繰返しても,その悪性変化を断定しがたいものを経験することがある。これらは一般に慢性または結核性膀胱炎と酷似した像を呈し,しばしばこれらの誤まつた診断のもとで治療を継続することになりやすい。
現在まで私達はこのようないわゆるPrimaryinvasive carcinoma of the bladder simulatingchronic cystitisともいうべき2症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
掲載誌情報