文献詳細
原著
術前後にAHLG®(抗—人リンパ球グロブリン)を使用した腎移植の1例
著者: 舟生富寿1 白岩康夫1 三国恒靖1 青木敬治1 平山順朗1
所属機関: 1弘前大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.823 - P.827
文献概要
腎移植の臨床応用は1936年Voronoyが急性腎不全患者へ屍体腎を用いて同種腎移植を行なつたのに始まる。その後種々の免疫反応抑制法が施行されるようになり,腎移植の成績も向上し,症例数も増え,現在全世界で総計7,000余例に達しようとしている。臨床的にはなお種々の問題を抱えているとはいえ,腎移植は人工血液透析とともに腎不全の治療法として確立されてきた観がある。
われわれも昭和46年10月,慢性糸球体腎炎による腎不全患者に同種腎移植を施行したが,移植患者の死亡がpredonin投与による細菌感染に対する抵抗力の減退が一因をなすとの考えに立ち,predonin投与量をできるだけ少なくしようとして,移植前後にAHLG®(抗—人リンパ球グロブリン)を使用した。その結果,predonin, imuranの投与量を減量し,predoninは術後1ヵ月で中止することができた。またgraftも良好な機能を維持しえたので多少の文献的考察を加えて報告する。
掲載誌情報