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原著
馬蹄鉄腎に合併したGrawitz腫瘍の1例
著者: 本村勝昭1 小柳知彦1
所属機関: 1北海道大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.829 - P.833
文献購入ページに移動馬蹄鉄腎に水腎症,腎盂腎炎,結核などの2次的病変が起こりやすいことは,周知のことであるが,腫瘍合併の報告は少なく,特にGrawitz腫瘍の合併は本邦文献上に土屋・豊田(1957),吉田(1958),溝口(1965)の3例のみである。最近われわれは血尿を主訴とする馬蹄鉄腎の1例で左腎に合併したGrawitz腫瘍の1例を経験したが,その診断過程において,尿細胞診は3回ともclassⅠ,大動脈撮影検査でも腎癌に特有なhypervas-cularityやpooling and puddlingも見られなかつたが,CRP陽性,貧血,血清蛋白分画の異常,血沈の亢進などのtoxic signがあるため悪性腫瘍を疑い積極的試験手術を行なうことにより,腫瘍と判明し腎剔除術を施行した1例を報告する。
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