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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻11号

1973年11月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・11

腎(1)

著者: 狩野健一 ,   桜井叢人 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.890 - P.891

 腎は線維被膜に被われ,腎実質は腎単位と集合管よりなる。腎単位はさらに腎小体と尿細管に分けられる。
 試料と方法 試料は36歳の遊走腎患者の腎固定術の際得たものである。オスミウム酸で固定し,酢酸ウランおよび鉛の二重染色を施した。

図譜・405

停留睾丸に合併した副睾丸分離症

著者: 近藤厚生 ,   鳥居肇

ページ範囲:P.892 - P.893

 患者 藤○義○,33歳,男子。
 主訴 左側腹部鈍痛。

図譜・406

単睾丸症

著者: 廣野晴彦 ,   高橋厚 ,   川井博 ,   森山昌樹

ページ範囲:P.894 - P.895

 症例 藤○敬○,34歳,農業。
 主訴 右陰嚢内容の欠如。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・23

副腎腫瘍(1)

ページ範囲:P.898 - P.899

1.クッシング症候群(Cushing's Syndrome)
 症例 武田某,25歳,女子。
 主訴 満月様顔貌,体躯の肥満,腰痛。

手術手技

腎手術の術中および術後の合併症とその対策

著者: 土屋文雄

ページ範囲:P.903 - P.913

 術中術後の合併症を防止するためには術前の諸検査ならびにその対策が大きく関係する。なかんずく大切なことは呼吸ならびに循環器系,肝機能,腎機能,尿路の形態,尿路感染の有無,起炎菌の種類および血清の化学分析などをあらかじめ知つておくことである。
 尿路感染があれば尿路の形成手術はしばしば失敗するし,その内容によつて創面が汚染されれば感染により創の哆開など不快な事件が起こる。腎機能に関しては腎総機能と分腎機能が必要であり,反対側の腎機能を術前に知つておく必要がある。術中の血圧および体液平衡の変化に対処して正常の内的環境を維持するためと術中術後の諸要求に応ずる腎の能力を知つておくためである。呼吸および循環系の機能障害は老人に多いから十分に検討しておくことが大切である。

原著

薬物負荷レノグラム

著者: 土田龍也 ,   岡利之 ,   越智宏暢 ,   三瀬徹

ページ範囲:P.915 - P.922

はじめに
 131I—ヒップランレノグラムは総腎,分腎機能検査をはじめとし腎性高血圧,尿路系閉塞などの診断に日常広く利用されているが,その臨床的応用としてレノグラム実施時に腎局所血流や尿分泌機構に影響を及ぼす薬物を負荷し,その前後におけるレノグラムの変化を比較してみた。この薬物負荷レノグラムの知見は患側腎の決定,機能障害程度,潜在ないし残存機能および回復機能の有無などの診断に有力な情報を提供するものとおもわれるので報告する。

乳児腎結石症の1例

著者: 入倉英雄 ,   千野一郎 ,   増田富士男 ,   小林睦生 ,   南武

ページ範囲:P.923 - P.928

緒言
 小児の腎結石症の報告例は比較的に稀なものである。ことに乳児の腎結石の報告例は極めて少ない。われわれは,生後3ヵ月の排泄性腎盂撮影(以下IVPと略す)では結石様陰影はみられなかつたが,生後約7ヵ月の腹部単純撮影で左腎結石を発見,さらにその後約1年1ヵ月目のIVPでは明らかな鋳型結石としてみられた乳児(男)の腎結石症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。本邦での乳児(1歳未満)の腎結石症は自験例を含め7例である。

馬蹄腎および水腎症を伴つた18トリソミー症候群の1例

著者: 福岡洋 ,   寺島和光 ,   松井一郎

ページ範囲:P.929 - P.933

緒言
 近年染色体異常による疾患の研究が進み,染色体異常を伴ういくつかの症候群が明らかにされてきた。
 これらのうち常染色体が1本過剰で多発奇形を合併するものがトリソミー症候群と呼ばれており,現在のところD1(13)トリソミー症候群,18トリソミー症候群,ダウン症候群,Cトリソミー・モザイク症候群,猫目症候群が判明している。

Parapelvic cystの1例

著者: 松岡俊介 ,   福島修司 ,   小川勝明 ,   岩本晃明

ページ範囲:P.935 - P.940

緒言
 Parapelvic cystは,腎洞に存在し嚢胞が大きくなるにしたがい腎盂や,時に腎実質を圧迫することにより腎機能に影響を与える。発病が比較的高齢であるため,症状により悪性腫瘍やその他の合併症と鑑別診断する必要があり,また,今日でも病因論につきなお議論されている疾患である。
 私達は,最近parapelvic cystの1例を経験したので,内外の文献的考察を加え報告する。

先天性膀胱頸部通過障害の2例

著者: 相戸賢二 ,   神崎仁徳

ページ範囲:P.943 - P.947

 幼児における下部尿路通過障害は,従来多くの文献に報告されているが,その病因の決定は必ずしも容易でなく,治療方針も報告者によつて一定していない。とくに,下部尿路通過障害としばしば同時に存在する上部尿路の変化が,前者から二次的に発生したものか,あるいは尿管開口部異常に基づく二元的なものかの鑑別は困難で,しかもこれを区別することは治療上重要なことである。今回,われわれは,手術に先立つてかなり長期間の尿道留置カテーテルを行なうことによつて,患児の全身状態を改善し,同時に有効な治療方針をたてた2例を経験したので報告し,本方針のご批判を抑ぐしだいである。

砒化水素中毒による無尿症治験例

著者: 石川登喜治 ,   小柳知彦 ,   稲田文衛 ,   松野文夫 ,   須藤進 ,   広田紀昭

ページ範囲:P.949 - P.954

 砒化水素の吸収による急性中毒症は各種の職場において起こる可能性がある3,4,17)。臨床的には強い溶血による重篤な諸症状を来し,急性腎不全・無尿症となることもしばしばあるが,この際の予後は悲観的とされている。以下砒化水素吸収による急性腎不全症の1例を人工透析により治癒せしめることができた経験を記す。

横浜市立大学泌尿器科における1961〜1970年の10年間の小児泌尿器患者の統計的観察

著者: 公平昭男 ,   高橋剛 ,   日台英雄 ,   高井修道

ページ範囲:P.955 - P.960

緒言
 近年,わが国において小児泌尿器科学は少数の先覚者のなみなみならぬ努力により進歩し診断治療の発展と共に一般にその重要性が認識されつつある。このたび,著者らは横浜市立大学泌尿器科における1961〜1970年の10年間における小児泌尿器疾患の統計的観察を試みたので報告する。

文献抄録

偏腎性疾患の腎摘除と高血圧症

ページ範囲:P.928 - P.928

 Goldblatt(1934)のラットによる偏腎性高血圧症の実験成果以来,各種腎疾患に伴う高血圧症例に偏腎摘除が行なわれているが,その成功率は報告者により10%から70%とかなりの幅がみられる。最近では降圧剤の普及につれて,偏腎摘除の意義が更に問い直されている現状であるので,著者らは47例の腎疾患を伴う高血圧症の偏腎摘除後の経過を分析解説している。症例は女性21名,男性26名で,年齢は15歳から63歳にわたつている。症例中35名(73%)が術前に降圧剤を服用していた。症例の偏腎疾患は腎血流障害16例,水腎症10例,慢性腎盂腎炎9例,腎結核5例,腎腺癌5例,発育不全腎2例である。術後の血圧は立位・臥位について拡張期・収縮期圧を計測した。効果判定については拡張期圧90mmHg以下,収縮期圧140mmHg±20を著効例とし,拡張期圧90〜110mmHgまでを有効例とした。

Urological Letter・155

手術のためにPenisをErectさせる方法

ページ範囲:P.940 - P.940

 Penisの手術に際してPenisをerectさせておいた方が都合のよいことがある。筆者は過去2年間にこんな経験を数例経験した。患者に話して,刺激して反射性erectionを起こさせようと試みることは理論的には成功するかもしれないが,実際的ではない。その代りとしては,Penisの根部を駆血帯で締めておき,PenisのCo-rporaにヘパリンを添加した生理的食塩水を注射して膨脹させるのが最良の方法だろうと思う。
 実施方法:2本のscalp vein needlcをBuckの筋膜を通して陰茎海綿体中に刺し,この2本の針に各々50mlのヘパリン添加生食水(生理食塩水100mlにヘパリン10mgを加えたもの)を満たした注射器に接続する。Penisの根部に駆血帯を装用する。ついで前述の各注射器から前記ヘパリン溶液を注射する。そこで満足すべきErectionが起こる。注射した液の一部は針の周囲から,あるいは,前に海綿体に切開しておいたりすればそこからも漏れて出る。したがつて,皮下浮腫を予防するには陰茎の皮膚を通してよりも,むしろ露出したうえで筋膜を通して海綿体中に針を刺して行なつた方が良い。

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内国文献

ページ範囲:P.963 - P.965


 キール型人工腎による血液透析の研究−1人用透析液供給装置を使用した2人同時透析における透析装置の直列式と並列式連結の比較,田中求平・他:泌尿紀要,19;(1),3,1973.
 腎腫瘍100例の臨床,原田忠・他:泌尿紀要,19;(1),9,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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