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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻12号

1973年12月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・12

腎(2)

著者: 狩野健一 ,   桜井叢人 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.982 - P.983

 試料と方法 試料は47歳の遊走腎患者の腎固定術の際得たものである。オスミウム酸で固定し,酢酸ウランおよび鉛の二重染色を施した。
 第1図 遠位尿細管:先端のまるい背の高い細胞で核はやや上方に位置している。基底膜(Bm)に面した部位の細胞膜は深く陥入し(矢印),その間にあるミトコンドリア(M)は概して細長い。ゴルジ装置(Go)は核の近傍に見られる(×10,000)。

図譜・407

腎盂腫瘍と両側腎血管の線維筋性過形成

著者: 岡田敬司 ,   小川由英 ,   秦野直 ,   田崎寛

ページ範囲:P.984 - P.985

 患者 松村某,58歳,男。
 現病 歴昭和48年5月血尿を認め,近医でIVP施行。腎腫瘍の疑いで当科に紹介され入院した。

図譜・408

尿管憩室

著者: 廣野晴彦 ,   藤間弘行

ページ範囲:P.986 - P.987

 症例 小○源○ヱ○,75歳,商業。
 主訴 苒延性排尿障害,夜間頻尿。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・24

後腹膜・副腎腫瘍(2)

ページ範囲:P.990 - P.991

1.後腹膜神経節神経腫(Retroperitoneal ganglioneuroma)
 症例 遠○達○,41歳,女。
 主訴 頻尿および排尿痛。

手術手技

腎臓破裂の手術の適応と手術方法

著者: 南武

ページ範囲:P.995 - P.1003

はじめに
 腎破裂の手術の適応を決めるためにはまず腎損傷にはどんな種類とどんな程度のものがあるかを知つていなければならない。種類はしばらく措いて,程度についてのべる。
 分け方には種々あるが,臨床症状およびレ線所見から当てはめやすいという点と実用的であるという点で,比較的簡単なSpenceらの分類に従つて話を進めていくことにする。第1図のごとく第1群(原著ではMinor Fracture)は腎実質だけの小裂創,あるいは腎盂あるいは腎杯の粘膜にも少しの裂創ができた,あるいは被膜下出血程度のもので,終始保存療法で治り,かつ後遺症も残らないもの。また第3群(Shattered Kidney)はショックの治療をつづけながら腹部単純,IVPをとり,用意のでき次第手術しなければならないようなひどい例である。しかし,この第3群の手術はほとんど腎摘に終わることが多いので,ここでは第2群(Major Fracture)を対象としての手術手技を主として述べることにする。

Urological Letter・156

Queyratの紅花肥厚症—Erythroplasia

ページ範囲:P.1003 - P.1003

 本症は稀な陰茎疾患であり,これらのうち25%が臨床的癌にまで進行するといわれている。われわれ自身2例を扱つたが,2つの異なつた治療で治つた。
 第1例は,初診の1959年には35歳で,当時旧い包皮切開術後の瘢痕部から起こつた扁平上皮癌があり,また亀頭には丘疹があつた。これらを切除したが,後者は病理学者によりQueyratの紅色肥厚症と診断された。その後亀頭に斑状物が1966年,1967年,1971年と3回生じ,その都度切除した。それらの病理学的診断はそれぞれJntraepidermal carcinoma (Erythroplasia of Queyrat),早期扁平上皮癌,およびPreinvasive carcinoma (非侵入性癌)であつた。1971年以後は再発していない。

原著

尿路感染症に関する研究—ⅩⅢ.前立腺摘除術後の尿路留置カテーテルに伴う細菌尿について

著者: 石部知行 ,   碓井亜 ,   仁平寛巳

ページ範囲:P.1007 - P.1010

 前立腺腺腫摘出後に尿路の確保と止血を目的として尿道にカテーテルが挿入されるが,この際発生する感染防止のために各種の方法が試みられてきた6,15)。しかし,わが国では尿排出経路の完全なclosed systemを採用しているところはなお少なく,抗生物質の投与にも限界のあることが知られている5)
 今回著者らは恥骨上式前立腺摘除術後の尿路感染の動態を尿中細菌数を示標として観察したのでその成績を報告する。

日本人腎区域動脈の鋳型解剖

著者: 新井正治 ,   今村薫 ,   西野栄一

ページ範囲:P.1011 - P.1017

 人の腎動脈の解剖学的研究は腎区域動脈の提唱される以前,古くから世界各国において多数の報告があり,わが国でも久保(1907),飯島(1925),安達(1925),山村(1928),足立(1928),井上(1932),宮内(1933),鈴木(1937),星合(1939),内野(1950),鰺坂(1952)らの報告がある。
 Graves F.T.(1954)が腎区域Segmenta renaliaおよび腎区域動脈Renal segmental arteriesの論文を発表して以来今日に至る18年間に20有余の報告が続出しているが,わが国では僅かに小田島の発表があるのみで,未だ多数例についての統計的調査はまつたく見当らない状態である。

中心静脈栄養による急性腎不全の治療

著者: 田利清信 ,   吉田謙一郎 ,   宗菊次郎 ,   山下宏治

ページ範囲:P.1019 - P.1025

緒言
 Hallberg, Wretlind1〜4)の静脈用脂肪製剤(Intra-lipid),Dudrick5)の小児外科および重症患者における著効例の報告以来,本邦でも静脈栄養に関心が集まり,外科を中心に本年はすでに第6回完全静脈栄養研究会が開催されて論文も出はじめているが6〜8),当院においても独自に腎不全,その他の重症患者に対して中心静脈栄養を試みて効果があつたので,急性腎不全症例を中心に報告する。

原発性三重癌の1例

著者: 藤井浩 ,   塩崎洋 ,   高井修道

ページ範囲:P.1029 - P.1033

緒言
 最近癌の診断,治療の進歩と共に重複癌の報告が多数みられるようになつて来た。しかし,1個体にまつたく別個に発生したと考えられる原発性三重癌の症例は稀である。われわれは膀胱,喉頭,胃に発生した三重癌の1症例を経験したので報告すると共に本邦における三重癌以上の重複癌症例を集め統計的観察を試みた。

結石嵌入部にみられた尿管の腺性化生の2例

著者: 松下高暁 ,   広田紀昭 ,   平野哲夫 ,   佐々木憲一

ページ範囲:P.1035 - P.1039

緒言
 尿路粘膜の腺性化生は比較的稀な疾患であり,かつ臨床的診断,治療のみならず,病理組織学的にもいろいろと問題が多い。文献上,膀胱の腺性化生についてはかなり多くの報告をみるが腎盂尿管の腺性化生疾患についての報告は予想外に少ないようである。われわれは尿管切石術の際,結石嵌入部に発見された尿管ポリープの一部に典型的腺性化生をみとめた2例について報告する。

尿管ポリープの2例—本邦報告73症例の統計的観察

著者: 林田重昭 ,   小金丸恒夫 ,   桐山啻夫 ,   山本憲男

ページ範囲:P.1041 - P.1046

はじめに
 本邦においては原発性尿管癌はすでに400例ちかい集計がなされているが,尿管ポリープの報告は比較的少なく,1970年津島ら1)が40例の統計的観察を試みているがその後の統計的観察はなされていない。私たちの調べえた範囲では現在まで71例の報告が認められ,さらに最近の報告の増加とあいまつて本症が尿管癌ときわめて類似したレ線学的所見を呈し,かつしばしば血尿や側腹部痛を認め,さらに結石との合併も多くこれらとの鑑別診断をはじめ治療面にたいしても興味あるものと考えられる。
 最近私たちは本症2例を経験したので簡単に報告するとともに,本邦において現在まで尿管ポリープとして報告された71例に自験2例をくわえ統計的観察を行なつてみたい。

射精管結石

著者: 池上茂

ページ範囲:P.1047 - P.1051

まえがき
 前立腺結石は別として,一般に精路(genital-tract)の結石形成は極めてまれなもので,内外文献を合計しても50例に満たない。著者は慢性血精液症を主訴とする患者において射精管に嵌頓した結石の症例を経験したので,その治験を報告するとともに若干の考察をおこなうことにする。

神奈川県立こども医療センターにおける1970年〜1972年度泌尿器科の臨床統計的観察

著者: 福岡洋 ,   寺島和光 ,   宮崎一興 ,   公平昭男

ページ範囲:P.1053 - P.1059

緒言
 神奈川県立こども医療センターは小児総合医療機関として1970年5月開設されたわが国でも数少ない小児専門病院で,ベッド数約330を有する。このうち泌尿器科は常勤医師2名,専用ベッド10〜11床,外来診療は週3〜4日である。
 当センターが開設されてから3年間(1970年5月〜1973年3月)の泌尿器科外来,入院患者および手術術式について統計的観察を試み,およその小児泌尿器科の傾向が判明した。

文献抄録

Gallium 67 citrateによる睾丸腫瘍の移転早期診断

ページ範囲:P.1039 - P.1039

 睾丸悪性腫瘍の治療は該疾患のstagingの決定が大切で,特に転移の有無の決定が最も肝要である。著者はGallium 67 citrateによる睾丸腫瘍転移巣のスキャンニングを27例の患者について実施して,従来の血液尿の生化学的検査,胸部レ線,肝スキャン,後腹膜リンパ管撮影,後腹膜リンパ節清掃による所見と対比検討した。Gallium−67 citrate 3 mc静注後48時間して全身スキャンを行なつた。著者は4症例について全身スキャンの図説を以て示している。第1例は右側睾丸奇型癌の患者で,リンパ管造影では右旁大動脈節に転移陽性の所見があつたが,G—67スキャンは正常,またリンパ節清掃による36のリンパ節でも転移はなかつた。第2例は胎生癌の後腹膜転移がリンパ管造影で,また胸部レ線でも転移巣が証明されていたが,G−67スキャンでもこれらが明らかに示されている。

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内国文献

ページ範囲:P.1061 - P.1062


 熱傷ショックとその対策──腎を中心として,田中大平:外科治療,29;(5),509,1973.
 慢性尿毒症に合併せる血性心のう炎とその治療,佐藤護・他:臨床外科,28;(10),1467,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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