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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻2号

1973年02月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・2

睾丸(1)

著者: 外川八洲雄 ,   狩野健一 ,   桜井叢人

ページ範囲:P.90 - P.91

 睾丸の精細管には一連の精細胞の系列とこれを支持,栄養するセルトリ細胞がある。近年精子形成の細胞学的研究が進み,精祖細胞にもA型,B型などの分化の諸段階が区別されている。
 試料と方法 試料は31歳の副睾丸炎の患者の健側睾丸より得たものである。グルタールアルデヒド,オスミウム酸で二重固定し,酢酸ウランおよび鉛の二重染色を施した。

図譜・387

腎盂軟結石症

著者: 沼沢和夫 ,   横山良望

ページ範囲:P.92 - P.93

 患者 27歳,女,会社員。
 主訴 発熱。

図譜・388

原発性前立腺結石の1例

著者: 井川欣市 ,   安達徹

ページ範囲:P.94 - P.95

 46歳,男子。初体験の急性尿閉を主訴として来院,これまで排尿困難を自覚したことはなかつたという。580mlの導尿尿は黄褐色溷濁を呈し,蛋白反応(+)で沈渣物中に多数の白血球と桿菌を認め培養にて緑膿菌を証明した。直腸内診で小鶏卵大に腫大せる前立腺を触知し,その表面は凹凸不平で硬く,クレピタチオンを証明した。血液化学所見はCa 4.7mEq/L, P 5.3mEq/L, Alkalinephosphatase 9.0 K.A.u., Acid phosphatase 3.0 K.A.u.といずれも正常値を示した。骨盤部単純撮影像にて恥骨結合部に5×5cmのほぼ円形をなすび漫性小結石集塊を認め,個々の結石陰影は直径1〜10mmの多岐にわたつていた(第1図)。腎尿管膀胱部単純撮影および排泄性尿路撮影像より上部尿路には異常所見のないことが判明したが,下降性膀胱撮影像では上記の結石集塊陰影像の外に膀胱底部の軽度上昇と多数の二次性膀胱憩室が認められ,かなり長期間にわたり無自覚的な排尿障害が持続していたことを思わせた(第2図)。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・14

膀胱腫瘍(4)

ページ範囲:P.98 - P.99

1.原発性膀胱横紋筋肉腫
 66歳,女子。
 昭和39年8月,肉眼的血尿を主訴として受診した66歳女子。両側尿管皮膚瘻設置術を施行後,Tes—pamin, Endoxanの投与を行なつたがまつたく効果なく同年11月死亡。剖検により膀胱右側壁原発の筋肉腫と診断された。浸潤は子宮,腟,直腸,回盲部におよび,両肺,大網に広範な転移が認められた。

綜説

急性および慢性前立腺炎

著者: 豊田泰

ページ範囲:P.103 - P.115

はじめに
 前立腺炎は独立して終始することはまれで,少なくとも80%位は隣接する精嚢腺と炎症経過をともにするといわれ,Adnexitisと称する人もいる53)。したがつて,臨床的に正確さを期せば前立腺・精嚢腺炎(prostato-vesiculitis)というべきであろうが,繁雑さを避けて,この前提のもとに前立腺炎と呼ぶことにする。
 前立腺の炎症を一応次のように分類してみる。特異性炎については,紙面に制限もあり,分担も異なるので触れない。

Urological Letter・144

尿失禁/外来での除睾術

ページ範囲:P.115 - P.115

 Stress incontinentiaあるいはurgency incontin-entiaあるいはまたその両者の混合した場合でも,その原因が何であろうと,つまり利尿筋の運動障害,尿性器隔膜および括約筋の代償性失調,心因性膀胱機能失調,軽度の神経性膀胱機能障害たとえば糖尿病あるいは経尿道的切除術後のstress incontinenceのようなときでも,筆者はimipramine hydrochlo-ride(Tofrani)を単独に,あるいはpropanthelinebromide(Pro-Banthine)とTofranilとを併用してかなり成功している。Tofranilは神経末端でのノルエピネフリンの摂取を障害することによつて,アドレナリンのシナップスの相乗作用を生ずるのである。Pro-Banthineは抗コリン性製剤として処方されるわけで,これは副交感神経系の神経末端におけるneural impulsesを抑制するし,交感神経および副交感神経系の神経節におけるneural impulsesを抑制するのである。Tofranilもまた抗コリン性効果を持つており,Probanthineの効果に付加的なはずで,共同作用的と考えられるべきではない。副作用として口渇や頻脈があることがある。

手術手技

腎摘除術—被膜下腎摘除術の適応とその方法

著者: 大堀勉

ページ範囲:P.117 - P.123

 腎摘除術は泌尿器外科における代表的な手術の1つである。
 腎摘除術の適応となる疾患は,病変の進行した腎結核,腎結石,膿腎症,水腎症,萎縮腎,あるいは腎腫瘍,腎動脈狭窄による偏腎性高血圧症などであり,時には正常腎でも移植する腎を提供するために摘除されることがある。ただ,腎を摘除する場合,対側腎の機能が生命保持に十分であることが条件となる。

原著

腎杯憩室の2例

著者: 外川八洲雄

ページ範囲:P.125 - P.130

緒言
 腎実質内の空洞が腎杯と交通し,かつその内壁が移行上皮でおおわれている一群の疾患は,1841年Rayerによつて報告されたのが最初であるといわれている1)。最近,当教室でその2例を経験したので報告し,あわせて本邦例148例についての一般臨床事項をまとめてみたい。

腎血管腫の3例

著者: 線崎敦哉 ,   金澤稔

ページ範囲:P.131 - P.138

緒言
 腎血管腫は従来,稀な疾患とされており,かつ臨床的には少数例を除いてそのほとんどが腎剔除術後に発見されている。
 われわれも過去2例,最近1例,腎盂腫瘍の疑いで腎尿管全摘術を行なつたのち,腎血管腫と診断された症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

特異な脳波所見を示した特発性腎出血の4例

著者: 今林健一 ,   松村聡

ページ範囲:P.139 - P.144

 いわゆる特発性腎出血とは常用の臨床検査ではその原因を明らかにし得ない腎出血に対する症候診断名である。Sheeleら1)によれば病理組織学的に出血の責任病巣をみつけ得る例もあるが多くの例では不明であるとされている。原田ら2)によれば特発性腎出血の原因は,1)腎血流障害を伴う自律神経異常,2)腎低酸素症に伴う毛細血管透過性亢進,3)種々の腎炎および腎盂炎,4)アレルギー性変化,5)腎杯静脈交通,および6)小病巣よりの出血,の6種に分類されているが,このほかにも各研究者によりそれぞれ異なつた見解が示されており未だ定説はない。
 一方,腎出血と自律神経との関係については,Broca (1894)が始めて指摘して以来Klemperer3),Reilly4),稲田5),仁平6),栗林7)らの数多い研究報告がみられるが,脳波所見と対比して検討した報告は後藤ら8)のほかには意外に少ない。今回われわれは血尿を主訴として来院し,cystometryによつて高位中枢障害を発見し,更に脳波検査によつてこれを確認したので向中枢性の薬物療法を行なつて血尿を消褪せしめ得た4例を経験したので報告する。

幼児に発生した原発性膀胱横紋筋肉腫の1例

著者: 瀬野俊治 ,   工藤茂宣 ,   木村正方

ページ範囲:P.145 - P.151

緒言
 われわれは泌尿器科領域でもきわめてまれな,3歳の幼児に発生し,外尿道口より露出した有茎性の膀胱横紋筋肉腫例を経験したので報告するとともに,本邦における18歳未満の膀胱肉腫についての集計を行ない,興味ある知見を得たので報告する。

尿路感染症の起炎菌とその薬剤感受性—昭和41年〜昭和45年度尿路分離菌の統計的観察

著者: 江田亨 ,   神永陽一郎 ,   西平京子 ,   松岡俊介

ページ範囲:P.155 - P.162

 近年化学療法の発展はめざましいものがあり,臨床各科領域の感染症の治療および予防上多大の貢献をもたらしていることは衆知の事実である。他方医学の急速な進歩により,菌側あるいは宿主側の諸要因が変化するにともなつて,感染症は大きな変貌をきたし1,2),抗生物質,ステロイドホルモンの多用などとあいまつて,菌交代症3),ことに従来弱毒菌あるいは非病原菌としてかえりみられなかつたグラム陰性桿菌(以下桿G (−)菌)による感染症の増加4,5),真菌感染症の誘発6)など,臨床各科領域で多くの新らしい問題点が提起されている。
 尿路感染症は,泌尿器科はもとより,内科,産婦人科,外科,小児科など臨床各科にわたり日常ありふれた感染症で4,7〜10),細菌感染症のなかでも最も発生頻度の高い疾患の一つであり,また病院内感染のなかでも重要な位置をしめしている11)。しかも化学療法その他の治療法の進歩にもかかわらず,むしろ増加の傾向にあるとさえいわれている8)。かかる現状において,尿路感染症の起炎菌の様相およびその薬剤感受性を,臨床検査の立場から検討することは,本症の診断および治療上意義なしとしない。著者らは,昭和41年1月より45年12月までの5年間に本院中検で尿の細菌培養を行なつた結果を統計的に検討したので報告する。

文献抄録

V.A.C.Groupによる膀胱癌治療の予後

ページ範囲:P.138 - P.138

 V.A.C.Group(Veterans Admi-nistration Cooperative UrologicalResearch Group)では1965年より1970年の6年間に412名の膀胱癌症例を8施設の病院で入院加療し,この内72名の症例について患者の協力の下にこの研究を実施した。72の癌症例はいずれもStage ⅡとStage Ⅲの浸潤癌で,他覚的には転移を認めないし,また以前に治療をうけていない症例である。患者を無作為的に3つの治療群に分けた。第1群は外科的処置のみ,22例。第2群は60Co深部治療のみ,27例。第3群は放射線治療後に外科手術施行23例の3群である。外科的処置は原則として膀胱全摘出と尿路変更が行なわれたが,術者が壁部分切除で完全に腫瘍を摘出し得ると考えた例は部分切除によつたもので9症例がある。60Coの深部治療は4〜5週日に5000radsを回転照射するのを原則とし,術前照射は4〜5週日に4000rads照射してその後4〜6週日後に膀胱全摘出を施行した。病理組織学的検索はすべてF.K.Mostofiによつて行なわれた。

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内国文献

ページ範囲:P.163 - P.165

腎・腎盂
 九州における血液透析療法の現況,吉田陽一・他:西日泌尿,34;(6),585,1972.
 細菌性ショックに関する考察—細菌性ショックによる急性腎不全治験症例—,深見正信・他:西日泌尿,34;(6),604,1972.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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