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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻3号

1973年03月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・3

睾丸(2)

著者: 外川八洲雄 ,   狩野健一 ,   桜井叢人

ページ範囲:P.176 - P.177

 精祖細胞は分裂をくり返し,精母細胞,精娘細胞,精子細胞と分化し,最後に複雑な変態をとげて精子となる。
 試料と方法:第1図は31歳の副睾丸炎の患者の健側睾丸より得たもの,第2図は17歳の陰嚢水瘤の患者の健側睾丸より得たものである。グルタールアルデヒド,オスミウム酸で二重固定し,酢酸ウランおよび鉛の二重染色を施した。

図譜・389

先天性尿膜管開放症と誤診された臍ポリープ

著者: 須藤進 ,   白石祐逸

ページ範囲:P.178 - P.178

 患者 2歳7ヵ月,男子。
 現病歴 生後間もなくより臍部がいつも少し濡れていた。2ヵ月前より頻尿,排尿痛あり,44年9月当科に入院。

図譜・390

膀胱異物(ペンシルホルダー)の1例

著者: 井川欣市 ,   門野稚夫 ,   宮岸武弘

ページ範囲:P.179 - P.179

 患者 佐藤某,24歳,男子。
 主訴 頻尿,排尿終末痛。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・15

後腹膜腫瘍

ページ範囲:P.182 - P.183

1.後腹膜脂肪肉腫(Retroperitoneal liposarcoma)
 患者は74歳,男子。約2カ前より腹部膨満感を覚え,左下腹部に鶏卵大腫瘤を触知する。某内科にて諸検査の結果,後腹膜腫瘍の疑いにて当科を紹介され入院。
 入院時腹部は左肋骨弓より骨盤部にかけて著明に膨隆し腫瘤を触知。Aortography,L-RPの後手術施行。腫瘍は腹腔内に充満しColonは腫瘍の直上にさらに左腎は腫瘍のため正中線を越し右側に圧排されていた。左腎と共に腫瘍を摘出,重量8800g,病理組織学的にStoutの分類のMixed type脂肪肉腫と診断した。

綜説

前立腺肥大症の診断と治療

著者: 酒徳治三郎 ,   本永逸哉

ページ範囲:P.185 - P.192

 わが国においても,人口の年齢構成は近来高齢者増加の傾向を示しており,老年者に対する医療の充実は社会的にも大きな問題になりつつあり,根本的な解決が求められている。老人男子に発生する各種疾患のなかで,前立腺肥大症(以下BPHと略)は,泌尿器科領域における最も重要な疾患の一つであることはいうまでもない。したがつて,臨床にたずさわる泌尿器科医師が本症に接する機会は極めて多く,その診断法,治療法などに関しても,原則的には一応確立されていると考えられ,各施設においてはそれぞれ満足すべき治療成果がえられていると思われる。
 ここでは,BPHの診断と治療について,著者の考え方の概要を述べるとともに,山口大学医学部泌尿器科でわれわれが過去5年間に行なつて来た手術症例を紹介し,手術の適応,合併症などいくつかの問題をとり上げて考察をこころみたい。

手術手技

腎固定術の適応とその方法

著者: 池田直昭 ,   小川由英 ,   置塩則彦

ページ範囲:P.193 - P.202

はじめに
 遊走腎の手術の適応についての統一的な見解は,南1)の述べるごとく,現在なお決定的なものはない。これに関する諸家の報告も臨床症状を中心にして種々の面より検討がなされているが,最終的には2,3)高度の疼痛の反復,血尿の継続,腎盂腎炎,結石の合併が主たるもので,これらは本疾患における主訴として頻度も高く,他の腎疾患との鑑別上重視せざるを得ない症状として,当然手術の対象となり得るものである。更に,これらの症状は遊走腎に伴なう尿管の屈曲,腎茎の伸展,歪曲,およびurodynamicsの低下の結果としての極限点を示す症状であると考えられるので,むしろ,積極的に手術を行なうべきであろう。事実,手術による治療成績も良好であり,上記症状の治癒軽快率は80%前後を示している4〜6)

原著

Grégoir plastic追加6症例

著者: 鈴木三郎 ,   大井鉄太郎 ,   佐々木寿 ,   田林幸綱 ,   川端讃 ,   土屋哲

ページ範囲:P.203 - P.209

はじめに
 膀胱尿管逆流現象(以下VUR)が臨床的に重要な意義のあることが指摘されて以来治療方法,保存的療法の効果とその限界,逆流防止術の適応などに関して各方面から多数の報告がみられる。逆流防止術の術式も多く,各症例について如何なる術式を選択すればよいか,各術式にはそれぞれ長短がありその評価はまちまちである。
 われわれはさきにVURを示した6歳女児,26歳男子の2例2尿管にGrégoir法による術式を施行して報告したが,その後6例11尿管に施行したので追加報告する。

尿道脱の7例

著者: 新井建伯 ,   滝本至得

ページ範囲:P.211 - P.214

緒言
 尿道脱とは,外尿道口より尿道粘膜の外飜脱出した状態で,女子のみにみられ,小児および高齢者に頻度が高いとされている。その脱出程度により,輪状尿道脱と部分尿道脱とに区別する。最近われわれは尿道脱の7例を相次いで経験したのでいささか私見を加えて報告する。

先天性男児前部尿道憩室の4例

著者: 福岡洋 ,   宮崎一興

ページ範囲:P.215 - P.221

緒言
 尿道憩室は従来まれなものとされていたが,近年本症に対する認識も高まり,診断法の進歩もあつてしだいに報告例も増加している。
 しかし,男子小児の症例は少なく,やはりまれなものであるが,これは小児が未だ十分に泌尿器科的検査を受ける機会に恵まれていないためとも考えられる。しかも小児例では排尿障害が強くあらわれ,尿閉や上部尿路障害を伴う場合も多く,早期に適切な診断,治療を行なう必要がある。また幼児期のものでは尿失禁(奇異性尿失禁)を示しながら放置される例もあり,小児での泌尿器科検査は一層普及さるべきものと考えられる。

続発性陰茎腫瘍の3例

著者: 小松原秀一 ,   坂田安之輔

ページ範囲:P.223 - P.228

はじめに
 陰茎に腫瘍転移がみられることは比較的稀であり,最近,三品ら(1971)1)によつて本邦例33例が総括されている。われわれは腎腫瘍,膀胱腫瘍および二次性膀胱腫瘍がそれぞれ陰茎に転移した症例を相次いで経験したが,第1例および第2例は陰茎腫瘍の検索によつてはじめてその原発巣が発見された症例であつた。

尖圭コンジロームの悪性化したと考えられる1例

著者: 松岡俊介 ,   福島修司 ,   岩本晃明

ページ範囲:P.229 - P.232

緒言
 外陰部の尖圭コンジロームは,しばしば見られる良性腫瘍であるが,しかし,時には急速に増大して巨大となり,その外観も癌腫様を呈する異型増殖型のものがある。これは綿密な病理組織学的検査においても悪性像を示さないいわゆるCarcinoma-like Condylomataである。ところが,ごく稀に悪性化を示す症例があり,今までにごくわずかな報告例がみられる。今回私達も尖圭コンジロームとして治療した後,3年10カ月して悪性化像を呈した症例を経験したので,ここに報告する。

停留睾丸のX線学的診断

著者: 酒徳治三郎 ,   小金丸恒夫 ,   広中弘 ,   上領頼啓

ページ範囲:P.235 - P.241

緒言
 停留睾丸は,男子性器奇形のなかで最も頻度の高いものの一つで,臨床上も重要な疾患である。小児期では,陰嚢内容が空虚であるほかは一般に無症状で経過する。しかし,時に鼠径ヘルニア,外傷,捻転,悪性腫瘍などの合併がみられ,さらに思春期後の合併症として造精機能低下のための不妊症の原因となる。
 本症の診断法としては,一般には単純な視・触診法に限られており,症例の大多数はこれによつて一応は診断を下すことができるので,特殊的診断法の開発がなおざりにされていた。しかしながら,症例によつては睾丸の停留部位を確実に知ることが困難であつたり,非手術的方法にて下降を期待することができるか否かの判断に苦しむことも少なくない。したがつて,視・触診法の補助となる簡便な診断法の開発が望まれていた。最近,腹腔造影法の一種である andrography が1966年Lunderquist ら1〜3)により,またinguinal hernio—graphy が1967年 Ducharme ら4)によつて発表された。

泌尿器科領域における緑膿菌感染—その原因と対策

著者: 加藤弘彰 ,   松田尚太郎

ページ範囲:P.243 - P.247

緒言
 緑膿菌感染症は漸次増加の傾向にあり,各科において重大な問題となつてきている。検出緑膿菌を菌型分析した報告によれば,長期間低率の発生が持続している場合は種々の菌型が検出されている。一方,短期間に大量発生している場合は同型の菌が高率に発見されており1),交叉感染の可能性のあることを示している。
 自験の緑膿菌感染例では菌型分析を行なつていないが,発生状況よりみて菌の院内感染であると考えられた。感染経路の分析とそれに基づく対策により感染例が出現しなくなつたことは,この推測の裏づけとなろう。ここにその間の経緯を報告する。

Urological Letter

会陰・恥骨後膀胱瘻術,他

ページ範囲:P.209 - P.209

 会陰部手術または尿道下裂の手術中に,ときには,一時的膀胱瘻を併用した方が良いことがある。こういう時には,長い鋭角に曲つた物を会陰部尿道から膨らましておいた膀胱内に入れ,腹壁を突き上げておき恥骨後部でその物の先端に向つて腹壁と膀胱を切開することによつて容易にかつ素早く目的を達することができる。ついで恥骨上カテーテルを膀胱内に引き込みその部に固定することができる。
 実施に当つては,恥骨後部にある腸管を押しのけておくために,必ず膀胱は常に少しく過剰目に膨らましておく。腸管損傷は,その患者が前に膀胱周囲に外傷を受けていたり,膀胱切開や恥骨周囲の溢流を経験しているような場合に起こりやすい。したがつてこの手術を行なう際には膀胱を過剰に膨らましておくことが必要である。

文献抄録

膀胱尿管逆流の臨床的観察

ページ範囲:P.228 - P.228

 著者らは1955年より70年までに165例のVUR患者を経験し,その臨床的観察について述べている。男性21例,女性144例,年齢は2カ月より35歳まで平均3歳。これらの症例中には尿路奇型,神経性排尿障害あるいは尿管膀胱吻合をうけた症例は除外してある。いずれの症例についても尿路の一般的レ線検査,腎機能検査,血液生化学的検査を施行しその予後について観察した。
 これらの内30例,42尿管の逆流については上部尿路のレ線的病変が認められかつ内視鏡的にも尿管口の変化が観察されたのでPolitano-Lead-better,Paquin法により尿管の再吻合術が施行された。残りの135症例,189尿管に逆流はあつたが,上部尿路のレ線的変化はほとんどなく,尿管拡張も極めて軽微で内視鏡的変化もなかつた。後者の135例については抗生剤のみ投与したもの38例,尿道拡張と抗生剤投与せるもの81例,膀胱頸部拡張と抗生剤投与16例でその経過を観察した。以上の結果135列53例(39%)は6カ月から2年以内に逆流は消失し尿路感染もなくなつた。

見聞記

第5回国際腎臓学会印象記

著者: 川井博 ,   生亀芳雄

ページ範囲:P.249 - P.250

盛況のうちに終わつた6日間
 第5回国際腎臓学会は昭和47年10月8日から6日間の会期でメキシコ市にて開催された。5年前にメキシコ市にて国際オリンピック競技が催されたときには,2000米以上の高地のために跳躍競技に驚異的な世界記録が出て騒がれたことも記憶に新しいところである。オリンピックの余韻を感ずるこの地で国際腎臓学会が開かれ,世界の多数の学究が一堂に会することはメキシコが世界に飛躍せんとする強い意欲がうかがわれ,学会の開会式には大統領自ら出席して祝辞を呈する力の入れようであつた。大陸の高原に位置するメキシコ市は太陽の都市といわれるように学会中まつたく快晴に恵まれ,2500名をこす出席者で総会々場,分科会々場ともに連日満席の盛会だつた。日本からも80名近い会員が出席していたようである。

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内国文献

ページ範囲:P.251 - P.252

腎・腎盂
 腎の機能(Ⅶ)エリトロポエチン,高久史麿:代謝,10;(2),41,1973.
 Hydralazineの腎障害について,伊東義一・木下康民:Medicina,10;(1),86,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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