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手術手技
腎固定術の適応とその方法
著者: 池田直昭1 小川由英1 置塩則彦1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.193 - P.202
文献購入ページに移動遊走腎の手術の適応についての統一的な見解は,南1)の述べるごとく,現在なお決定的なものはない。これに関する諸家の報告も臨床症状を中心にして種々の面より検討がなされているが,最終的には2,3)高度の疼痛の反復,血尿の継続,腎盂腎炎,結石の合併が主たるもので,これらは本疾患における主訴として頻度も高く,他の腎疾患との鑑別上重視せざるを得ない症状として,当然手術の対象となり得るものである。更に,これらの症状は遊走腎に伴なう尿管の屈曲,腎茎の伸展,歪曲,およびurodynamicsの低下の結果としての極限点を示す症状であると考えられるので,むしろ,積極的に手術を行なうべきであろう。事実,手術による治療成績も良好であり,上記症状の治癒軽快率は80%前後を示している4〜6)。
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