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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻4号

1973年04月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・4

睾丸(3)・副睾丸

著者: 外川八洲雄 ,   狩野健一 ,   桜井叢人

ページ範囲:P.262 - P.263

 間細胞は精細管の間隙に孤立性にあるいは集合してみられ,男性ホルモンを分泌する。その細胞質微細構造は典型的なステロイド分泌型の特徴をそなえている。副睾丸は精巣輸出管,精巣上体管をおさめるが,ここには前者の断面を示す。
 試料と方法 第1図は51歳の陰嚢水瘤の患者の健側睾丸より得たもの,第2,3図は23歳の副睾丸炎(尾部)の患者の頭部より得たものである。グルタールアルデヒド,オスミウム酸で二重固定し,酢酸ウランおよび鉛の二重染色を施した。

図譜・391

Cortical Lobulationの1例

著者: 今津あきら ,   片山喬

ページ範囲:P.264 - P.265

 患者 38歳,家婦。
 主訴 血尿。

図譜・392

多発性下部尿路憩室に合併した巨大結石

著者: 青木正 ,   小野利彦 ,   矢島息吹 ,   岩元則幸

ページ範囲:P.266 - P.267

 患者 67歳,男子。
 主訴 排尿困難および会陰部尿瘻。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・16

前立腺腫瘍(1)

ページ範囲:P.270 - P.271

1.前立腺肥大症(Benign Prostatic Hypertrophy)
 症例 榎本某,68歳男,僧侶。
 主訴 残尿感,血尿,排尿困難。

綜説

前立腺結核

著者: 安藤弘 ,   三浦一陽

ページ範囲:P.275 - P.283

はじめに
 前立腺は解剖学的に尿路系と精路系の交点にあるもので,両系のいずれに結核感染がおこつても,容易にその影響を受け,また逆に,前立腺に結核が初発すれば両系路の臓器はやがて結核の洗礼を受けることになり,いわば尿路性器結核の要の位置にあるといえる。しかし,前立腺結核は慢性に経過して体内側に存在するため,日常診察にさいしては,ともすればover-lookされがちであり,事実十分な検索がなされないことが多く,治癒の判定治療の終了など曖昧なことが多い。
 近年尿路性器結核も抗生剤の効果により,Rosenberg (1963)1)や近藤(1972)2)の述べるごとく,急速な減少過程を辿りつつあるが,Bruce(1970)3),Gow(1970)4)らの報告によれば,なお根強い残存と余燼を止め,重症例の増加が認められているという。

原著

腎結石および腎周囲膿瘍を合併したXanthogranulomatous pyelonephritisの1例

著者: 成瀬克邦 ,   平山順朗 ,   鈴木唯司 ,   舟生富寿

ページ範囲:P.285 - P.290

緒言
 Xanthogranulomatous pyelonephritisは慢性腎盂腎炎のなかで,脂肪顆粒を有する泡沫細胞の増殖が著明な疾患である。欧米では100例をこえる報告があるが,本邦では18例の報告があるにすぎず,比較的耳新らしい疾患である。著者らは最近,腎結石および腎周囲膿瘍を合併した本症の1例を経験したので報告し,若干の考察を行なう。

単腎者結石性無尿の5症例

著者: 長田尚夫 ,   井上武夫 ,   平野昭彦 ,   田中一成 ,   福島修司 ,   松岡俊介 ,   岩本晃明

ページ範囲:P.291 - P.295

緒言
 単腎者に結石が存在していると,血尿を繰返したり腎盂腎炎を併発するばかりでなく,腎機能が低下する。そのうえ結石による器械的尿路閉塞によつて無尿となり,尿毒症状態を起こして,泌尿器科医ばかりでなく臨床医を訪れ,救急処置が必要となる。
 われわれは,最近あいついで単腎者の結石性無尿を5例経験した。その経過の概要を報告し,症例から得たいくつかの教訓を記してみたい。

孤立性腎嚢胞壁に発生した血管腫の1例

著者: 廣野晴彦 ,   高橋厚 ,   中神義三 ,   陳泮水 ,   川井博 ,   淡輪邦夫

ページ範囲:P.299 - P.305

緒言
 腎血管腫は,血尿のほか一般に自覚的苦痛を認めぬため術前の確定診断が困難であり,従来その報告例は少ない。最近,孤立性腎嚢胞に血管腫を合併した極めて稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。

前立腺摘除術後の急性心臓死の1例

著者: 板谷興治 ,   津川龍三 ,   松田芳郎 ,   北川正信

ページ範囲:P.307 - P.311

緒言
 泌尿器科領域では老人を対象とした手術が多く,それだけに合併症も多彩となる。われわれは金沢市立病院において前立腺摘除術後12日目に発生した急性心臓死の1例を経験したので,報告する。

直接睾丸造影法—睾丸損傷への応用

著者: 篠田孝

ページ範囲:P.313 - P.319

緒言
 陰嚢内臓器をレ線学的に描出する試みはすでに1927年にMandlerとSlanina1)によつて始められているが,当時は空気あるいは酸素を陰嚢内に注入して撮影する,いわゆるPneumoorchographieと呼ばれる方法で,ヘルニヤの診断を目的として行なわれ,その後陰嚢水腫,精液瘤,慢性炎症,腫瘍などの診断に応用された。
 著者は陰嚢部打撲で睾丸損傷を伴うような場合に,睾丸破裂の有無を術前に確認する目的で,1967年7月から,造影剤を直接睾丸実質内に注入してレントゲン撮影を行なう,いわゆる直接睾丸造影法(direct orchography)を実施して来たのでその知見を記述する。

副睾丸平滑筋腫の1例

著者: 寺田洋子 ,   西村洋司 ,   細井康男

ページ範囲:P.321 - P.325

緒言
 副睾丸腫瘍は,良性,悪性ともにまれな疾患とされている。著者らは最近,良性腫瘍の平滑筋腫を前立腺肥大症の患者に経験したので報告する。

原発性精索結核の2例

著者: 永田正義 ,   木下正之 ,   熊谷振作

ページ範囲:P.327 - P.330

緒言
 精索の結核性病変は原発性および続発性に大別され,原発性精索結核は,比較的まれとされている。本邦においては,1923年の深瀬1)の報告以来,われわれの集め得た限りでは94例の報告がある。われわれは最近,本症例の2例を経験したので若干の統計的観察を加えて報告する。

文献抄録

空置回腸膀胱術後の尿路結石形成

ページ範囲:P.311 - P.311

 著者らはMassachusets総合病院泌尿器科にて1953年より1969年までに740名のIleal conduitによる尿路変更を施行した。これらの患者中65%は悪性腫瘍治療の目的で尿路変更をし,残りの36%は腫瘍以外の下部尿路障害患者である。これらの患者の経過中に尿石の発生をみたものは36名で成人35名,小児1名で結石の発生期間は最短3ヵ月,最長15年となつている。
 尿路変更に際して水尿管あるいは腎盂腎炎を認めた症例は740名中46%にあつたが,一方,尿石形成をみた36症例中30名(84%)に水尿管ないし腎盂腎炎を尿路変更時に認めた症例であつた。また36名中34名に細菌尿が発見されており,菌種としてはProsteus mirabilisとP.morganiが91%を占めており,尿石の認められない患者ではProteusは約40%に発見された。結石の分析15例については蓚酸結石は1例で他はマグネシウムアンモニウム,燐酸カルシウム結石であつた。両腎結石13例,右側のみ13例,左側のみ8例,空置腸管内結石は2名である。結石症例の腸管内残尿は平均して30ml程度であるが,一方,結石のない例では平均8mlであつた。尿石症例の血清電解質については,その61%に過塩素血症アシドージスが証明された。

Urological Letter・147

はげしい骨盤出血におけるG-Suit®の使用

ページ範囲:P.319 - P.319

 腹腔内出血のコントロールのためのG-Suit®の使用に関する実験および臨床成績に,いくらかの不明確な点があるために,私はその効果に関して少しばかりの不安を持つていた。自動車事故による多発性傷害で入院した若い男の人へのSuitの使用が,私自身にその臨床的価値の評価を高めさせた。
 その少年の身体のほとんどすべての骨は折れていた。彼は大腿骨の骨折に加え,骨盤の粉砕骨折もあつた。大動脈撮影では,内臓や組織の異常は認められなかつたが,膀胱造影では後部尿道の断裂がみとめられた。

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内国文献

ページ範囲:P.331 - P.333

腎・腎盂
 大動脈造影──10年間の自験例の成績,武田忠直:内科,31;(2),234,1973.
 腹腔動脈領域の直接拡大連続撮影について──超選択的腹腔動脈造影下で,高島 力:内科,31;(2),276,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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