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原著
膀胱頸部形成術—特に末梢神経損傷膀胱にみられる尿閉に対する膀胱頸部縫縮術または膀胱頸部VY—形成術の適応について
著者: 今林健一1 天野滋1 大沼徹太郎1 加藤正和2
所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科学教室 2仙台社会保険病院泌尿器科
ページ範囲:P.407 - P.413
文献購入ページに移動神経因性膀胱症例,特に子宮癌や直腸癌などの骨盤腔内悪性腫瘍に対する広汎性根治手術による末梢神経損傷例の排尿状態を手術直後から観察していると,特別な治療を行なわない限り最初は尿閉,ついで排尿困難,さらに一見自排尿が可能な時期,そして尿失禁,最後に尿失禁を伴なう排尿困難または尿閉と,きわめて多彩な経過をとることに気がつく。
従来このような症例にみられた排尿障害の本質は手術時の骨盤神経損傷による膀胱の機能障害であり,尿道括約筋ないしは膀胱頸部の機能は陰部神経が健存しているので正常に維持されているものと考えられていた1)。したがつて排尿障害の形は主として排尿困難または尿閉であり,その原因は健全な尿道括約筋機能に対し膀胱壁の排尿収縮運動不全による膀胱内圧上昇の不足があるためとされていた。またそのため排尿障害の形の変遷は神経損傷の程度の差による膀胱機能の回復度合に関係があり,もし膀胱機能の回復が十分に望めないような症例では尿道括約筋機能を低下させる陰部神経遮断術が有効であると説明されていた。
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