icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻6号

1973年06月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・6

副腎(1)

著者: 狩野健一 ,   桜井叢人 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.430 - P.431

 副腎は間葉に由来してステロイドホルモンを分泌する皮質と,神経稜に由来してカテロールアミンを分泌する髄質より構成されている。
 皮質には表層より内層に向つて球状帯,束状帯および網状帯の三層が識別される。球状帯は球状あるいは卵状に細胞が密集している。

図譜・395

骨盤腎

著者: 岡田隆夫

ページ範囲:P.432 - P.433

 患者 足○秀○,49歳,会社員。
 初診 昭和47年11月24日。

図譜・396

盲端に終わる不完全重複尿管

著者: 岡田敬司 ,   田崎寛 ,   東福寺英之

ページ範囲:P.434 - P.435

 患者 46歳,男子。化学薬品工場勤務。
 主訴 健診時の尿中異常細胞。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・18

尿道・前立腺腫瘍(2)

ページ範囲:P.438 - P.439

1.女子尿道腫瘍(Carcinoma of the Female Urethra)
 患者 T,K.,55歳,女。
 主訴 外尿道口の腫瘤。

綜説

前立腺結石

著者: 小池六郎 ,   池上茂

ページ範囲:P.443 - P.451

 前立腺結石という疾患名はかなり昔から知られていて,1586年Donatus1)により報告されたのが最初である。その後の症例報告は多々あつたが,1927年Thomas & Robert2)が交献的に305例を集めて報告している。その後の主な報告としてはBrady Urological Instituteの記録を調べたYoung(1934)3)の100例があり,後にFinkle(1954)4)はその後の症例を追加して361例にして報告している。そのほかLowsley(1938)5)の420例,St.Peter's HospitalにおけるFox(1960,1962,1963)6〜8)の484例などがある。
 前立腺結石の成因の検索が進むにつれ,組織学的に顕微鏡でやつと発見されるような小さな前立腺結石は思春期以後には多かれ少なかれしばしば発見されるものであることがわかつてきた。Joly(1927)9)も,こういうような小さな前立腺結石はほとんどすべての老人にみられるもので,そのための症状を訴えるものは非常に少なく,病的とはいい難いとしている。そこで少なくともX線写真上で結石像が発見される程度に大きいか,手術により肉眼的に見分けられる程度に大きいものを前立腺結石とするのが妥当であると考えられ,上述の症例もみなこの線に沿つて報告されている。

手術手技

腎結石に関する手術—腎盂切石術と腎切石術

著者: 堀内誠三

ページ範囲:P.453 - P.464

はじめに
 最近,腎結石の手術は腎摘除術をできるだけ避けて腎実質を残し結石を摘出するのが理想的であると考えられている。したがつて,その手術は腎盂切石術,腎切石術,腎部分切除術などが一般に賞用されている。
 しかし,腎実質に切開を加えることは,術後に後出血が起こりやすいので,腎盂切石術の方が安全であるとの考えで腎盂切石術を行なう人が多くなつてきたが,なお実際に腎盂切石術と腎切石術を併用しなければならないことも少なくないし,腎切石術や腎部分切除術を用いなければならない例も少なくない。

文献抄録

被切断陰茎の再吻合

ページ範囲:P.464 - P.464

 一般に外傷性陰茎皮膚剥離症はしばしば経験するが,同時に陰茎を根部から切断されることは珍らしい。著者は後者のような症例に対して再吻合術を行なつた経験とかかる症例の文献的考察を紹介している。
 症例は41歳の白人で同性愛のもつれから調理用大形ナイフで傷害をうけた。外傷は下腹と性器にあつて,2ヵ所の刺傷も下腹部に認められた。切傷は右外鼠径輪から恥骨部を通つて左鼠径輪に達し,さらに下内方へ左陰嚢部より正中線をこえている。左右の睾丸精索は露出し,陰茎は根部にて完全に切断されていた。陰茎切断面より強い出血を認めていた。まずFoleyカテーテルを膀胱に入れて膀胱損傷のないことを確認してから陰茎背面の動静脈を結紮し,次に切断陰茎の吻合を行なつた。陰茎は約1cm程恥骨末梢側が残存していたので,この部の海綿体を生理的食塩水にて洗滌し,つぎに外尿道口よりFoleyカテーテルを被切断尿道を通して膀胱内に留置,さらに陰茎海綿体・尿道海綿体をそれぞれ04 catgutにて結節吻合,海綿体隔壁,Back Fasciaはそれぞれ連続縫合した。

原著

腎腫瘍と誤まつた神経芽細胞腫の1例

著者: 福岡洋 ,   吉邑貞夫 ,   武田尚 ,   植草富二郎

ページ範囲:P.465 - P.471

緒言
 神経芽細胞腫は小児悪性腫瘍のおよそ10%程度を占めWilms腫瘍とならんで頻度が高く,年齢的には2歳以下に発生したものがほぼ半数を占める。したがつて年長児や成人に発生したものは稀であり時に診断が困難となる。
 われわれは腹部腫瘤を主訴とし,他医において腎腫瘍の診断を受けた14歳女子を経過途中から診療する機会を持つたが,転医後4ヵ月目に死亡し剖検により神経芽細胞腫と判明した1例を経験したので報告する。また自験例において選択的腎動脈撮影を行なつており,その所見でも腎腫瘍を否定できなかつたが,神経芽細胞腫の動脈撮影診断およびその問題点に関し考察を試みた。また浸潤する悪性腫瘍の治療における血管内照射に関して若干の考察を加えた。

Doxycycline(DOTC)抗菌剤の腎不全患者における血中濃度の推移について

著者: 安藤裕 ,   新美明達 ,   長谷川辰寿

ページ範囲:P.473 - P.477

緒言
 Doxycyclin(以下DOTCと略す)はPfizer研究所にてメタサイクリンより合成された新しい広範囲抗菌剤である1,2)。この薬剤は従来のテトラサイクリン系薬剤と異なつて,経口投与により速かに腸管から吸収され,有効血中濃度維持時間が長く,最小発育阻止濃度が低いなどの特徴をもつているため,1日1回少量投与が可能な薬剤といわれている3)。またDOTCは他のTC系薬剤と異なつて,過剰の蓄積が起こらないとも報告されている5〜8)。最近は透析療法の確立により,慢性腎機能障害者の長期延命が可能となつたが,これら慢性透析患者の治療に際し,絶えず配慮しなければならないことの一つに薬剤の投与量の問題がある。ほとんどが腎機能廃絶状態である透析患者における抗菌剤の蓄積に伴う障害は特に注意を要する。上田はCER系,PC系の抗菌剤は高度腎機能不全者において蓄積作用を認めるが,透析療法により,透析膜からの濾過(約40%)も認めるので,蓄積されない程度で有効血中濃度を維持していくための投与量は48時間毎に0.5gのほか,透析後に0.5g追加投与が望ましいと報告している4)

小児のnon-visualizing kidney

著者: 日台英雄 ,   高橋剛 ,   松山秀介

ページ範囲:P.479 - P.483

はじめに
 泌尿器科領域で静脈性腎盂撮影(以下IVPと省略)は年々増加しているが,これにつれて通常のIVPで腎盂像を認めない,いわゆるnon-visualizing kidneyを見出す機会がふえ,これをいかに診断し治療するかが日常の問題となつてきた。しかしながら,一般のnon-visualizing kidneyについては若干の報告に接するものの,小児のnon-visualizing kidneyについてとりあげたものはなく,この点から,われわれは1961年より1970年までの10年間に横浜市立大学医学部病院泌尿器科において経験した小児non-visualizing kidney例につき検討を加えてみた。

婦人科的泌尿器疾患症例の検討—第2報 尿管腟瘻症例

著者: 杉田篤生 ,   川村俊三 ,   小津堅輔 ,   石崎允 ,   新井元凱 ,   岡村知彦 ,   鈴木騏一

ページ範囲:P.485 - P.490

はじめに
 婦人科的泌尿器疾患のうち婦人科手術に起因する尿管通過障害例についてみると,第1報で述べた尿管の瘢痕性癒着による狭窄症例1)は症状が比較的軽度であり,症例によつては無症状のため気づかずに経過することもある。しかし,婦人科手術後に発生する尿管腟瘻は,患者に与える影響も大きく,ときには原婦人科疾患に対する手術効果をも消失させるほどの影響を与え,日常生活にも支障を生ずるので,術後性尿管腟瘻に対する対策は重要なものということができよう。
 われわれは現在までに婦人科手術後の尿管腟瘻症例を14例経験しているので,ここに検討してみた。

前立腺悪性中胚葉性混合腫瘍の1例

著者: 岩佐嘉郎 ,   宮崎公臣 ,   久住治男 ,   松原藤継 ,   木田厚瑞 ,   北川正信

ページ範囲:P.491 - P.496

 最近,前立腺悪性腫瘍のなかでも非常にまれな悪性中胚葉性混合腫瘍の1例を経験したので,報告するとともに若干の文献的考察を行なう。

睾丸固有膜結核の1例

著者: 中神義三 ,   能美稔 ,   高橋厚 ,   廣野晴彦 ,   陳泮水

ページ範囲:P.497 - P.500

まえがき
 性器結核は副睾丸結核,精索結核などに代表され,それらは今日臨床的に多くみられる症例であまり興味はないが,睾丸や副睾丸に変化がなく固有膜だけに発生する結核は例外的で非常にまれである。
 著者らは,最近陰嚢内腫瘤と睾丸部鈍痛を訴えて来院せる20歳男子の患者で,睾丸,副睾丸にはまつたく変化がみられず,固有膜外側面に拇指頭大の腫瘤を認め,それを摘出し病理組織学的検索により結核と診断した興味ある症例を経験したのでここに若干の文献的考察を加え,報告する次第である。

陰茎陰嚢象皮病に対する陰茎陰嚢形成術について

著者: 松田尚太郎 ,   白井将文

ページ範囲:P.501 - P.505

はじめに
 陰茎陰嚢象皮病は,本邦においては比較的稀な疾患であるが,ひとたび発症すると自然治癒は望めず,性生活や運動など日常生活に重大な障害をきたし,その治療法も極めて困難である。最近われわれは,両側鼠径部リンパ節摘除術後に発生した本症例に対して,陰茎陰嚢形成手術を施行し良好な成績を得ているので,その術式ならびに成績の概要について報告する。

Urological Letter・149

Ⅰ.尿管結石の治療/Ⅱ.不都合な患者の予防の1方法

ページ範囲:P.490 - P.490

 尿管結石の治療は積極的な手術的治療か保存的治療か,という2つの方法に分かれる。もしも,痛みとか,発熱,尿管の閉塞と上部尿路の損傷がレ線検査で明らかであるというような重要な症状がなければ,結石の大きさが自然排出の可能性のある場合は,保存的治療方針が採られるべきである。自然排出の可能性がborderline上にあるとき,あるいは尿路閉塞と上部尿路損傷,発熱,疼痛の程度が排出を待てるか否かのborderlineにあるときには,患腎に尿管カテーテリスムス(1本か何本かで)を行ない,尿管が拡張して結石が排出されることを期待すべきである。
 結石をバスケットで捕獲することは結石が尿管の下1/3にあるときだけに限定すべきである。高位にある結石にバスケットカテーテルを使うことは尿管の穿孔あるいは摧裂を起こし,尿管周囲膿瘍を作るような重大な危険がある。現在も好んで用いられるバスケットカテーテルはDormia型であり,これは極めてすばらしい器具である。

--------------------

内国文献

ページ範囲:P.507 - P.508


 腎性貧血の臨床,千葉省三:内科,31;(4),657,1973.
 腎硬塞の1例,徳原正洋:外科治療,28;(5),603,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識

76巻12号(2022年11月発行)

特集 ブレずに安心! 尿もれのミカタ

76巻11号(2022年10月発行)

特集 限局性前立腺癌診療バイブル―このへんでキッチリと前立腺癌診療の“あたりまえ”を整理しよう!

76巻10号(2022年9月発行)

特集 男性不妊診療のニューフロンティア―保険適用で変わる近未来像

76巻9号(2022年8月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)の手術療法―臨床現場の本心

76巻8号(2022年7月発行)

特集 泌尿器腫瘍における放射線治療―変革期を迎えた令和のトレンド

76巻7号(2022年6月発行)

特集 トラブルゼロを目指した泌尿器縫合術―今さら聞けない! 開放手術のテクニック

76巻6号(2022年5月発行)

特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線

76巻5号(2022年4月発行)

特集 実践! エビデンスに基づいた「神経因性膀胱」の治療法

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号特集 専門性と多様性を両立させる! 泌尿器科外来ベストNAVI

76巻3号(2022年3月発行)

特集 Female Urologyの蘊奥―積み重ねられた知恵と技術の活かし方

76巻2号(2022年2月発行)

特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン

76巻1号(2022年1月発行)

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

75巻13号(2021年12月発行)

特集 困った時に使える! 泌尿器科診療に寄り添う漢方

75巻12号(2021年11月発行)

特集 THEロボット支援手術―ロボット支援腎部分切除術(RAPN)/ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)/新たな術式の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻11号(2021年10月発行)

特集 THEロボット支援手術―現状と展望/ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻10号(2021年9月発行)

特集 今こそ知りたい! ロボット時代の腹腔鏡手術トレーニング―腹腔鏡技術認定を目指す泌尿器科医のために〈特別付録Web動画〉

75巻9号(2021年8月発行)

特集 ED診療のフロントライン―この一冊で丸わかり!

75巻8号(2021年7月発行)

特集 油断大敵! 透析医療―泌尿器科医が知っておくべき危機管理からトラブル対処法まで

75巻7号(2021年6月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して

75巻6号(2021年5月発行)

特集 躍動するオフィスウロロジー―その多様性に迫る!

75巻5号(2021年4月発行)

特集 前立腺癌のバイオロジーと最新の治療―いま起こりつつあるパラダイムシフト

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科当直医マニュアル

75巻3号(2021年3月発行)

特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?

75巻2号(2021年2月発行)

特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ

75巻1号(2021年1月発行)

特集 朝まで待てない! 夜間頻尿完全マスター

74巻13号(2020年12月発行)

特集 コロナ時代の泌尿器科領域における感染制御

74巻12号(2020年11月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈下部尿路機能障害/小児・女性・アンドロロジー/結石・感染症/腎不全編〉

74巻11号(2020年10月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈腫瘍/処置・救急・当直編〉

74巻10号(2020年9月発行)

特集 令和最新版! 泌尿器がん薬物療法―手元に置きたい心強い一冊

74巻9号(2020年8月発行)

特集 泌尿器腫瘍の機能温存手術―知っておくべき適応と限界

74巻8号(2020年7月発行)

特集 これが最新版! 過活動膀胱のトリセツ〈特別付録Web動画〉

74巻7号(2020年6月発行)

特集 小児泌尿器科オープンサージャリー―見て学ぶプロフェッショナルの技〈特別付録Web動画〉

74巻6号(2020年5月発行)

特集 高齢患者の泌尿器疾患を診る―転ばぬ先の薬と手術

74巻5号(2020年4月発行)

特集 ここが変わった! 膀胱癌診療―新ガイドラインを読み解く

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

74巻3号(2020年3月発行)

特集 泌尿器科手術に潜むトラブル―エキスパートはこう切り抜ける!

74巻2号(2020年2月発行)

特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!

74巻1号(2020年1月発行)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら