文献詳細
文献概要
原著
Doxycycline(DOTC)抗菌剤の腎不全患者における血中濃度の推移について
著者: 安藤裕1 新美明達1 長谷川辰寿1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.473 - P.477
文献購入ページに移動Doxycyclin(以下DOTCと略す)はPfizer研究所にてメタサイクリンより合成された新しい広範囲抗菌剤である1,2)。この薬剤は従来のテトラサイクリン系薬剤と異なつて,経口投与により速かに腸管から吸収され,有効血中濃度維持時間が長く,最小発育阻止濃度が低いなどの特徴をもつているため,1日1回少量投与が可能な薬剤といわれている3)。またDOTCは他のTC系薬剤と異なつて,過剰の蓄積が起こらないとも報告されている5〜8)。最近は透析療法の確立により,慢性腎機能障害者の長期延命が可能となつたが,これら慢性透析患者の治療に際し,絶えず配慮しなければならないことの一つに薬剤の投与量の問題がある。ほとんどが腎機能廃絶状態である透析患者における抗菌剤の蓄積に伴う障害は特に注意を要する。上田はCER系,PC系の抗菌剤は高度腎機能不全者において蓄積作用を認めるが,透析療法により,透析膜からの濾過(約40%)も認めるので,蓄積されない程度で有効血中濃度を維持していくための投与量は48時間毎に0.5gのほか,透析後に0.5g追加投与が望ましいと報告している4)。
掲載誌情報