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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻7号

1973年07月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・7

副腎(2)

著者: 狩野健一 ,   桜井叢人 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.522 - P.523

 束状帯は束状に配列する細胞索よりなり,皮質の大部分を占める。細胞は外側では多数の空胞を有する。
 試料と方法 試料は38歳の左腎結核患者の腎摘除術を行なつた患者よりえたものである。グルタールアルデヒド,オスミウム酸で二重固定し,酢酸ウラン鉛の二重染色を施した。

図譜・397

化膿性腎盂周囲嚢胞

著者: 山田智二 ,   折笠精一

ページ範囲:P.524 - P.525

 患者 中○某,32歳,家婦。
 現病歴 昭和45年6月3日膀胱刺激症状,高熱,右側腹部痛があらわれ抗生物質の投与で症状軽快したが,IVPで右側腎盂像の異常を指摘されて当科受診した。

図譜・398

膿瘍を形成した女子尿道憩室

著者: 廣野晴彦 ,   高橋厚 ,   川井博

ページ範囲:P.526 - P.527

 患者 高○ヤ○子,32歳,会社員。
 主訴 ①尿道口腫瘤,②両鼠蹊部リンパ節の有痛性腫脹。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・19

睾丸腫瘍(1)

ページ範囲:P.530 - P.531

1.精上皮腫(Seminoma of the testis)
 症例 37歳,商業。
 主訴 右睾丸部の無痛性腫脹。

綜説

前立腺肉腫

著者: 金沢稔 ,   阿部富弥 ,   三軒久義

ページ範囲:P.535 - P.549

はじめに
 近年,悪性腫瘍は増加の傾向にあるが,前立腺肉腫の報告は少なく,本邦では1年に数例の報告があるのみである。本症は1839年にLondonのStafford1)の5歳児についての報告が初めてのものであり,組織学的診断の行なわれた報告はIsambert(1853)2)によつてなされた。
 その後,欧米ではBettoni(1923)3),Lowsley(1934)4),Stirling(1939)5),Melicow(1943)6)などが本疾患について多数の文献を引用し,症例をまとめて詳細に報告し,その数はSiegel (1963)7)によれば欧米文献上250例を超えるといわれ,その後の集計はないが,報告が相つぎ,現在300例をはるかにこえているものと思われる。本邦では1911年の茂木8)の血管肉腫が文献上最初の報告であり,生田(1939)9),岩崎(1950)10),黒田(1960)11),大越(1961)12),進藤(1968)13),井上(1970)14)らが詳しく本症について報告しているが,今回1972年末までの103報告例と自験例2例を含めた105症例を集計し得たのでこれを中心に考察し,本症に対するわれわれの見解を披瀝したい。

Urological Letter・150

Ⅰ.小児の腎性高血圧/Ⅱ.窒素血症(Azotemia)の珍しい原因

ページ範囲:P.549 - P.549

 小児の腎性高血圧は必ずしも成人と同じような予後の経過をとらない。小児の高血圧はしばしば自然に可逆性になる。かかる観察はロンドンのGreat Ormond Street病院の小児腎臓病の専門家であるDr.Martin Berretによつてなされた。
 筆者は1961年以来,膀胱尿管逆流現象から2次的に起こつた両側性の進行した腎盂腎炎の少女を診ている。一時期,彼女の血圧は140/100にあがつていた。そこで逆流を矯正した。それまでに両側腎臓に著明な瘢痕萎縮がおこつていたが,それ以後急性または慢性の腎盂腎炎のエピソードは起こらなかつた。血清クレアチニンは0.5mg%であつた。腎動脈撮影では右腎の最も瘢痕萎縮のつよい部分に血管の細小化がみられただけで,他に特別な病的所見はみられなかつた。患者はDiuril(クロロサイアザイド)やアルドメットに速かに反応した。これらの薬剤はその後の18ヵ月間に徐々に減量しつつ中止し,現在はすべての薬の投与をやめている。しかも,患者は正常の血圧を保つている。

手術手技

腎結石に関する手術—腎部分切除術

著者: 小島弘敬

ページ範囲:P.551 - P.557

Ⅰ.術式と概念
 腎を全体として摘除する腎摘除術(Nephrecto-my),血行および尿路に関して,独立した二単位の融合している腎(重複腎盂,馬蹄鉄腎)において,その一単位を摘除する半腎摘除術(Hemine-phrectomy)に対して,通常の形態の腎の実質の一部を摘除する手術を腎部分切除術という。すでに19世紀の後半,Spiegelberg, Wells, Czernyらにより行なわれたが,その後,とくに第2次大戦ののち手術および麻酔法の技術的向上,抗菌剤の開発に伴ない外科手術の臓器保存的傾向が指向されるに至り,腎結核,腎結石の手術術式として重要な位置をしめることになつた。ここでは,腎結石に対する腎部分切除術について述べる。

原著

尿管自然破裂の1例

著者: 平田紀光 ,   小柴健 ,   石橋晃

ページ範囲:P.561 - P.564

緒言
 尿管損傷は,外傷,手術および種々の尿管内操作によつて引き起こされるが,尿管自然破裂は極めて稀れな疾患である。われわれは結石を伴つた尿管自然破裂の1例を経験したので,その臨床経過と若干の文献的考察を加えて報告する。

婦人科的泌尿器疾患症例の検討—第3報 悪性腫瘍進展による尿管通過障害例

著者: 杉田篤生 ,   川村俊三 ,   小津堅輔 ,   石崎允 ,   新井元凱 ,   岡村知彦 ,   鈴木騏一

ページ範囲:P.565 - P.570

はじめに
 悪性腫瘍の転移や,隣接性進展によつて,尿管が閉塞されることは稀ではない。特に骨盤腔内臓器の悪性腫瘍進展によるものは,しばしば経験され,これが両側尿管を侵すと,いわゆる腫瘍性仮性無尿が出現する。
 われわれは,婦人科的泌尿器疾患のうち尿管通過障害例について検討し,第1報においては術後性瘢痕癒着による尿管狭窄および尿管結紮例1)について,また第2報で尿管腟瘻症例について2)報告したが,そのシリーズの一環として今回は婦人科領域の悪性腫瘍進展による尿管通過障害例について検討したので報告する。

尿路感染症に関する研究—XI.E.coliにおける薬剤感受性の季節的変動について

著者: 確井亜 ,   石部知行 ,   仁平寛已 ,   小田サキ子

ページ範囲:P.571 - P.574

 抗生物質に対する細菌の耐性発現の機序はその大部分にR因子が関与しているといわれ,人の腸内細菌中にこれらは広く存在する1)。一方,動物腸管内細菌においてもR因子が存在し,ここ20年来成長促進の目的で動物飼料に抗生物質が添加されてきたという事実がある。この動物を人が摂取することにより,動物体内の細菌で作られたR因子が人間に影響をおよぼすのではないかという疑問は容易に推定されうる。牛乳やブロイラーなどの食品中で十分に滅菌されずに残つた細菌が増殖に適した温度環境である夏期に増殖し,その細菌によつて汚染された食物を人が摂取することにより,腸管外感染の代表的なものである尿路感染症での尿中細菌の薬剤感受性に変化をおよぼすか否かを追求する目的で,E.coilの季節による耐性変化を検討した成績を報告する。

化学療法が奏効した多発性膀胱乳頭状癌の治験例

著者: 長田尚夫 ,   井上武夫 ,   平野昭彦

ページ範囲:P.575 - P.578

緒言
 われわれは表在性膀胱腫瘍の再発防止を目的として,Thiotepaを膀胱内に注入している。その効果は著明であつて,成績の一部は第59回日本泌尿器科学会総会で発表し,原著としても報告した1)
 膀胱腫瘍は泌尿器科領域においてもつともしばしばみられる悪性腫瘍であるが,その形態はきわめて多彩であるため,治療法も多種多様である。

男子尿道肉腫の1例

著者: 田林幸綱 ,   土屋哲 ,   外野正已

ページ範囲:P.581 - P.584

緒言
 悪性尿道腫瘍についての報告は,漸次その症例の増加がみられている。尿道癌では森(1967)は本邦で193例,欧米で640例以上と記載し,赤坂(1971)は本邦の男子尿道癌の81例を集録し報告している。しかし,尿道肉腫の症例報告は極めて稀である。
 Campbell, HarrisonのUrology (1970)は男子尿道肉腫20例,女子尿道肉腫23例を集計,記載しているが,本邦では,中野,荒井(1957)の尿道粘膜より発生した陰茎の悪性黒色肉腫の症例に始まり,現在までに6例を数えるに過ぎない。

精索脂肪腫—文献的考察を中心に

著者: 廣野晴彦 ,   川井博 ,   淡輪邦夫

ページ範囲:P.585 - P.594

緒言
 精索腫瘍は極めて稀なものではあるが,陰嚢内腫瘍としては睾丸につぎ副睾丸,睾丸被膜発生の腫瘍よりはその頻度は高く,また悪性腫瘍ことに肉腫の多いことおよび日常臨床において本腫瘍と鑑別すべき多くの疾患のあることなどから重要な疾病の1つと考えられる。最近,非特異性副睾丸炎および症候性陰嚢水瘤に合併した精索脂肪腫の1例を経験したので,精索腫瘍なかんずく脂肪腫につき若干の文献的考察を加え報告する。

新潟大学泌尿器科入院患者の統計的観察—第6報 第5,001例より第6,000例までの統計

著者: 佐藤昭太郎 ,   高木隆治 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.595 - P.600

はじめに
 新潟大学泌尿器科で取り扱つた入院患者の統計はこれまで第1報ないし第5報として本誌上に第5,000例まで報告してきた。今回昭和43年9月から昭和47年8月までの間に第5,001例から第6,000例までの次の1,000例を扱つたので,これを第6報としてここに報告する。記述の形式はこれまでの報告にのつとつて進めた。

文献抄録

腫瘍に伴う尿路粘膜の異形性について

ページ範囲:P.600 - P.600

 膀胱癌の際に肉眼的に内視鏡にまつたく正常にみえる粘膜でも,病理組織学的にはいろいろな病変を呈していることは既に諸家の指摘しているところである。この粘膜の形態的変化は再発生の癌性変化と考えるべきで,その40%はin situの癌病巣が形成されている。この事実は膀胱癌・腎盂・尿管癌の術後の膀胱再発が示している。
 著者らは膀胱癌100症例の治療に当つて腫瘍部以外の一見正常とみえる粘膜について多数の生検を試み,かつ経過観察中に異形細胞が尿中にみられる症例については更に組織生検を行なつた。対象として腫瘍以外の膀胱症状を訴える患者の粘膜を比較した。粘膜の組織所見を①正常,②慢性炎症性変化,③扁平上皮化生,④腺性化性,⑤上皮の異形を伴つた腺性化性,⑥癌性変化の腺性化生,⑦上皮の異形増殖,⑧粘膜癌の8群に分類して検討した。粘膜の異形増殖とは細胞層が5層以上で核に不規則性の認められるものとした。

学会印象記

第61回日本泌尿器科学会総会

著者: 廣野晴彦 ,   鈴木唯司 ,   熊沢浄一 ,   長田尚夫 ,   津川龍三 ,   栗田孝 ,   片山喬 ,   佐々木寿 ,   吉田修

ページ範囲:P.601 - P.609

第1日(3月29日)第1会場(1)
 第61回日本泌尿器科学会総会は,百瀬剛一教授を会長に3月29日(木)から3日間にわたり千葉県文化会館において催された。
 菜種梅雨といつたはつきりしない空模様の連日ではあつたが,2,000人を収容しうるという会場には早朝から多数の会員がうめつくし,極めて充実したacademicな学術大会が続けられた。総会初日第1会場午前の部は,定刻9時会長の挨拶にはじまり,一般講演手術Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,腎不全の4つのSection,19題の口演があつた。

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内国文献

ページ範囲:P.610 - P.611


 剖検により褐色細胞腫と頸動脈球腫瘍を認めた慢性腎不全,斎藤寛・他:医学のあゆみ,85;(7),445,1973.
 腎疾患と精神障害,平沢由平・他:診と療,61;(6),33,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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