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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科27巻8号

1973年08月発行

雑誌目次

図譜 電顕図譜・8

副腎(3)

著者: 狩野健一 ,   桜井叢人 ,   外川八洲雄

ページ範囲:P.622 - P.623

 網状帯は皮質の最も内側にあり,網状に配列する細胞索よりなる。
 髄質の細胞は球状あるいは短い索状に配列し,カテコールアミンを含有する顆粒を有する。アドレナリンを含む細胞とノルアドレナリンを含む細胞とは別の細胞であることが知られている。

図譜・399

骨盤腎

著者: 中山健 ,   尾辻清彦

ページ範囲:P.624 - P.625

 患者 19歳,女子。
 主訴 腰痛。

図譜・400

孤立性腎嚢胞

著者: 廣野晴彦 ,   高橋厚 ,   川井博 ,   隈崎達夫

ページ範囲:P.626 - P.627

 患者 ○木○成,54歳,男子,土木技師。
 主訴 尿混濁。

カラーグラフ 腫瘍シリーズ・20

陰嚢腫瘍

ページ範囲:P.630 - P.631

1.陰嚢癌(Carcinoma of the scrotum)
 症例 60歳,男子,会社員。
 主訴 陰嚢の無痛性腫瘤。

綜説

前立腺のトリコモナス症

著者: 河村信夫

ページ範囲:P.635 - P.644

緒言
 男子尿性器に腟トリコモナスが寄生する事実は,1893年三浦謹之助1)によつて世界で初めて見出されている。彼は男子の尿中からくり返し腟トリコモナスを検出した症例を見つけ,その妻の腟からも腟トリコモナスを見出し,性交によつて相互の感染が起こつたのであろうと推論した。しかし,当時は男子の尿中から腟トリコモナスが発見されたという事実のみで寄生部位については明らかでなかつたし,持続的な感染が起こつているのか,一時的な迷入であるかも判然としなかつた。また病原性を有するか否かも当時は知られていなかつた。1916年Höhne2)が腟トリコモナスは腟炎の原因となると主張してから,男子尿性器にも何かの病原性があるのではないかと考えられはじめたようである。1922年勝沼3)は少年の包皮炎の症例の膿汁から腟トリコモナスを見出し,腟トリコモナスが男子性器炎症の原因となつたと説明した。
 その後May(1932)4)の前立腺炎の症例から腟トリコモナスを見出したという報告があり,つづいて亀頭炎,尿道炎,精嚢腺炎,腎盂炎,膀胱炎,副睾丸炎などからの検出報告がつぎつぎと出された。現在一般的には腟トリコモナスが一部の尿道炎,前立腺炎,精嚢腺炎,膀胱炎の原因となると考えられているが,その他の疾患については,まだ検討の余地がある。

Urological Letter・151

膀胱粘膜出血に対するフォルマリン液注入療法

ページ範囲:P.644 - P.644

 約1年前,78歳の男子が放射線性膀胱炎による二次的な著しい血尿でわれわれの所に紹介されてきた。われわれの所に入院させる前に何回も輸血されたが,そのあとも何回もその必要があつた。薬品の注入,焼灼および持続洗浄など普通のいろいろな試みがなされた。しかし,これらのうちどれも効果はなかつた。W.Goodwinによつて提案されたフォルマリンの膀胱内注入療法を行なつた。用いた方法は次のとおり。
 1)この薬剤の注入はときには痛みを与えるので,全身ないしは局所麻酔が必要である。

原著

尿路通過障害におけるRI腎機能検査—サンゴ状結石による腎障害の判定と問題点

著者: 櫻井勗 ,   生駒文彦 ,   竹内正文 ,   木下勝博 ,   時実昌泰 ,   佐川史郎 ,   園田孝夫

ページ範囲:P.647 - P.653

緒言
 サンゴ状結石腎の障害の程度を正確に判定し,その進行速度を予測することは本症の不可欠な診断行為である。このため多様な尿路閉塞を伴うサンゴ状結石腎の機能を正確に測定できる検査法が要求されるが,膀胱尿を用いる従来のクリアランス法では尿路閉塞による誤差が必然的に介入する欠点があり,腎盂撮影では尿流障害,特に部分的閉塞の有無を視覚的に容易に把握できても,閉塞によつてもたらされる機能障害を定量的に評価できないことはいうまでもない。
 著者らは尿路通過障害のある症例には197Hg-chlomerodrin摂取曲線と血中消失曲線,続いて131I-hippuranレノグラムと血中消失曲線を記録し,検査時間を短縮させる場合は二核種の同時記録1)を行ない,最後に腎シンチスキャンをルーチンに行なつている。このRI検査の組合せはサンゴ状結石による多様な腎障害を分析する上でどのような情報を提供してくれるかを症例を中心に腎盂撮影像と対比させて検討し,同時に各検査法の問題点をも考察したので報告する。

いわゆるHypernephroid Tumorの2例

著者: 岡本重禮 ,   稲葉善雄 ,   浜田和一郎 ,   里見佳昭

ページ範囲:P.655 - P.659

緒言
 組織学的に良性とするかまたは悪性とするか判定に困難を来たすような腎実質腫瘍の報告例をかなり以前から散見するが,今回われわれも腎腺腫と診断しながらも細胞に悪性変化を思わしめる像があるものと,悪性腫瘍ではあるが一部腺腫様構造を示す例を報告し,更に文献的考察も若干加えた。

腎洞部腫瘍の手術について—解剖学的関係

著者: 藤田公生

ページ範囲:P.661 - P.664

緒言
 ときにみられるaberrent vesselを別として,腎門部に出入りする動静脈はそれぞれ1本である。この1本の動静脈が腎洞部で次々に分岐していくのであるが,この点については上腎杯頸部圧迫症候群,pyelocalicotomy,あるいは腎切石,腎部分切除術と関連して多少関心がもたれるようになつてきたが,一般的にはあまり注目されていない。筆者は最近の手術経験から,腎洞部のmass lesionにおけるこの解剖学的関係の重要性について述べる。

産婦人科的手術に基因する尿管瘻の治療成績

著者: 西田亨

ページ範囲:P.665 - P.669

緒言
 産婦人科手術後の尿管瘻に関しては従来多数の論文があるが,本症の治療成績ことに遠隔追跡調査の成績に関する報告は予想外に少ない。今回私達は過去20年間に当教室で取り扱つた尿管瘻の治療成績と遠隔追跡調査を行なう機会を得たので以下に報告する。

尿路感染症に関する研究—Ⅷ.計算板法による尿中桿菌数とcolony countとの関係について

著者: 石部知行 ,   広本宣彦 ,   仁平寛巳

ページ範囲:P.671 - P.675

 尿中細菌の顕微鏡的検査は細菌尿の存在を推定する簡易検査法として日常診療上広く用いられてきたし,無染色生標本を用いた場合の尿路感染症(以下UTIと略す)診断における尿中細菌数検査の有用性について著者ら2)もすでに報告した。無染色標本による場合にその定量性に対する批判があることから一定時間内(Addis countなど),あるいは一定容積中における尿中有形成分を直接算定する方法が試みられ,後者に関してはBlockand Nynn1)が尿中白血球を対象としてその有用性を明らかにし,その後Stansfeld and Webb5)は非遠沈尿無染色標本において,Stansfeld4)は尿沈渣無染色標本において主として白血球を対象として観察した。しかし,尿中細菌数をこのようにして検討した報告はなお少なく3),著者らも少数例であるが小児を対象として観察したので,ここにその成績を報告する。

後腹膜リンパ節転移により尿管侵襲をきたした未分化細胞腫の1例

著者: 古畑哲彦 ,   広川信 ,   山田佐

ページ範囲:P.677 - P.682

緒言
 未分化細胞腫は,卵巣実質性腫瘍中のしめる割合は5.2%と比較的少ない疾患である1)
 他医で卵巣摘出を行ない,その後,後腹膜リンパ節転移により,尿管侵襲をきたした例を経験したので報告したい。

男子尿道撮影法の検討—第1報 アンケートによる集計

著者: 大矢正巳

ページ範囲:P.683 - P.685

緒言
 男子尿道撮影法は泌尿器科的検査のうちでは従来とかく軽視されているきらいがある。しかし,術者もレ線を浴びる危険性があり,軽視してはならないと思う。私は本法の再検討にあたり,まずその実状を知るため,全国大学病院42,国立病院32,およびそのほかの公的病院の一部19,計93病院にアンケートし,造影剤,注入量,注入器,手のレ線防護について簡単ではあるが,集計を行なつたので報告する(表ではそれぞれ大学,国病,公病と略記)。

慶応義塾大学泌尿器科学教室における1967年(昭和42年)より1971年(昭和46年)の臨床統計

著者: 尾関全彦 ,   大越正秋 ,   東福寺英之 ,   田崎寛 ,   池田直昭 ,   名出頼男 ,   大沢炯 ,   村井勝 ,   井沢明 ,   岡田敬司 ,   小川由英 ,   勝岡洋治

ページ範囲:P.687 - P.693

緒言
 1967年(昭和42年)より1971年(昭和46年)までの5年間にわたる慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室における入院患者の疾患および手術術式統計を行なつたのでここに報告する。疾患および手術術式の分類形式は1962年度のInternational Cl-assification of Diseases,Adapted (通称ICDA)の分類に従つた。当教室では1964年度からこの分類法を行なつており前回は臨床泌尿器科24巻,5号,425〜429頁に報告している。この分類法は国際的に最も広く取り入れられているが決して完全なものではなく,多くの欠点もみられる。しかし,利用方法によつては多くの有利な点があり高く評価できるものと考える。また1968年度のInternatio-nal Classification of Diseasesも出版され,わが国の厚生省もこの採用を考えているようであるが,われわれはこの版には手術の分類がなく,その上パンチカードの関係上今回は1962年度版の分類形式に従つたが,1972年度よりは新しい版を使用する予定である。
 前回と同様,数字は,疾患では例数を,手術についてはその回数を示し,患者数でないことを明記しておく。また泌尿器科で通常扱わない疾患または合併症は省略した。

文献抄録

前立腺癌治療における局所所見

ページ範囲:P.664 - P.664

 抗癌治療の効果の判定は,標的臓器の局所効果と患者の生存率の2方面が考慮される。この両者は必ずしも相関関係にはない。前立腺癌の場合には,ほとんどの報告は患者の生存率からその効果が云々されている。著者らは,最近行なわれている3つの治療法の効果を前立腺の組織所見から観察して報告している。30例の手術不能の前立腺症例を選び,治療法の組織所見を12ヵ月から16年にわたつて生検法により観察した。治療法は3群に分類した。14例は女性ホルモン療法のみ。女性ホルモンはStilbestrol 1mg/dayとした。
 9例は放射線療法のみ。その方法は4meuのリネアックで,小骨盤腔,傍大動脈節,前立腺を含めて前後方向から2400rads。更に25meuベータトロンで,所属リンパ節へ4800rads 10日後に前立腺およびその周囲組織へ照射し,深部総線量計7200radsを照射した。7例は放射線療法と女性ホルモン療法を併用した。

新薬治験

上部尿路結石による疼痛に対するSA−504の臨床効果について

著者: 林威三雄 ,   岡島英五郎 ,   井本卓 ,   牧浦洋 ,   松島進 ,   平尾佳彦

ページ範囲:P.695 - P.696

 疼痛は泌尿器科においても大切な症状で種々の疾患により起こるが,ことにその中でも主として上部尿路結石に由来する疼痛は疝痛とよばれ,その性質は通常激烈でしばしば救急治療を求めて病院を受診する。したがつてこの場合には鎮痙鎮痛剤の投与がぜひ必要となる。従来この目的のために多くの薬剤が用いられているが,より副作用の少ない安全な薬剤が要求されている。今回田辺製薬株式会社において合成せられたSA−504を試用する機会をえたので,主として上部尿路結石による疼痛患者に使用したので,その成績を報告する。

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内国文献

ページ範囲:P.697 - P.698


 人工腎臓と腎移植,稲生綱政:臨床と研究,50;(6),108,1973.
 急性腎不全の予防と治療,小野慶治:臨床と研究,50;(6),115,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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