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綜説
前立腺の凍結療法
著者: 野中博1 高橋博元1
所属機関: 1順天堂大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.719 - P.726
文献購入ページに移動臨床医学の分野で治療に低温を利用することは古くから行なわれていたが,外科的応用として観血的手術に代りうるcryosurgeryが行なわれるようになつたのは比較的新しいことである。泌尿器科領域ではDe Quervainが1917年膀胱乳頭腫に,ついで1925年膀胱癌に雪状炭酸による凍結療法を試み,良性乳頭腫は治癒しえたというのが最初の報告のようである(Hochbergら1)から引用)。その後も膀胱腫瘍に対する低温の応用の報告はみられるが,一般にはとくに優れた治療法とは考えられず,また合併症も少なくないなどで泌尿器科医の関心は少なかつたと思われる。
ところが1961年Cooperら2)が液体窒素の超低温を利用して組織を急速凍結し,限局的な組織破壊が得られることからcryothalamectomyに応用し,その後の一連のcryogenic surgeryの報告から,その優秀なことが認められ広く用いられるようになつた。また近年本邦でも臨床各科でのcryo-surgeryの報告がみられるようになつた。
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