文献詳細
文献概要
原著
先天性膀胱臍尿瘻の2例
著者: 福岡洋1 寺島和光1
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター泌尿器科
ページ範囲:P.67 - P.75
文献購入ページに移動尿膜管開存による膀胱臍尿瘻は泌尿器科医にとつては周知の疾患であるが,典型的な症例に遭遇することは案外少ない。これは本症が特異な臨床像により良く知られている割には発生頻度が少なく,Campbell15)によると19,046例の剖検例中25例(1:761)をみたにすぎないという。本邦においても1967年に大和21)が22症例を,また1968年に土田ら17)が約50例を集計しているにすぎない。
また報告例は泌尿器科あるいは外科で治療を受けており,境界領域の疾患という印象を受けるが尿膜管開存に臍帯ヘルニアなど腹壁の重篤な異常を伴つた場合は当然小児外科で治療を受けるべきである。最近当センター外科でも尿膜管開存を伴つた臍帯ヘルニアの1例を経験し,柴田ら16)が詳細を報告しているが,その後われわれも典型的な先天性膀胱臍尿瘻の2例を経験したので追加報告するとともに若干の文献的考察を加えた。
掲載誌情報