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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科28巻11号

1974年11月発行

雑誌目次

図譜 血管撮影シリーズ・11

Fibromuscular Hyperplasia

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.760 - P.762

〔X線検査所見〕
 腎盂造影所見(第1図)
 左腎上極の腎杯に破壊像(←印)と,腎盂にかけて円弧状の圧排像がみられる。

図譜・423

子宮癌浸潤による膀胱直腸瘻

著者: 人見浩 ,   足木淳男 ,   三樹明教 ,   田代彰

ページ範囲:P.764 - P.765

 患者 46歳,主婦。
 主訴 頻尿,終末時排尿痛。

図譜・424

睾丸絨毛上皮腫の1例

著者: 渋谷昌良 ,   所沢剛

ページ範囲:P.766 - P.767

 患者 伊○栄○,70歳男性。
 主訴 右睾丸腫大,女性乳房。

症例検討

腎盂・回腸・膀胱吻合術後にみられた重症体液・電解質障害

著者: 岡本重禮

ページ範囲:P.771 - P.779

 司会(岡本) 本日は,最近経験しました重症な体液・電解質障害の1例を取り上げて検討してみたいと思います。
 この例は,陳旧性の腎結核および結核性萎縮膀胱の病歴を持つ患者でありまして,過去に尿路の再建を目的とした手術を何回も受けております。

文献抄録

精索回転症の保存的治療

ページ範囲:P.779 - P.779

 精索回転症は睾丸の変色が著明な時には,一般に除睾丸が行なわれるが,発症後36時間以内に捻転を戻せば睾丸の萎縮は必ずしもおこらないとの報告もある。著者は1960年より1971年までに38例の精索回転症を保存的に治療し,その臨床所見について述べている。著者の治療法は鼠径部切開で精索睾丸を露出,捻転を戻して温生食水にひたした後に生検をして睾丸を固定する。固定後の睾丸については組織学的に観察すると共に容積の変化も追跡調査した。症例は生後10ヵ月から27歳までで,10歳台に集中している。回転症と急性副睾丸炎の鑑別は困難であるが,回転症では発症後24時間以内の症例では,陰嚢皮膚に特殊な「くぼみ」ができるのが特徴的である。しかし,これは時間の経過と共に陰嚢皮膚の浮腫発赤の増強にて消失してしまう。発症2日目では浮腫と皮膚の肥厚発赤が強くなり,炎症所見は反対側皮膚に及び,肉眼的所見では,24時間以内では正副睾丸の浮腫・充血・出血が顕著で,時間の経過と共にこの所見が強くなり,4日目では線維性滲出物で睾丸白膜の光沢も消失する。

原著

腎被膜下出血を伴う腎癌

著者: 杉浦弌 ,   加藤董

ページ範囲:P.783 - P.788

緒言
 諸検査によつても診断できないような小さな腎癌に腎被膜下出血(血腫)を伴う症例がしばしば報告されている。それ故,腎被膜下出血の診断に重点がおかれ,X線学的診断法の進歩とともに,本症の術前診断法に関する工夫がいろいろと考案されている。
 最近,筆者らは腎被膜下出血を伴う左腎腫瘍症例を経験したので,これを報告するとともに腎被膜下出血の術前診断に関する文献的考察を行なつた。

胸内腎

著者: 岡田敬司 ,   田崎寛 ,   東福寺英之 ,   長久保一朗 ,   長谷川昭

ページ範囲:P.789 - P.796

 生存中に診断しえた胸内腎は,著者らの調べえた範囲内では,現在までに59例(第1表)が各国から報告されており,わが国では1961年の林の1例をみるにすぎない。Simple unilateral ectopickidneyが500〜700例に1例見出されるのに対し,本症は非常に稀なものといえる。著者らは2例の胸内腎を経験したので若干の考察を加え報告する。

新しい腎スキャン剤,99mTc-penicillamin acetazolamidecomplex(TPAC)による腎シンチグラフィー

著者: 三木誠 ,   町田豊平 ,   大石幸彦 ,   上田正山 ,   木戸晃 ,   南武

ページ範囲:P.797 - P.802

緒言
 腎スキャン剤として現在までに203Hg-or197Hg-chlormerodrinをはじめ多くの物質が使用されてきたが,いずれも一長一短がある。
 最近ではscintillation cameraの普及に伴い,99mTc標識物質が注目されるようになり,1972年Halpernら1,2)が新しい腎スキャン剤として99mTc-penicillamin acetazolamide complex (TPAC)を発表した。本剤は腎のscanning imageがすぐれていること,とくに腎機能障害時でもよい腎影が得られること,腎被爆が少ないことなどの利点が指摘されている。

尿路感染症に関する研究—ⅩⅤ.カテーテル尿における混入汚染細菌の検討

著者: 碓井亜 ,   石部知行 ,   仁平寛巳 ,   小田サキ子

ページ範囲:P.807 - P.810

緒言
 カテーテル尿は中間尿に比して採尿時の汚染が少ないため,尿路感染症の診断に際して急性症例や1回で正確な情報を要する時などに用いられてきたが,その判定基準も一定せず1,2,4,5,6),さらに膀胱内に細菌を押し込み,医原性尿路感染を引き起こす危険のあることはすでに多くの報告から知られるところである1,4,5,7)
 今回カテーテル尿,恥骨上膀胱穿刺尿(以下SPA),および外尿道口周囲のswab(以下swab)を同時に採取して,カテーテル尿の判定基準およびカテーテル採尿法に伴ういわゆる逆行性感染の頻度と,その際のswabのもつ意義について検討するとともに,カテーテル尿とSPAの尿中白血球数および桿菌数を同時に算定し,比較したのでこれらの成績をここに報告する。

女子尿道憩室の6例

著者: 斯波光生 ,   大橋伸生 ,   松木高暁 ,   稲田文衛

ページ範囲:P.811 - P.815

緒言
 女子尿道憩室は比較的まれな疾患とされていたが,最近では報告が増加している。著者らはすでに本症の13例を報告1〜6)したが,今回6症例を追加し考察を加えて報告する。

陰嚢内膀胱ヘルニアの1例

著者: 瀬川襄

ページ範囲:P.817 - P.822

緒言
 膀胱ヘルニアについては,既に12世紀にAbul-casisにより記述されたといわれるが,Platcr(1605),Sala(1620)により症例を報告され,その後欧米ではさほどまれではない8)。本邦では1921年池田9)が報告して以来若干の報告はあるものの,未だ少数である。しかし,内外の報告の多くは,鼠径部にみられる小さなものであり,陰嚢内ヘルニアの型をとる程の大きなものは極めてまれである。今回,憩室を伴う膀胱にみられた陰嚢内膀胱ヘルニアを術前に診断し,手術的に根治し得たので報告する。

陰嚢類表皮嚢胞の1例

著者: 関根昭一

ページ範囲:P.823 - P.826

はじめに
 泌尿器科領域において類表皮嚢胞をみるのは睾丸において最多である。その他まれに陰茎縫線,後腹膜腔,膀胱後腔にも発生するとの報告もある。しかし著者の知る限り,陰嚢皮下に発生したとの報告を目にしない。
 最近当教室においてこのまれなる陰嚢皮下に発生する類表皮嚢胞を経験したので報告する次第である。

Urological Letter・165

前立腺癌の統計

ページ範囲:P.815 - P.815

 各種の治療法による治療成績の良し悪しを決めるという点で,統計は非常に貴重なものである。しかし,前立腺癌が全治したと決める時点をいつにすべきであろうか。もしも5年後に再発がなかつたら,全治とすべきであろうか,それとも10年あるいはそれ以後に区切るべきだろうか。
 Stage Bの前立腺癌のために会陰式前立腺摘除術を受けた2人の患者を最近診察した。

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内国文献

ページ範囲:P.827 - P.828


 先天性心疾患にみられる腎糸球体変化,浜口欣一・他:小児科診療,37;(8),9,1974.
 死体腎移植における腎摘出術の実際,小越章平・他:手術,28;(8),819,1974.

第23回総合医学賞入賞論文

著者: 医学書院

ページ範囲:P.830 - P.830

 第23回総合医学賞論文が別記14論文に決定した。総合医学賞論文は1949年に第1回入賞論文を選定していらい優秀原著の顕彰の役割をはたし,受賞者の中から第1回の東大内薗耕二教授を初めすぐれた学者や臨床家を輩出して今日に及んだ。今回選定された14論文は昨年中に発行された小社の全雑誌中から,それぞれ各誌1篇の最優秀原書を慎重審査の結果選定したもので,各論文に対し賞脾・賞状・賞金10万円,および副賞が贈られる。
 入賞論文のなかには英文雑誌「Japanese Journalof Microbiology」から選はれた英文論文も含まれている。まだ外国人学者の寄稿者からの入賞論文は出ていないが,今後の国際的な学術文化交流の趨勢の裡では,そのような可能性もはらまれているわけである。今後もこの賞の優秀論文の寄与によつて研究の進展が期待される。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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