臨床泌尿器科28巻11号

1974年11月発行

原著

陰嚢内膀胱ヘルニアの1例

著者： 瀬川襄¹²

所属機関： ¹君津中央病院泌尿器科 ²現：厚生中央病院泌尿器科

ページ範囲：P.817 - P.822

緒言
　膀胱ヘルニアについては，既に12世紀にAbul-casisにより記述されたといわれるが，Platcr（1605），Sala（1620）により症例を報告され，その後欧米ではさほどまれではない^8）。本邦では1921年池田^9）が報告して以来若干の報告はあるものの，未だ少数である。しかし，内外の報告の多くは，鼠径部にみられる小さなものであり，陰嚢内ヘルニアの型をとる程の大きなものは極めてまれである。今回，憩室を伴う膀胱にみられた陰嚢内膀胱ヘルニアを術前に診断し，手術的に根治し得たので報告する。