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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科28巻12号

1974年12月発行

雑誌目次

図譜 血管撮影シリーズ・12

副腎腺腫

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.845 - P.847

〔X線検査所見〕
 腎盂造影所見(第1図)
 右腎上極腎杯に一致した結石像をみとめるが,両腎の腎軸は正常で,腎輪郭の形状などにも異常をみとめない。

図譜・425

巨大水腎症

著者: 新村研二 ,   早川正道 ,   東泉東一 ,   小平進 ,   宮沢正

ページ範囲:P.848 - P.849

 患者 Y.Y.,21歳,女子,事務員。
 主訴 血尿,腹部膨満。

図譜・426

膀胱後嚢腫

著者: 足木淳男 ,   人見浩 ,   三樹明教 ,   田代彰

ページ範囲:P.850 - P.851

 症例 31歳,主婦。
 主訴 下腹部腫瘤,尿閉。

綜説

副腎性器症候群

著者: 中村宏

ページ範囲:P.855 - P.864

緒言
 副腎性器症候群とは,副腎皮質からのステロイドの過剰分泌または異常分泌による性早熟または性徴異常が招来される疾患の総称である。
 副腎性器症候群は,発病の時期,患者の本来の性,外見上の性にしたがつて第1表のように分類される。

症例検討

残腎結石による尿毒症の治療—東京慈恵医科大学泌尿器科学教室

著者: 町田豊平

ページ範囲:P.865 - P.872

7年前の残腎結石を放置
 司会 残腎結石が8年も前から発見されていながら放置したため尿毒症になつて来院された方の症例ですが,本日はこの例の治療上の問題,特に手術的治療を施行するに当つての問題を中心に討論してみたいと思います。最初に患者さんの入院までの経過を主治医から報告していただきます。
 A 現病歴を要約しますと,主訴は尿混濁,頻尿などの排尿異常ですが,11月頃からは全身倦怠感,息切れなどの全身症状が現れてきています。既往歴に右腎結核があり,約20年前に腎摘出をうけています。7年前には無尿となり,検査の結果,左残腎結石を指摘されていますが,本人が自己退院しその後来院しておりません。

文献抄録

嚢胞腎末期の腎移植について

ページ範囲:P.872 - P.872

 世界的には既に600例以上嚢胞腎疾患者,腎不全者に腎移植が行なわれている。著者らはMayo Clinicにて最近10年間に203例の腎移植を実施しているが,この内に11例の末期嚢胞腎症例がある。末期嚢胞腎者はいずれも腎移植前に両腎の摘出を行なつている。症例はすべて血尿,脊部痛,高血圧,尿路感染,結石形成などの症状,合併症を持つている。性別では5例が女性,6例が男性で,年齢は23歳から58歳にわたつている。これらの症例は1例の腹膜灌流実施者以外はすべて血液透析を行なつており,長い者は27ヵ月に及んでいる。Donorは8腎が生体で4腎は屍体より用い,HL-Aの最も適合するDonorが選ばれている。腎移植部は左右の腸骨窩を用い,尿管膀胱吻合を行なつている。以上の移植症例の成績をみると11例中2例が死亡し,82%の成功率であつた。死亡の原因は1例は突然の気管栓塞から心停止を来たしたもので,それまではcreatinine値も1.1mg/dlで外来で良好の経過の症例であつた。

原著

腎移植における膀胱外尿管膀胱新吻合術

著者: 増田富士男 ,   千野一郎 ,   佐藤勝 ,   斉藤賢一 ,   南武

ページ範囲:P.875 - P.879

緒言
 同種腎移植では8〜24%に尿路合併症が生ずるといわれており1〜7),その頻度は血管のそれよりも多い。したがつて尿路の処理には血管吻合と同様の慎重さと技術が必要である。腎移植における尿路再建法としては,尿管膀胱新吻合術が最も多く行なわれており,われわれも現在までに行なつた腎移植6例すべてに本法を施行している。
 尿管膀胱吻合は膀胱を切開し,膀胱内で粘膜下にトンネルを形成する術式が最も一般的に施行されており,われわれも最初の3例はこの方法で行なつた。しかし,本法は膀胱を大きく切開する必要があり,手術時間が長く,術後膀胱内へのカテーテル留置も長時間要する。そこでわれわれは最近の3例に膀胱外より粘膜下にトンネルを作る術式を試み好結果を得た。本法は簡単で安全確実に行ない得,カテーテルも翌日抜去できたので,その手技および成績について述べる。

糖尿病患者にみられたXanthogranulomatous pyelonephritisを伴う腎乳頭壊死の1例

著者: 村山鉄郎 ,   近藤猪一郎 ,   塩田善朗 ,   山口正道

ページ範囲:P.881 - P.888

緒言
 最近,われわれは糖尿病患者において腎乳頭壊死を伴つたXanthogranulomatous pyelonephritisを経験した。腎乳頭壊死およびXanthogranulo-matous pyelonephritisはそれぞれ稀な疾患であり,両者が共存した症例はわれわれの知る限りでは未だ報告をみない。そこでわれわれは本症例の臨床経過を報告するとともにその発生機序について若干の検討を加えた。

尿管切石術後にテタニー様症状を呈した1例

著者: 板谷興治 ,   脇本賢次 ,   三林裕

ページ範囲:P.889 - P.893

緒言
 術後合併症には多彩な症状を呈するものが少なくないが,われわれは尿管切石術後にテタニー様症状を呈した症例を経験したので,ここに報告する。

排尿困難を主症状とした乳幼児下部尿路肉腫の3例

著者: 安食悟朗 ,   狩野健一 ,   渡辺悌三

ページ範囲:P.897 - P.904

はじめに
 小児の下部尿路に悪性腫瘍をみることは比較的稀であるが,われわれは3例のかかる症例をまとめて報告する。いずれも胎児性肉腫であり,1例を除いて,その原発部位の決定にかなりの問題があつたものである。

膀胱出血に対するフォルマリン液膀胱内注入の経験

著者: 稲田文衛 ,   工藤哲男 ,   丸彰夫 ,   折笠精一

ページ範囲:P.905 - P.909

緒言
 骨盤内悪性腫瘍に対する放射線療法の副作用のうちlate reactionとして,膀胱壁の障害血管より高度,かつ難治性の膀胱出血が起こるとその対策は極めて困難である。最後には尿路変更と膀胱全剔をも必要とするに至る。最近われわれは,子宮癌放射線照射後の難治性の高度の膀胱出血2症例に対し,膀胱内フォルマリン液注入を行ない止血に成功したので報告する。

血尿を主訴とした抗凝血薬投与例

著者: 中村章 ,   塚田恒安

ページ範囲:P.913 - P.918

はじめに
 抗凝血薬使用にさいしては,出血傾向の出現に対して慎重な配慮が必要であることは周知の事実であり,この点をおろそかにした場合,患者を重篤な状態に陥し入れることになる。われわれは最近,抗凝血薬投与により高度の尿路出血を来たした症例を経験したので報告し,若干の考察を行なうこととする。

Urological Letter・166

小児のための簡単な一時的会陰部尿瘻作成法

ページ範囲:P.904 - P.904

 幼小児で一時的尿路変更のために,会陰部からFoleyカテーテルを膀胱に入れることは,時には技術上厄介なこともあり,不必要に長い時間をついやすこともある。次に示すような工夫をすれば,ことに尿道下裂のときには手術を手早く行なえる。
 まず第一に標準的Foleyカテーテルを用意し,パックに通ずる枝をカテーテルの表面と同じ面で切断し,カテーテルの終末部の広がつた部分をも切り捨てて,管の直径をそれより前方と同じ大きさにする(第1図参照)。

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内国文献

ページ範囲:P.919 - P.923


 腹部動脈の走行異常と両側腎動脈狭窄を認めた若年性高血圧症の1例,山崎博通:内科,34;(2),327,1974.
 人工腎臓の実験,小林快三:内科,34;(2),318,1974.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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