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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科28巻2号

1974年02月発行

雑誌目次

図譜 血管撮影シリーズ・2

孤立性腎嚢腫

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.104 - P.106

〔X線検査所見〕
術前腎盂造影所見(第1図)
 右腎杯および腎孟は,右腎下半部に存在する占居性病変により上方に圧排され,尿管も腎盂尿管移行部より第5腰椎の高さに至るまで,腰椎側に偏位,伸展されている。右腎下半部の占居性病変をしめす陰影はレ線透過性を有し,正常腎実質との境界には,この陰影を取り囲むようにネフログラムのくちばし状の突出(←印)が見られる。また,左腎は不完全重複尿管である。

図譜・411

膀胱異物(体温計)の1例

著者: 伊勢和久 ,   鈴木騏一

ページ範囲:P.107 - P.107

 患者 早○某,40歳,女性。
 主訴 排尿終末痛,肉眼的血尿。

図譜・412

異物が核となつた膀胱結石症の1例

著者: 安達国昭 ,   木村行雄 ,   木崎徳 ,   伊勢和久

ページ範囲:P.108 - P.108

 患者 ○藤○司,17歳,男子。
 主訴 排尿痛,頻尿,発熱。

綜説

陰茎癌の診断と保存的治療—放射線,化学療法

著者: 河合恒雄 ,   中尾日出男

ページ範囲:P.113 - P.123

はじめに
 本邦における陰茎癌に関する報告は古くは尾崎(1933)45),桜根(1933)48),久保(1936),松井(1941)35),飯田(1948),藤井(1953)12),杉本(1959)55)らの報告,最近では宍戸ら(1963)53)の病理組織学的観察,南ら(1965)38)の8例,雑賀(1965)47)の9例,田中ら(1966)57)の9例,重松ら(1967)52)の18例の統計的観察がある。さらに赤坂ら(1966)2)は7例の経験例とともに本邦のアンケート264例についての現況をのべている。

Urological Letter・158

テレビ透視下でのバスケットカテーテルによる尿管結石の引出し

ページ範囲:P.123 - P.123

 われわれは1969年以来レントゲンテレビ下で尿管結石の膀胱鏡的操作を行なつている。1969年までの500例について述べると,特別なひどい副作用もなく結石の引出しに成功したのは81.66%である。1回行なつたものと2回ないしそれ以上行なつたものとの比率は約6:5である。操作後の熱,疼痛,長期入院などの欠点をみた例は何回か行なつた例の方が,1回しか行なわなかつた例に比し3:2と多い。
 尿管結石の膀胱鏡的操作をレントゲンテレビで透視することなしに行なうことは盲目的操作であるが,テレビ透視下に行なえば,これは目で見ながら調整できるわけである。ストンバスケットを開くべき時期を適格に知ることができるし,バスケットをどの位開ければよいのかもわかる。しばしばカテーテルの先で結石を,元あつた所よりも中枢側へ押し上げることがある。しかしテレビ透視下で調整しながら行なつている場合には問題は起こらない。以前よりもカテーテルを何回も行なうことはかなり減少してきた。そして,石の引出しの成功率は著しく増加してきた。統計をとつてこの結論を出すにはまだ症例が多くないが,もつと例数が多くなつたら,そうしたいと思つている。

手術手技

陰茎癌の根治手術

著者: 大川順正 ,   線崎敦哉 ,   新家俊明

ページ範囲:P.125 - P.131

緒言
 男子悪性腫瘍のうちその1〜4%を占めるとされている陰茎癌の治療に関しては,従来より放射線療法,化学療法そして手術療法などが施行されてきているが,実際の症例にあたつてどういつた治療を選ぶかを決定することは,きわめて難しいところである。
 そもそも,本症は男性性器という露出された,発見されやすい場所に発生しながら,その予後は比較的悪いものとされてきている。これは本症が主として包茎患者の陰茎亀頭部あるいは包皮内板に発生するために,その発見が遅れたり,さらにはたとえ早期から気づかれていても,患者の無知と羞恥心などから,われわれ専門医のところにやつてくるのが遅れがちになるところにもその一因があるものと考えられる。

症例検討

泌尿器科的神経症

著者: 阿部正 ,   田崎寛

ページ範囲:P.135 - P.144

 司会(田崎) これから精神科と泌尿器科のジョイント・カンファレンスを行ないます。本日お招きした精神科の阿部先生は神経症の専門家でいらつしやいます。
 さて今回はいろいろ検討して2例を選んでみましたが,まずウロのケースを簡単に紹介させていただきます。2つとも私が初診でみた症例で,司会と症例の紹介を兼任してやることになりますが悪しからず。各々の紹介のあとで諸先生にウロの立場から,阿部先生に精神科の立場から,ご質問あるいはコメントをいただきます。最後に阿部先生に泌尿器科疾患の中の心身症の関係する部分について総説的にお話しいただいて,そのあと皆さんの質問を受けていただく,こういう順序でやりたいと思います。

文献抄録

移行上皮癌転移巣のAdriamycin治療/女性の再発性尿道膀胱炎に対する治療

ページ範囲:P.144 - P.144

 移行上皮癌に対して系統的に用いる抗癌剤は有効なものがなく,5-Fuが膀胱移行上皮癌に有効であつたとの報告もあるが,Prout(1970)は否定的な意見を述べている。最近Streptomycesから分離された新抗腫瘍剤のAdriamycinは毒性がなく,RNA,DNAの合成阻害と組織培養にて核分裂抑制作用が知られている。著者らは左腎盂移行上皮癌の症例に用いて劇的効果を示した治療例を詳細に報告している。
 症例は52歳男性,主訴は3ヵ月来の左側背腹部痛,発熱,嘔気,体重減少,血尿で,排泄性腎盂造影で左上腎杯に充満欠損像を認め,左分腎尿に異型腫瘍細胞を認めた。肝,骨のスキャンニングは正常。アルカリフォスファターゼ120国際単位と上昇。手術は腎尿管摘出術施行。腫瘍は上極腎盂に4×2.5cm,GradeⅢ〜Ⅳで腎実質に浸潤を認めた。術後一時的には経過良好であつたが,8週間後に発熱,体重減少,食思不振,全身状態も悪くなり,alkali-phosphataseは280単位と上昇,肝シンチグラムで多数の欠損部を認め転移が認められた。そこで1日のAdriamycin 18 mg/M2として4日間総計140 mgを投与した。終了後3日目に発熱,食慾減退,注射部の静脈炎,13日目には口内炎,咽頭炎,白血球減少,脱毛などの症状が現われた。

原著

特発性後腹膜線維化症の1例

著者: 久住治男 ,   打林忠雄 ,   木下勝 ,   高田佖

ページ範囲:P.145 - P.154

緒言
 いわゆる特発性後腹膜線維化症は,1905年にAlbarren1)が初めて報告して以来現在までに外国における報告は数多くみられるようになつた。しかし,本邦における報告は著者らの蒐集した範囲では20数例のみである。最近われわれは典型的な特発性後腹膜線維化症と思われる1例を経験したのでこれを報告すると共に,本邦における特発性後腹膜線維化症について若干の統計的考察を加えてみたい。

当教室10年間における馬蹄鉄腎15症例の検討

著者: 白雲起 ,   公平昭男 ,   堀内満水雄 ,   日台英雄 ,   高井修道

ページ範囲:P.155 - P.159

緒言
 馬蹄鉄腎は,二つの腎原性胚芽のmesial fusionによつて形成された奇形であり,その発生は胎生4〜7週といわれ,本症に関する研究は古くより詳細に行なわれている。われわれは,当教室における最近10年間の症例を集計し,検討したので,ここに文献的考察を加え報告する。

腎盂と肝に発生せる重複癌の1例

著者: 中神義三 ,   高橋厚 ,   近藤隆雄 ,   廣野晴彦 ,   陳泮水 ,   牧田芳久 ,   田原重忠

ページ範囲:P.163 - P.167

緒言
 重複癌は,Billroth (1889)1)が最初に定義し,記載したが,その後Warren & Gates(1932)2)により,多少修正され今日に至つており,最近は多くの報告がみられ,まれな疾患ではなくなつている。
 しかし,重複癌のうちでも腎腫瘍,特に腎盂癌と他臓器癌との重複癌はきわめてまれなものであり,本邦では自験例を含めて11例を集計するのみであり,また,肝(ヘパトーマ)との重複癌は本邦では第1例目である。

腎盂尿管の外膜解離による通過障害

著者: 藤田公生

ページ範囲:P.171 - P.174

緒言
 ここに述べる2症例は炎症性の所見はほとんどみられず,尿管周囲炎ないし外膜炎という名称を考えてみたがいずれも不適当なようである。そこで,あまり簡潔な名称ではないがこのような標題のもとに自験例を報告し,進行すればperi-urete-ritis plastica1)の像に移行する可能性があり,広義にはひとつの疾患にまとめることもできると思われるこの病態のもつ臨床的意義を強調したい。

胃癌転移による続発性膀胱腫瘍症例

著者: 広田紀昭 ,   平野哲夫

ページ範囲:P.175 - P.179

緒言
 膀胱近接臓器の悪性腫瘍が膀胱壁に浸潤,増殖することは比較的しばしば経験される。しかしながら真の続発性膀胱腫瘍,すなわち遠隔転移性膀胱腫瘍は稀で,その頻度は全膀胱腫瘍の0.1〜1%程度といわれている。
 われわれは胃癌根治手術の7年後,他の部には転移,再発の兆なく,膀胱のみに胃癌の転移と思われる腫瘍を認め,これを手術的に剔出しで一応治癒せしめることに成功した。しかし,その3年後患者は再び胃癌の直腸転移によると思われる消化管出血を来たし死亡した。以下その経験を記す。

精索に発生したIiposarcomaの1例

著者: 松田尚太郎 ,   白井将文

ページ範囲:P.181 - P.183

はじめに
 精索に発生するLiposarcomaは極めて稀であるとされているが,最近われわれは右鼠径部精索に発生した1例を経験したのでここに報告する。

小さな工夫

尿道撮影用カテーテル

著者: 南孝明

ページ範囲:P.161 - P.162

 男子逆行性尿道撮影は,術者の直接被曝を避けるために遠隔操作用カテーテルおよび鉗子が種々工夫されている。しかし,操作が煩雑だつたりしてあまり用いられてないのが現状と思われる。著者は約2年前より比較的簡単で撮影効果の良い尿道撮影用カテーテルを作製使用している。
 器具は第1図右端のごとくF14号3孔式カテーテルを9cmに切り,先端より2cmの所に前後に円味をもたせ1cmに切つたF22カテーテル片をゴムノリで接着,他端に他の長い管(後述)との接続金具をつけた。

回腸導管における採尿器具の工夫

著者: 横田武彦 ,   小川功

ページ範囲:P.184 - P.185

はじめに
 尿路変更術のうち,尿路を体表面に開口させるものには,腎瘻,尿管皮膚瘻のごとくカテーテルを要するものと,回腸導管,回盲部導管のごとく開口部から溢流してくる尿を各種採尿器具にて集尿するものとがある。
 後者では,カテーテルの交換が不要であるかわりに集尿に問題がある。採尿器具は空腹時,満腹時,体動時にも常に開口部周囲皮膚と密着していなければならない。現在よく用いられている採尿器具は,接着剤を用いて皮膚と接着させ,その上に輪状のスポンジを置き,さらにこれを弾力ベルトにて圧迫固定するものである。

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内国文献

ページ範囲:P.186 - P.187


 Membranous nephropathyの病理学的概念の変遷,広橋説雄・他:診と療,62;(1),139,1974.
 腎動脈瘤の1例とその考察──特に腎内動脈瘤について──藤田道夫・他:臨床外科,28;(12),1775,1973.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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