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特集 泌尿器科領域における生検
直視下細胞診・生検併用型螢光膀胱鏡ユニットの開発—in situ癌の早期発見のために
著者: 三谷玄悟12 横川正之1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部泌尿器科学教室 2国立がんセンター病理部
ページ範囲:P.337 - P.344
文献購入ページに移動膀胱腫瘍の予後は一概に良好とも不良とも決めるにはあまりにも多様である。予後の良いものはあくまでも良く,腫瘍の初発以来10年以上も生存するものは74例中26例,つまり35%にも至つている(東医歯大統計)。一方悪いものは極めて予後不良で,2年以内に死の転帰をたどるものは15%(同統計)もある。後者の予後の悪い腫瘍群では,しばしば非乳頭状で時にはほとんど内腔増殖を示さないことがある。しかもこのような病巣は未だ大きく増殖しないうちにしばしば浸潤性である。当然のこととして,この種の増殖性病変に対しては早期に内視鏡的に見出し,生検することが望ましい。それも可及的,数多くの標本を多面的に摘出して(mutiple specimens),病理学的悪性度を決めることが肝要であろう(Rubinら1968)。
ところで,膀胱内の腫瘍性病変に対する病理組織学的検索を行なうにあたつて,提供されている経尿道的試切標本が極めて不都合に切除されているのを著者らはときに経験してきた。
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