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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科28巻5号

1974年06月発行

雑誌目次

図譜 血管撮影シリーズ・5

腎結核

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.396 - P.397

〔X線所見〕
 腹部単純写真所見(第1図)
 左上腹部の左腎下極に一致して,小石灰化像が散在する。

血管撮影シリーズ・6

転移性腎腫瘍

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.398 - P.400

〔X線検査所見〕
 腎盂造影所見(第1図)
 左腎はまつたく造影されず,いわゆる無機能腎の所見をしめす。

図譜・415

盲端に終わる不完全重複尿管

著者: 斯波光生 ,   大橋伸生 ,   松下高暁 ,   稲田文衛

ページ範囲:P.402 - P.403

 患者 31歳,主婦。
 主訴 経過性腎盂腎炎の精査。

図譜・416

結核性前立腺膿瘍

著者: 重松俊朗 ,   江藤耕作

ページ範囲:P.404 - P.405

 患者 H.M.38歳,男。
 初診 48年6月7日。

綜説

Peyronie's diseaseの最近の治療

著者: 長田尚夫

ページ範囲:P.409 - P.418

 Peyronie's diseaseはInduratio penis plastica成形性陰茎硬結症ともいわれ,1743年フランスの外科医Peyronieが始めて発表した疾患である。以来,2世紀以上も経過したが,その成因や病態生理に関しては未解決のままに残されている。本症は主として陰茎幹部に板状ないしは結節状の硬結を生じ,勃起時陰茎の疼痛や屈曲をきたし,しばしば性交不能を訴える比較的稀な疾患である。生命に対する予後が良好であるとはいつても,性障害は離婚問題に発展したり自殺の傾向も報じられているばかりではなく19),患者自身にとつては性能力の低下が人生の終点に近づいていることを懸念して心配する2)
 従来,本症は数多くの名前で報告されていたが,このことは本症の本態についての知識が乏しいためと考えられ,必然的に多くの治療が生まれてくるようになつた。著者に与えられたテーマは本症の最近の治療であるが,本題に入る前に最近の本症に関する動向を紹介しておいた方が治療法を理解する上で重要なことと考えられるので,従来の見解と対比して触れておきたい。

文献抄録

先天的巨大水尿管症の80症例

ページ範囲:P.418 - P.418

 一般に先天的巨大水尿管症とは,膀胱の生理的排尿機能あるいは三角部・尿管口などに器質的障害がなく,かつ膀胱尿管逆流現象・尿管内腔に狭窄・弁形成などの異常が証明されない場合の水尿管を言つている。従来この巨大水尿管症の発生原因に関しては諸家の仮説が多く述べられているが,著者は多数の本疾患の臨床観察から尿管の発生異常に起因する尿管縦走筋異常を有力視している。臨床例は過去40年間にNewYork Hospitalで治療された80例の先天的巨大水尿管症で男子33例,女子47例である。年齢別では10歳以下が50例(66%)と多く,両側性33例,右側29例,左側18例となつている。尿管拡張発生部位では膀胱尿管移行群104(92%),尿管上1/3が4,尿管部中央5で,本疾患発見動機としては尿路感染52例で最も多く,本疾患の合併症として腎盂尿管移行部狭窄症が20例(25%)と反対側の膀胱尿管逆流5例,尿管開口異常,腎欠損症が5例認められ,尿路の先天的奇型合併の多いことが注目される。

原著

腎多包虫症の1例

著者: 石崎允 ,   杉田篤生 ,   土田正義 ,   高橋徹 ,   綿貫勤 ,   吉村裕之

ページ範囲:P.419 - P.423

はじめに
 人体エキノコッカス症または包虫症を起こすものとしては単包条虫(Echinococcus granulosus)と多包条虫(E.multilocularis)の2種が知られ,ことに前者は古くは猬粒条虫または狗児条虫とも呼ばれていたものである。前記の成虫はイヌ,ネコ,オオカミ,キツネなどの小腸に寄生するが,人間は中間宿主であり,幼虫期発育型はいわゆる包虫(Echinococcus, hydatid)として寄生し,包虫症(hydatid disease, echinococcosis)を起こす。その分布は世界各地,ことに牧畜の盛んな地方にみられ,本邦でも多数の報告例1)がある。単包条虫による包虫感染を単包虫症,多包条虫によるものを多包虫症という。

異常開口尿管下端の腟外脱出例—本邦尿管異常開口376例についての統計的観察

著者: 福岡洋 ,   寺島和光

ページ範囲:P.427 - P.433

緒言
 尿管異常開口は尿路奇形のなかでは比較的多くみられるものである。本邦においても高橋・市川26)の第1例以降数多くの累積集計が行なわれており,1972年沼里ら18)は352例を集計している。このうち片側の単一尿管が腟に開口し,患側の発育不全腎を伴うものがもつとも多くみられるが,最近われわれは生後42日目女子で右腎嚢腫,尿管子宮瘻および尿管下端の嚢状拡張による腟外脱出腫瘤を示した尿管腟開口の1例を経験したので報告する。あわせて沼里ら以後,1973年10月までの本邦報告例を集計し,統計的観察を加えた。

泌尿器科手術におけるT-tubeの応用

著者: シータンウン ,   斉藤豊一 ,   小川浩

ページ範囲:P.435 - P.439

はじめに
 泌尿器科領域の手術におけるT-tubeの応用については以前からいろいろな報告があつた1,2)が一般にはまだあまり利用されていないのが現状である。われわれは最近腎,尿管,膀胱の手術に対して,スプリント尿管カテーテルのかわりにほとんど全部特製のシリコンT-tubeを利用している。特製というのは普通外科の肝胆嚢系の手術に利用されているRed rubber T-tubeを泌尿器科の手術に適するように改良したものである。始めのうちは外科で常用されている通常のRed rubberT-tubeを使用した。しかし,これは尿路系に応用するにはあまりに太すぎて利用しえる症例がすくなかつた。また使用できた場合でも生体に対する刺激が強く,炎症反応が大きい。膿尿が高度となり,抜去後も膿尿がつづくという欠点があつた。そこでわれわれは刺激のすくないシリコンを使用して,特別のT-tubeを試作したのである。つまり外径はなるべく細く,管腔はなるべく大きくし,Tubeの太さは正常尿管と水尿管に適するいろいろなサイズをつくつた。硬さはRed rubber T-tubeよりかたく,通常の尿管カテーテルよりやわらかくした。Tubeの両手をもつと長くし,シリコンを材料として透明なものを作成した(第1図)。

膀胱憩室腫瘍の1治験例

著者: 佐藤太一郎 ,   七野滋彦 ,   神谷武 ,   家田浩男 ,   早川直和 ,   船橋重喜 ,   宮本修 ,   ワツタナチャイ

ページ範囲:P.441 - P.445

 膀胱憩室腫瘍は稀な疾患であり,わが国では河村1)が26例を報告し,昭和45年までに40例に達している。最近,われわれは本症の1例を経験したので報告し,若干の文献的考察を加える。

胃癌の陰茎,副睾丸転移の1例

著者: 上野精 ,   藤間弘行

ページ範囲:P.449 - P.453

はじめに
 陰茎,副睾丸の転移性腫瘍はまれであるが,われわれは胃癌から陰茎および両側副睾丸への転移例を経験したので報告する。

陰茎折症の1例

著者: 大熊晴男 ,   白神健志

ページ範囲:P.455 - P.460

緒言
 陰茎折症は報告者によつては,陰茎折傷,陰茎切傷などの別の名称で呼ばれることもあるが,要するに勃起した陰茎に鈍的外力が作用することにより陰茎海綿体白膜の断裂した状態をいう。比較的まれな疾患で,本邦では市川1)が1971年に61例の集計を,伊集院2)が1972年に76例の集計を報告している。
 最近われわれは本症の1例を経験したのでその概要を報告するとともに,市川1)以後の陰茎折症症例の集計を行ない,いささかの文献的,統計的考察を行なつた。

Urological Letter・161

Ⅰ.TUR後の止血に大きい(75ml)バッグカテーテルの利用を,他

ページ範囲:P.445 - P.445

 TUR後の前立腺窩からの出血は,バルーンカテーテル挿入以前に電気凝固で充分に止血できるのが常である。しかし,時にはカテーテルを挿入したときに出血が増強し,頻回なそして長い洗浄にもかかわらず,出血がつづくことがある。このようなときには,切除鏡を再度挿入して動脈性出血を凝固しなければならないことがある。まれには出血点を見きわめて凝固することが困難なことがあるが,そういう時には22〜24Fの75mlバルーンのついたカテーテルを入れる。そして75mlにまでバルーンをふくらまして牽引する。そして膀胱内には400〜500mlの潅流液を入れ,カテーテルを数分閉じておけばよい。そうすればほとんど常にただちに止血できる。

学会印象記

第62回日本泌尿器科学会総会

著者: 西村隆一 ,   杉浦弌 ,   折笠精一

ページ範囲:P.463 - P.468

第1日(3月29日)
 第62回日本泌尿器科学会総会は昭和大学赤坂教授を会長として3月29日より東京文化会館で行なわれた。私は学会印象記第1日を担当したが,紙数の都合より多くのすぐれた業績が紹介しえなかつたことをお許し願いたい。

ACS総会印象記—59 th Annual Clinical Congress American College of Surgeons

著者: 桜井健司 ,   岡本重禮 ,   小柴健

ページ範囲:P.469 - P.474

(1)
American College of Surgeons
 さる11月28日東京でわが国の外科系の14学会が参加して"日本外科系学会連合会"結成の発起人会が開かれた。新聞の片隅に報道されただけだつたので気づかずに過した医師も多かつたと思われるが,この連合会は各専門領域ごとに細分化され各分野相互の連絡が失われてバラバラになりがちな外科学をもう一度統一体として機能させ,外科系各学会間の学術知識の交換,研究の連携などをおもな目的として発足が急がれていたものである。
 その設立時期および経過はこの連合会とはまつたく異なるがAmeri-can College of Surgeonsもかなり似ている点があると思つたので以下その概略を記してみる。AmericanCollege of Surgeonsの創立は1913年で,外科患者にできる限りのcareをし,それを改善することを唯一の目的として設立されたもので,現在では発展して世界最大の外科医の組織となつている。

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内国文献

ページ範囲:P.475 - P.476


 腎の解剖と生理(Ⅳ),小坂二度見:麻酔,23;(2),131,1974.
 腎移植の麻酔,植松貞夫・他:麻酔,23;(2),159,1974.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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