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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科28巻8号

1974年08月発行

雑誌目次

図譜 血管撮影シリーズ・8

尿管腫瘍

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.572 - P.575

〔X線検査所見〕
〔症例1〕
 経静脈性腎盂造影(第1図)では左腎はまつたく造影されず,逆行性腎盂造影では.左尿管は尿管膀胱開口部にて腫瘍により完全に閉塞していた。

図譜・419

腎杯憩室結石

著者: 廣野晴彦 ,   横山良望 ,   近藤隆雄 ,   西浦弘 ,   淡輪邦夫

ページ範囲:P.576 - P.577

 症例 清○紀○,27歳,男子,会社員。
 主訴 右側腹部の石灰化像。

図譜・420

多発性尿路結石症

著者: 奥山明彦 ,   武本征人 ,   宮川光生

ページ範囲:P.578 - P.579

 患者 55歳,女性。
 主訴 肉眼的血尿。

綜説

アルドステロン症

著者: 徳永毅 ,   近藤厚

ページ範囲:P.583 - P.592

緒言
 アルドステロン症とは普通Aldosterone (以下Aldoと略す)分泌過剰症(aldosteronism, hyper-aldosteronism)を意味する。Aldo症の概念は,Conn (1955)1)が原発性アルドステロン症(prima-ry aldosteronism,以下PAと略す)の第1例を発表したときにはじまり,また副腎に原発する病変によつてAldo分泌が亢進する場合をPA,副腎以外に原因があつて,二次的にAldo分泌が亢進する場合を続発性アルドステロン症(SA)と分類した。そして,その後の経験から,PAの原因として,副腎皮質腺腫によるものが大部分を占めることが明らかとなつた。その後,多数の症例が発見され,またMiuraら(1968)2)によつて副腎に腺腫が存在しないのにPAと同様の症状を呈する疾患として,副腎皮質ステロイドの生合成に預かる酵素17α-hydroxylaseの先天性欠乏症が見出された。

Urological Letter・163

Ⅰ.外陰部表面ヘルペスのPhotoinactivation—光線による補体非働化/Ⅱ.マリファナと非特異性尿道炎

ページ範囲:P.592 - P.592

 外陰部表面のヘルペスは痛みのひどい手に負えない病気である。昨年Felberらの方法で治療し,多くの例を早期に治すことができた。
 治療手技は次のとおりである。すなわち,早期に水泡を滅菌した25ゲージの針先で破る。破れて小さく浅い潰瘍状になつた創には,neutral redの1%水溶液を塗布するだけで良い。ついで15ワットの普通の螢光燈に6インチの距離で15分間曝らす。ついで1〜6時間後に創を再び螢光燈か普通の白熱燈に15分間さらす。

手術手技

副睾丸摘出術

著者: 天本太平 ,   田口貢 ,   松尾喜文 ,   関悦治

ページ範囲:P.595 - P.601

 副睾丸摘出術(epididymectomy, epididymovase-ctomy)の90%以上は副睾丸結核に対して行なわれている。一般化膿菌による慢性副睾丸炎や精虫侵襲症に対して行なわれることもあるが,これらはむしろ副睾丸結核との誤診によつて行なわれることが多い。副睾丸の良性悪性腫瘍もこの手術の適応となるが,症例は極めて稀である。
 この手術は1851年Malgineにより始めて行なわれたのであるが,手術手技は今日ほぼ確立されており,泌尿器科における最もありふれた手術の一つである。しかしながら,男子性器結核の発症率は,近藤ら1)の全国25大学の集計によれば,外来患者総数に対して1959年の2.6%より急激な下降線を辿り1970年には0.4%に減少し,また全治療数に対する手術例数比も1959年の86.7%から1970年の41.2%に半減し,この間の副睾丸摘出術は僅かに38.4%に過ぎないことからみると,最近の若い泌尿器科医にとつて,副睾丸摘出術はむしろ経験する機会の少ない手術に属するものであろう。

原著

腎移植後における尿路系外科的合併症

著者: 山田豊 ,   水野克己 ,   秋山暢夫 ,   稲生綱政

ページ範囲:P.605 - P.610

はじめに
 同種腎移植後における尿路系外科的合併症の発生は,古くから数々の報告1〜3)が見られるが,その免疫抑制の特殊性ゆえに,一旦発生するとその治療および尿路再建法に関する重大な関心事は,実際に腎移植にたずさわるチームにとつて,大いに苦慮する点である4,5)。すなわち免疫抑制剤としての特にステロイドによる創傷治癒機転の障害は,一般外科および泌尿器科の諸手術より予想外に大きいものである。
 そこで,尿路感染症を除外し,いわゆる尿路系外科的合併症を中心として,当教室治験例の検討,ならびに昭和47年12月末日までの日本移植学会登録例の統計的観察および若干の文献的考察を行なつてみた。

腎癌の耳鼻咽喉科領域(耳下腺,鼻腔,舌,歯肉)への転移症例

著者: 里見佳昭 ,   松浦謙一 ,   小川英 ,   森豊

ページ範囲:P.611 - P.616

緒言
 腎癌(renal cell carcinoma)は全身のあらゆる臓器,組織へ転移する癌として知られているが,耳鼻科領域への転移はかなり稀であると言われており,事実欧米で53例,本邦ではわずか7例の報告しか見当らない。そしてこれらの報告の多くは,きわめて稀であるという理由で報告されている。しかし,著者らは腎癌の耳鼻科領域へ転移した症例を相ついで3例,4部位に経験し,耳鼻科領域への転移はそれほど稀ではないという印象をもつたのでここに報告し,腎癌の転移しやすい部位の1つとして認識する必要を述べたい。

Electron Probe Micro Analyzerによる尿石の分析

著者: 高崎悦司 ,   田中康信

ページ範囲:P.617 - P.620

はじめに
 尿石症の成因究明に結石の分析は欠くことのできぬ手段であり,これまでいろいろな方法が用いられてきた。化学的分析,鉱物顕微鏡による観察,X線回折法,赤外分光分析などが主なものであるが1),最近Chambersら(1972)により蓚酸塩結石のElectron probe micro analysisが報告された2)。著者らもこれを試みる機会を得たので,蓚酸塩結石のみならず尿酸結石,シスチン結石も分析してみた。

ムチン分泌性尿膜管腺癌の1例

著者: 瀬野俊治 ,   平山順朗 ,   八木橋勇治 ,   木村正方

ページ範囲:P.625 - P.628

緒言
 尿膜管癌は比較的まれな疾患であるが,著者らは最近,尿中への粘液様物質の排泄を主訴として来院し,組織学的にムチン分泌性尿膜管腺癌と診断された1例を経験したので報告する。

膀胱平滑筋腫の1例

著者: 楠見博明 ,   阿部富彌 ,   長谷川正義

ページ範囲:P.629 - P.633

緒言
 原発性膀胱腫瘍はそのほとんどが上皮性であるのに対し,間葉良性腫瘍は非常にまれなものである。今回われわれは子宮癌の集団検診時に偶然にも発見された膀胱平滑筋腫の1例を経験したので報告する。

膀胱頸部形成術により軽快した逆行性射精の2例

著者: 伊勢和久 ,   木村行雄 ,   安達国昭 ,   木崎徳

ページ範囲:P.635 - P.639

緒言
 逆行性射精は,その大部分の症例が原因と結果の明白な医原性のものであり,idiopathischのものは少ないとされている。われわれは最近,医原性でない逆行性射精の症例で膀胱頸部縫縮術により軽快せしめた2例を経験したのでここに報告する。

副睾丸平滑筋腫—腫瘍摘除を行なつた1例

著者: 増田富士男 ,   小林睦生 ,   斉藤賢一 ,   小野寺昭一 ,   南武

ページ範囲:P.641 - P.645

緒言
 副睾丸平滑筋腫は比較的稀な腫瘍である。腫瘤は尾部に好発するため副睾丸結核と診断されることが多く,手術も副睾丸摘除術または除睾術が行なわれる。
 われわれは最近術前副睾丸腫瘍と診断し,腫瘍摘除術のみで治癒せしめた1例を経験したので報告する。

文献抄録

小腸疾患者のカルシウムとクエン酸排泄について

ページ範囲:P.633 - P.633

 最近腸炎患者に尿石発生の頻度の高いことが指摘され,蓚酸結石発生の原因について論議されている。
 小腸患者の過蓚酸尿発生の原因としてHoffmann(1970)は大腸菌の関与を重要視している。小腸疾患者にみられる過蓚酸尿と蓚酸結石発生の原因については現在不明と言わざるを得ないが,一般に尿から蓚酸カルシウム塩の析出をみる時には,蓚酸は過飽和状態にあることは当然であるが,蓚酸カルシウムの濃度のみならず,これの溶解に関与している他の尿中成分の異常によることも考えられる。この点について著者は10名の各種腸疾患患者について24時間尿の尿中カルシウム,クエン酸,蓚酸の排泄量,濃度を測定し,健康成人,特発性蓚酸結石者の尿と比較検討している。

新薬治験

点滴静注によるMinocycline HC1の臨床的使用経験

著者: 中村宏

ページ範囲:P.648 - P.649

 Minocycline HC1(ミノマイシン)は7-dimethyl-amino-6-deoxy-6-demethyl-tetracycline monohydrochl-orideの化学名を有し,Martell & Boothe1)によつて発表された(1967)。今回米国レダリー研究所においてその点滴静注用が開発され,それを用いて20名の患者を治療したので,その使用経験について報告する。

印象記

第25回西ドイツ泌尿器科学会見聞記

著者: 河村信夫

ページ範囲:P.651 - P.653

 昨年10月西ドイツAachen市で挙行された上記学会(DeutscherUrologenkongreβ)に出席する機会を得たので,その様子を記す。
 Aachenは西ドイツ,オランダ,ベルギー三国の境界近くに位置する町で,その昔,カール大帝の居城のあつたところである。尿管生理の研究で知られたProf.Lutzeyerが会長で17日から20日までの4日間,Neues Kurhausを会場として学会が挙行された。出席者は約400名で日本人の出席者は生駒,高羽,八竹の阪大勢3先生と,筆者の4名だけであつた。

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内国文献

ページ範囲:P.654 - P.655


 腎疾患(1),腎の先天異常-Ⅰ.形態異常,小島弘敬:医学のあゆみ,89; (5,6),中付,1974.
 高血圧と高尿酸血症,関 顕:医学のあゆみ,89;(10),576 1974.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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