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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科28巻9号

1974年09月発行

雑誌目次

図譜 血管撮影シリーズ・9

Wilms腫瘍

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.664 - P.667

〔X線検査所見〕
〔症例1〕
 腎盂造影所見(第1図)
 左中腹部腰椎左側に巨大な腫瘤陰影が見られ,その陰影により左腎盂は外側に圧排され,各腎杯は著しく拡張している。左腎上腎の腎輪郭は識別できるが,中および下極の腎輪郭は不鮮明で腫瘤陰影に移行している。

血管撮影シリーズ・10

腎の悪性リンパ腫

著者: 永井純 ,   田崎寛

ページ範囲:P.668 - P.670

〔X線検査所見〕
 静脈性腎盂造影所見(第1図)
 右腎は腫大し,腎盂腎杯は著明に拡張し,上極に向かう漏斗部も含めて,腎盂は尿管移行部にかけて圧排伸展されている。下極の腎杯にも圧排による造影不良の所見がある。左腎には異常所見をみとめない。

図譜・421

外傷性腎破裂

著者: 斎藤良司

ページ範囲:P.672 - P.673

 患者 伊〇一〇,67歳,男子。
 主訴 右側腹部痛および肉眼的血尿。

図譜・422

レ線陰性尿管結石

著者: 廣野晴彦 ,   横山良望 ,   近藤隆雄 ,   淡輪邦夫

ページ範囲:P.674 - P.675

 症例 小〇滋〇,41歳男性,会社員。
 主訴 左側腹部鈍痛。

綜説

クッシング症候群

著者: 石橋晃

ページ範囲:P.679 - P.688

緒言
 1912年,Peter Bent Brigham病院の外科主任教授Harvey Cushingは今日でいうCushing氏病すなわち高血圧,肥満,無月経などを主訴とし,下垂体腫瘍のあつた数例を報告8),1932年同様の症状を呈する症例を12例集めて報告した9)
 このうち8例の剖検例中6例に下垂体腫瘍が認められ,その3例には好塩基細胞腺腫があつたことから,これら一連の症状を示す疾患群をpituitary pasophilismと称した。

文献抄録

ループ型腎瘻術の経験

ページ範囲:P.688 - P.688

 ループ型腎瘻術はTresidder(1957)により初めて紹介されて以来,その臨床経験と手技の変法などについてしばしば文献的報告をみるが,この方法による尿路変更術の利害についての観察報告は少ない。著者は尿路変更を必要とする30症例について,本法を施行しその有利な点,合併症などについて報告している。
 腎瘻の設置手技はComarr(1964)の報告した方法によつたが,使用のチューブはシリコン製で,内径No.14 Frenchのものである。

手術手技

精嚢腺の手術

著者: 井上彦八郎

ページ範囲:P.691 - P.696

はじめに
 種々の精嚢腺疾患に対する手術的操作には,精嚢腺の内容を排除するための精嚢腺切開術,また精嚢腺の一部に限局している病変を切除する精嚢腺部分切除術,および精嚢腺全体の病変に対し精管膨大部と精管の一部とを精嚢腺と共に摘除する精嚢腺摘除術などがある。
 さて,臓器に対してある目的の手術的操作をおこなう場合に,広い手術野が得られしかも短距離でその臓器に到達できるような皮膚切開と到達経路が選ばれるべきであることは一般の原則である。

症例検討

抗凝固剤による血尿症例—X線診断と臨床経過

著者: 横山正夫 ,   阿曽佳郎 ,   北村唯一

ページ範囲:P.697 - P.703

 司会 第3回分院Conferenceを始めます。最初の症例を北村先生に提示していただきます。
 北村唯一(分院助手) 症例は77歳の男の方で,主訴は肉眼的血尿です。既往歴では,中学2年のとき腎炎のため1ヵ月臥床しています。1972年4月,パリで心筋梗塞の発作があつて,約1ヵ月間入院して抗凝固剤acenocumarol(シントローム)を投与されていました。6月3日帰国し,6月12日分院内科を受診し,posteriormyocardial inferctionと診断され,引き続きシントローム1/2錠(2mg)を毎日服用し現在にいたつています。

Urological Letter・164

抗逆流尿管回腸吻合術

ページ範囲:P.703 - P.703

 尿路変更としては,過去50年間に多くの方法が紹介されてきた。そのなかで,Brickerによつて1950年に普及された回腸導管が今や最も効果的であり標準的方法であると認められている。しかし,本法には尿管逆流が合併し,腎盂腎炎,水腎症,結石形成などを含む腎の長期合併症が起こりうる。
 筆者らは1974年11月号のInvestive Urologyにモンゴール犬で行なつた抗逆流漿膜下尿管回腸吻合術の効果を検討し,発表した。この動物実験に成功したので,侵潤性膀胱癌で膀胱を全摘した6人の患者に予定を早めて本法を行なつた。これら6人の患者に合計10本の尿管を回腸導管に吻合し,残りの2人の左側尿管は対照として,標準的な端側吻合で回腸につないだ。そしてこれらを,もし逆流があれば,その逆流状態を実際に見せるためのものとした。また,この患者達には術前と術後に尿培養,血清クレアチニン値およびIVPをみておいた。

原著

Bourneville-Pringle母斑症に合併した腎血管筋脂肪腫の1例

著者: 池田嘉之 ,   竹中生昌 ,   西本和彦

ページ範囲:P.707 - P.713

緒言
 腎の良性腫瘍は臨床症状をあらわすことが少ないため大部分が剖検により発見されており,生前に臨床的に診断し得たという報告例は比較的まれである。
 われわれはBourneville-Pringle phakomatosis(以下B-P.phと略称する)に合併した血管筋脂肪腫の治験例について述べ,あわせて若干の文献的考察を加えて報告したい。

原発性腎盂腺癌の1例

著者: 板谷興治 ,   小坂哲志 ,   北川正信 ,   梶川欽一郎

ページ範囲:P.715 - P.722

緒言
 腎盂腫瘍は泌尿器腫瘍の中でも比較的頻度の小さいものであるが1,2),そのうちでも腎盂原発の腺癌は非常に稀である。われわれは腎盂原発の粘液産生性腺癌の1例を経験したので報告する。

尿管閉塞による無尿について

著者: 三橋慎一 ,   伊藤晴夫 ,   百瀬剛一

ページ範囲:P.727 - P.734

はじめに
 泌尿器科における無尿症の頻度はそれほど高いものではない。しかし,その主たる原因が尿管閉塞にあることが一つの特徴であろう。そしてこの種の無尿症は尿排泄については予後は良好であるものの,原疾患に悪性腫瘍の多い点では予後は芳しくない。ここにわれわれの経験した症例を集めてその概要を述べ,2〜3の検討を加えたいと思う。

膀胱破裂の3症例

著者: 大石幸彦 ,   三木誠 ,   工藤潔 ,   佐々木忠正 ,   菅谷公平 ,   南武

ページ範囲:P.735 - P.742

緒言
 膀胱皮下破裂は従来比較的稀な疾患とされており,泌尿器科臨床上もあまり問題にされていなかつたが,近年報告例も増し,専門医による積極的治療により,予後も良好となつてきた。
 最近,われわれは本症の3例を経験したので,それらを報告すると共に,本邦における過去5年間(1967年1月〜1971年12月)の報告例を中心に若干の検討を加える。

mucus-forming adenocarcinoma of the prostateの1例

著者: 近沢秀幸 ,   打林忠雄 ,   大滝三千雄

ページ範囲:P.743 - P.746

緒言
 前立腺のmucus-forming adenocarcinoma(mucinous adenocarcinoma,carcinoma gelatinosum,mucoid carcinoma,膠様癌)は非常にまれな疾患である。われわれは最近本症の1例を経験したので報告する。

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内国文献

ページ範囲:P.747 - P.748

腎臓
 予後からみた腎癌手術と化学療法および放射線療法,阿曽佳郎・他:日泌尿会誌,65;(4),209,1974.
 プロスタグランディンと腎機能,第Ⅱ報,プロスタグランディンE1の腎動脈内投与によるヒト選択的腎動脈撮影像について,伊藤晴夫・他:日泌尿会誌,65;(4),229,1974.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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