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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻1号

1975年01月発行

雑誌目次

図譜・427

尿管下端部狭窄による水腎症

著者: 福岡洋 ,   寺島和光

ページ範囲:P.4 - P.5

 患者 2歳6ヵ月,男子。
 主訴 腹部膨満。

図譜・428

尿管瘤

著者: 豊田泰 ,   丸山邦夫

ページ範囲:P.6 - P.7

 患者 64歳,女性(74-163)。
 主訴 排尿終末時出血および不快感。

症例検討

他側腎の異形成を合併したいわゆる水腎杯症

著者: 斉藤博 ,   鈴木宗治 ,   桶田理喜 ,   大田黒和生 ,   東京医科歯科大学泌尿器科教室

ページ範囲:P.11 - P.18

 司会 今回は高血圧を主訴とし,その検査中に左水腎症,右腎盂造影不能と診断された症例で,右側は手術的に腎異形成を確かめた症例です。左側については手術を行なつていません。主訴である高血圧についてもいろいろな原因が考えられ,また経過も複雑ですが,討論の順序として,全般的な経過および診断,右側の手術所見,次に再び左側の腎盂または腎杯拡張の診断,手術適応について順次討論したいと思います。し線診断が問題となりますので放射線科の鈴木教授に,また水腎症の診断と手術適応については多くの症例を持つておられる国立小児病院の大田黒先生に参加していただきましたので,後ほどお話しをうかがいたいと思います。
 では経過および検査所見(別表)について質問ありますか。

原著

両側腎盂尿管白斑症の1例

著者: 村山鉄郎 ,   近藤猪一郎

ページ範囲:P.21 - P.27

緒言
 腎盂尿管白斑症は現在までに多数の報告がみられるが,多くは片側性であり,両側に発生した症例は本邦では新島ら(1972)1)の1例のみと考えられる。われわれも最近両側腎盂尿管白斑症を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

無カテーテル尿管皮膚瘻術と尿管機能

著者: 伊達智徳 ,   横山純 ,   平井庸夫 ,   熊佳伸

ページ範囲:P.29 - P.33

 はじめに
 尿路変更術は,原疾患の性状,患者の一般状態,さらには年齢,性別,職業などの社会的適応も考慮してその術式を選択すべきである。最近では本邦においても,膀胱を利用しない永久的尿路変更術として回腸導管法が優れた方法として賞用されている。しかし,根治手術不能な悪性腫瘍に起因した尿管下部および下部尿路の閉塞に対して,特に高齢者やpoor riskの患者では,なお尿管皮膚瘻術が手術侵襲の少ない安全な尿路確保の手段として広く行なわれているようである。
 われわれは,手術直後から移植尿管にカテーテルを留置しない無カテーテル尿管皮膚瘻術を行ない,従来から行なつていたカテーテル挿入の方法との比較を試みた。特に移植尿管の狭窄の発生,細菌感染,腎盂炎の発生頻度,尿管筋電図測定による尿管蠕動機能などについて検討したのでその結果を報告する。

Temporary loop cutaneous ureterostomy(尿管側壁皮膚吻合術)を行なつた尿管瘤の1例

著者: 寺島和光 ,   福岡洋

ページ範囲:P.35 - P.39

緒言
 1963年イギリスのJohnston J.H.がはじめてloop cutaneous ureterostomyという手術方法を発表して以来,欧米の文献にはいくつかの症例報告がみとめられるが1〜7),本邦の文献にはまだ臨床報告がないようである。われわれは尿管瘤の患児に対して一時的にloop cutaneous ureterostomyをおこなつた症例を経験したので報告する。

膀胱良性腫瘍(非上皮性)の3例

著者: 牛山武久 ,   堀内誠三 ,   三浦枡也 ,   中川完二 ,   親松常男 ,   中島幹夫 ,   土屋文雄

ページ範囲:P.43 - P.47

はじめに
 膀胱腫瘍の大部分を占めるものは上皮性腫瘍であるが,膀胱壁を構成する結合織,血管,リンパ管,筋肉,神経などからも腫瘍が発生することはよく知られている。これら非上皮性の膀胱腫瘍は全体の5%以下といわれており,日常遭遇する機会も少ない。最近われわれは良性腫瘍の3例を経験したので報告し,検討を加えてみたい。

膀胱エンドメトリオージスの1例

著者: 大石幸彦 ,   千野一郎 ,   小林睦生 ,   佐藤勝 ,   荒井由和 ,   南武 ,   鳥海純 ,   柿本伸一

ページ範囲:P.49 - P.53

緒言
 膀胱エンドメトリオージスは女子にみられる比較的稀な疾患で,Abeshouse (1960)1)によるとエンドメトリオージス全体の中で膀胱に発生する頻度は1.1%とされている。
 最近本症の1例を経験したので報告する。

S状結腸癌の膀胱浸潤の2例

著者: 高木隆治

ページ範囲:P.55 - P.60

はじめに
 S状結腸癌がしだいに進行すると,膀胱へ浸潤することはそれほど稀なことではない。
 しかしながら,泌尿器科的症状を主として,精査の結果S状結腸癌による続発性膀胱腫瘍と診断される症例は比較的少ない。最近著者は,膀胱症状を主訴とし,S状結腸癌の膀胱浸潤と診断された2例を経験したのでここに報告する。

脾臓性腺癒合の1例報告と68例の集計

著者: 水谷修太郎 ,   清原久和 ,   有馬正明 ,   佐川史郎

ページ範囲:P.61 - P.69

緒言
 性腺(あるいはmcsonephric structure)と脾臓との癒合や,陰嚢内副脾を呈する症例はsplenic-gonadal fusionあるいはLien caudatusとよばれ,Bindernagel ct aL.8)は57例を数えている。
 われわれは,両側腹腔内停留睾丸の疑診にて開腹手術を施行した4歳の男児に左睾丸と脾臓の癒合を認めたので報告するとともに,若干の文献的考察を加えたい。

白血病性続発性睾丸腫瘤の1例—本邦白血病性睾丸腫瘤の統計的観察

著者: 大井鉄太郎 ,   高瀬通汪 ,   鈴木三郎

ページ範囲:P.71 - P.78

はじめに
 白血病が造血臓器以外の組織に白血病性細胞浸潤,腫瘤形成をみることは剖険例で高率に証明されているが,臨床報告では少なくこの点でかなりの相違がある。
 白血病治療は化学療法の進歩に伴い長期生存例が増加の傾向にある。その反面臨床的に寛解中に腫瘤形成をきたした症例が次第に多くなる様相を示しているという。泌尿性器系では成人よりも特に小児の睾丸,卵巣に腫瘤形成率が高いとされている。

Urological Letter・167

ハンナー氏膀胱症候群

ページ範囲:P.27 - P.27

 過去数年間に,ハンナー氏潰瘍に似ているが,われわれの知つているクラシックなハンナー氏潰瘍とは違つたはつきりした形の膀胱疾患を認めてきている。
 昔のハンナー氏潰瘍は,液で膀胱を膨らますと出血する個所が膀胱壁に何ヵ所かあり,その他の膀胱壁はまつたく正常にみえるものである。膨脹させなければ普通は潰瘍は見えない。尿もまつたく正常である。筆者のいう病気はハンナー氏膀胱症候群(Hunner bladder syndrorne)と記載しているように,クラシックなハンナー氏潰瘍ではない。ここでいう病気はクラシックなハンナー氏潰瘍の症状を有するが膀胱容量が減少したもので,検査してみると膀胱容量は減つており,尿は正常である。液で膀胱を膨脹させてもハンナー氏の潰瘍はみられない。内尿道口附近およびその側方に延びている場所の粘膜から出血するのであり,これらの部分が主出血部位である。これ以外の部位から出血することもあるが,潰瘍はみえない。電気焼潟すべき部位もない。クラシックなハンナー潰瘍はほとんど常に,そして例外なしに膀胱のなんでもない所にみられるものである。

文献抄録

急性腎盂腎炎のIP像について

ページ範囲:P.39 - P.39

 尿路感染時にしばしば見られる急性腎盂腎炎のIP像の変化とその経過については,従来文献的に報告は少ない。一般に急性腎盂腎炎と診断されると,検査はその誘因となる尿管狭窄,結石の有無,感染原因の追究が主眼となるので,この際の腎盂像は等閉視されることが多い。そこで著者はこの問題について文献酌に考察すると共に経験症例の腎盂像について紹介している。著者の症例1は31歳女性で,右脊部痛が2日間続き発熱悪感,嘔吐などを主訴に入院。右季肋部に強い圧痛があり,尿は膿尿で培養で105以上の大腸菌陽性で急性腎盂腎炎と診断された。
 この患者については2年前にIPが施行されており,今回のIP像と比較すると,左腎には2回のIP像に変化は認められないが,右腎では腎の腫大(長径で2.5cm,横径で1.0cm)と上極腎像の不鮮明化,上極皮質部の肥厚化が著明に認められた。患者はゲンタマイシン静注3日施行したが,症状軽快しないため開腹して腎をみたところ,上極に限局して腫脹部があり,一部壊死化していたのでこの部を含めて半腎摘除術をした。組織学的には膿瘍を含む急性腎盂腎炎所見であつた。その他の症例は6歳女児と52歳女性の急性腎孟腎炎例であるが,いずれも急性炎の時期と化学療法施行後症状消褪時のIP像を比較して,腎盂腎炎側の腎腫大と腎盂腎杯像の不鮮明化と圧追像などが認められている。

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内国文献

ページ範囲:P.81 - P.81


 ○腎クリアランス,小船善弘:臨床検査,18;(11),  1258, 1974.
 ○Khppel-Feil症候群にBasilar Impressin,馬蹄腎,尿 道下裂を伴つた1例,坂井 誠:内科,34;(4), 713, 1974.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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