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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻10号

1975年10月発行

雑誌目次

特集 泌尿器科領域における電子顕微鏡的研究

総合討論とまとめ

著者: 横山正夫 ,   狩野健一 ,   徳江章彦 ,   小川和朗 ,   森田一喜朗

ページ範囲:P.852 - P.853

 司会 泌尿生殖器を副腎,腎,副性器性腺ととりあげて来たのですが,今までのところでお気づきの点ございませんか。
 狩野健一(新潟大)横山先生にお聞きします。原発性アルドステロン症の腺腫は,他の腺腫に比してなかなか固定がうまく行かないわけですが,この点の御経験うまい方法を教えていただきたい。

図譜・446

腎結核を疑わせしめたGrawitz腫瘍

著者: 森田一喜朗 ,   伊藤秀明 ,   平田耕造

ページ範囲:P.808 - P.809

 患者 24歳,女性。
 主訴 肉眼的血尿。

図譜・447

尿管憩室の1例

著者: 平田弘 ,   天野拓哉 ,   八木擬朗

ページ範囲:P.810 - P.811

 患者 M.S.,23歳,男子。
 初診日 昭和46年8月10日。

図譜・448

Inverted Papilloma例

著者: 矢嶋息吹 ,   久保泰徳

ページ範囲:P.812 - P.813

 患者 山〇一〇,57歳,男。
 既往歴 慢性肝炎,胃十二指腸潰瘍,アルコール中毒。

図譜 走査電顕図譜・4

腎(4)

著者: 野田進士 ,   河田栄人 ,   江藤耕作

ページ範囲:P.814 - P.815

 腎臓の髄質は尿網管の直部と集合管以下の導出部からなる。
 試料と方法 試料は正常マウスより得た。グルタールアルデハイドにて還流固定後細切し後固定を行ないcritical point法にて乾燥,Au-Pdを蒸着し観察した。

原著

腎腫瘍における動脈造影像の検討

著者: 今川章夫 ,   湯浅誠

ページ範囲:P.859 - P.863

緒言
 腎の腫瘍性疾患における血管造影の価値は高く,悪性腫瘍と良性疾患の鑑別,腎腺癌の血管造影所見と手術適応など,多くの報告がみられる。
 しかし,血管造影所見と予後の関係は,一部論文にふれられているものの,いまだはつきりとした見解はえられていないようである。

骨転移を伴う前立腺癌症例に対する32Pの治療経験

著者: 中下英之助 ,   北川清隆 ,   勝見哲郎 ,   黒田恭一 ,   伊藤和夫

ページ範囲:P.865 - P.869

緒言
 広汎な骨転移巣を有する末期前立腺癌の2症例において,腰背部ないし下肢の激痛に対して32pおよびTestosteroneの併用投与を行ない,著効を認めたので報告する。

前立腺結石に対する経恥骨前立腺亜全別除術

著者: 廣瀬欽次郎 ,   村橋勲 ,   今尾貞夫

ページ範囲:P.871 - P.873

緒言
 前立腺結石に起因する排尿障害に対して,これまで経験的に前立腺全別除術1,2),会陰式前立腺剔除術3),TUR-P4,5),恥骨上前立腺剔除術6)などの各種術式による手術が施行されている。
 著者らは,腺腫を伴わない前立腺結石症5例に恥骨上前立腺剔除術を施行したが,本法によると結石をとり残すことが多く,かつ外科的被膜の損傷に起因すると考えられる後出血,術後の敗血症様発熱(第1表)などの合併症を伴い,また術後遠隔成績においても,結石の残存に伴う下部尿路の経恥骨前立腺全剔除術に準じて,切除範囲の恥骨骨膜を剥離し恥骨を切除する。恥骨の切除範囲は4〜5cmX2〜3cmで前立腺全剔除時7)に比して比較的小範囲で手術は可能となる。この操作により前立腺尖部までが直視下におかれるが,この過程における出血量は多くても100〜150ml前後のものである。骨膜は可及的恥骨に縫合するが,7例中3例では縫合不能で,そのためそのまま切除したが,この方法にても恥骨炎を招来した経験はない。

排尿障害を伴つた色素性乾皮症の1例

著者: 佐藤義基

ページ範囲:P.875 - P.878

はじめに
 色素性乾皮症(Xeroderma pigmentosum,以下XPと略記することあり)は1870年にKapsiによつて初めて記載され,その後常染色体性劣性遺伝子による遺伝病であることが知られている皮膚疾患である。20万人に1例という比較的まれな疾患ではあるが,色素沈着に始まり,乾皮症を呈し,ほとんどすべての例で皮膚癌を生じ,予後不良であるという特徴から,その診断はあまり困難ではない。私たちは最近,排尿障害を主訴とし,種々の神経症状を示したXPの1例を経験したので報告する。

血尿の基礎的検討

著者: 草場泰之 ,   広瀬建

ページ範囲:P.879 - P.883

 血尿という1つの症状には計り知れない意義があり,その判断に当つては十分に慎重でなければならない。しかし,実際には尿沈渣の顕微鏡的検査でわずかな赤血球を認めたとき,正常とするか,異常とするか判断に迷う場合がある。よつてわれわれは顕微鏡的血尿の正常と異常との境界を確かめ,さらに血尿による蛋白反応,血尿と潜血反応との関係について検討を加えた。

文献抄録

前立腺癌の骨髄液酸フォスファターゼについて

ページ範囲:P.883 - P.883

 著者らは30例の前立腺疾患患者に骨髄穿刺による酸フォスファターゼ値を検討して報告している。患者は49歳から83歳までの者で,10例は前立腺肥大で20例は前立腺癌である。
 血液および骨髄液の採取は両者同時に早朝時に行ない検査した。骨髄液は腸骨後櫛部より採取したが,この部は前立腺静脈血流と交流が自由であり,かつ穿刺が容易なことによる。しかし,30例中4例は骨転移のため該部からの骨髄液採取は不能であつた。前立腺癌20例の臨床的なStageはAが1名,Bが3名,Cが4名,Dが12名であつた。

小さな工夫

新しく開発された尿道注入用陰茎把持器(サニーホルダー)の使用経験について

著者: 加藤正和 ,   鈴木富夫

ページ範囲:P.886 - P.887

 このたび,ムサシェンジニアリングK.K.において新しく開発された尿道注入用陰茎把持器(サニーホルダー)を用いて尿道・膀胱造影法を行ない,満足すべき結果を得たので報告する。
 従来,尿道および前立腺疾患の診断に必要な尿道・膀胱造影法を施行する際には,術者は左手指にて陰茎亀頭部を把持し,右手で注入器を尿道口部に当てがつて,造影剤を注入しながら撮影を行なつていた訳である。この場合には,撮影の瞬間も造影剤を注入し続けなければならないため,直接術者の手が放射線に爆射されることが問題になつている1)。しかし,防護の対策としては,防護用の手袋が挙げられる訳であるが,これを使用した場合には操作がやり難くなるため,大矢ら2)の調査では半数以上の機関が素手(無防護)で行なつている現状である。

Urological Letter・176

膀胱頸部狭窄に対する膀胱筋層切開(Cystomyotomy)

ページ範囲:P.887 - P.887

 膀胱頸部狭窄は前立腺摘除術後の重大な合併症である。術式の種類にはかかわりなく起こる。過去20年余の自分の経験から,前立腺にある程度まで進んだ炎症があると狭窄が起こりやすいようである。膀胱頸部狭窄の症状は前立腺の手術後2ヵ月ないし6力刀間は現われないこともあるので,その診断は必ずしも容易ではない。しかし,ブジーやカテーテルを入れたとき膀胱頸部でつかえれば本症の診断が示唆される。
 コーチゾン注射や膀胱頸部の再切除を初めとして,種々なる治療法がある.前立腺手術の直後から最初の2カ月間拡張を繰り返すことが恐らく最良の治療法であろう。この際膀胱頸部をあらゆる方向に強力に押し拡げて最大の効果を挙げるようにしなければならない。

学会印象記

第70回AUA総会に参加して

著者: 勝岡洋治

ページ範囲:P.889 - P.891

 本年度のAUA総会に参加した日本人関係者は教室の田崎助教授と横浜市大よりSt.Louisへ留学中のチーフレジデント宮入先生と筆者の僅か3名であつた。そんな関係で学会印象を書く破目になつたが,筆者にとつて初めての米国訪間であり,目についたありのままを書いて,この責を努めたい.
 学会は会期5日間の日程で5月11日より,charles J.Robson会長の下に,Miami Beach,Floridaで開催された。5月という時期は当地ではSeason offに入つており,観光客は少なく,ホテルの泊り客はほとんど学会関係者であつた。各ホテル共に白を基調とし,背後に青く透き通つた海を容し,鮮やかな対比を呈していて,まさに世俗から隔離された別天地である。日本の観光地が,景観を損ねる広告とネオンの林立,公害で死と化した海であるのとくらべて格段の違いである。

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内国文献

ページ範囲:P.892 - P.893


 ○腎結石発生機転に関する電子顕微鏡的研究,特に近位尿細管の管腔内所見について,河田栄人・他:日泌尿会誌,66:(8),455,1975.
 ○腎細胞癌の臨床的研究,南武・他:目泌尿会誌,66;(8),474,1975.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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