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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻11号

1975年11月発行

文献概要

綜説

進行性腎癌の治療と予後

著者: 田崎寛1 畠亮1 勝岡洋治1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.915 - P.924

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緒言
 腎癌とは正確には腎腺癌であり,一般に言うGrawitz腫瘍またはhypernephromaである。腎腫瘍としては腎癌のほかにWilms腫瘍と腎盂腫瘍を含めて記載される場合が多いが,ここではいわゆるGrawitz腫瘍についてのみ述べることにする。
 Grawitz腫瘍は古くからhypernephroma(副腎腫)という名が使われて,その組織像の類似性から副腎組織の迷入によつて発生するという考え方が支配的となつていた。1960年代に電子顕微鏡による観察1)で近位尿細管のbrush borderに類似の構造が認められた結果,腎の尿細管上皮細胞を起源とするという結論に落ち着いた。したがつてGrawitz腫瘍は腎癌または腎腺癌という考えがようやく定着しようとしている現状である。腎癌のこのような発生母地に関する混乱以上に臨床像の多彩性はむしろこの腫瘍の特徴と言つてよい。それはGrawitz腫瘍の原発巣自体によるよりも転移巣によるもののほうが先行し,しかも重要である場合が多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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