文献詳細
原著
男子尿路性器とHerpes simplex virus—特に前立腺癌を中心に
著者: 廣瀬欽次郎1 今尾貞夫1 松本恵一2 瀬戸輝一3 川名尚4
所属機関: 1都立墨東病院泌尿器科 2国立がんセンター泌尿器科 3国立がんセンター臨床病理 4東京大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.973 - P.977
文献概要
単純性庖疹ウイルス(Herpes simplex virus,以下H.S.V.と略記)により極めて一般的なvirus感染症が招来され,種々の臓器への感染例が報告されているが,このvirus自体のnatural historyについてはなお今のところ不明の点が多々ある1,2)。
H.S.V.は抗原的に異なる2型に分類され,そのI型は口腔,皮膚,眼球結膜など非性器系に,一方II型は女性性器系より分離される頻度が高いとされ,II型の感染経路が性病的観点より論議されつつある3)。また近年,H.S.V.II型は子宮頸癌との関連より注目を浴び4),子宮頸癌の疫学的解析より,初交年齢が若く,かく雑婚者にその発生頻度が高率であるとの報告5,6)より,子宮頸癌の病因論が性病的観点より論議され性行為により伝染する発癌物質の一つの候補としてあげられて来た。
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