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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻2号

1975年02月発行

雑誌目次

図譜・429

完全重複腎盂兼完全重複尿管に交互に合併した尿管結石症例

著者: 白井千博

ページ範囲:P.92 - P.93

 症例 佐○俊○,21歳,男。
 主訴 左側腹部痛。

図譜・430

膀胱異物の2例

著者: 白井千博

ページ範囲:P.94 - P.94

【症例1】
 患者 菅○ミ,41歳,家婦。
 主訴 終末時排尿痛。

図譜・431

膀胱異物の2例

著者: 大井好忠 ,   永田進一 ,   冨山哲郎

ページ範囲:P.95 - P.95

 【症例1】14歳男子,中学生。 主訴 血尿。
 現病歴 初診1週間前,自慰の目的で棕梠の樹皮線維を尿道内に挿入したところ,誤つて膀胱内に挿入してしまつた。2日後から血尿に気づき,排尿痛,頻尿,残尿感もみとめるようになつた。血尿が増強し昭和49年4月19日来院した。

原著

腎腫瘍の2例

著者: 江尻進 ,   福島克治 ,   久住治男

ページ範囲:P.99 - P.103

緒言
 腎腫瘍は泌尿器科領域において代表的な腫瘍の一部を占める。今までの臨床報告にも皮膚1),骨2),腟壁3),陰嚢内4),脳5)などの遠隔転移や,術前診断の確定できなかつた症例6)などの興味ある報告がみられるが,私達は腎摘除術後に口腔内の転移巣を発見した1例,および外傷後の血尿が持続する経過中に腎腫瘍が診断された1例を経験したので報告する。

重複腎盂尿管の臨床的意義について

著者: 松下一男 ,   木下英親

ページ範囲:P.105 - P.109

緒言
 重複腎盂尿管は尿路奇形のうちではしばしば見られるもののひとつである。欧米では,その頻度や病態生理に関する報告がいくつも出ているが,本邦では,他の尿路奇形を合併した症例報告がほとんどで,まとまつた報告はまだないようである。そこで,われわれは,当病院である一定期間に撮影されたIVPについて重複腎盂尿管の頻度と形態を調べ,そのうちからいくつかの症例を選んでX-ray cinematographyにより尿管蠕動の観察をも行ない,臨床所見との関連について考えてみた。

右尿管結石を伴つた腎脂肪腫の1例

著者: 近藤正吾 ,   高瀬通汪 ,   田林幸綱 ,   外野正己

ページ範囲:P.111 - P.115

緒言
 腎腫瘍にあつて良性腫瘍,特に腎脂肪腫の報告は稀である。われわれは右尿管結石の手術時に腎脂肪腫を偶然に発見したのでここに報告する。

上部尿路白板症の2例

著者: 坂田安之輔 ,   平岩三雄

ページ範囲:P.119 - P.126

緒言
 尿路上皮の白板症は,結石や慢性炎症に付随して発生する粘膜の扁平上皮化生で,肉眼的には白く,ざらざらした外観を呈している。内視鏡検査で容易に識別できることもあつて,膀胱粘膜ではしばしば発見されるが,近年では,上部尿路においても白板症に特異とされるレ線像(虫喰い像や皺襞像)および,尿中の角化上皮の証明から,手術前に診断できる症例が多くなつた。しかし,扁平上皮化生の進行を阻止し得る有効な治療手段がないために,原疾患に対して適切な治療が行なわれても,いずれは剥脱した角化物による尿路の閉塞や感染症が進行し,腎摘除術が余儀なく施行される症例が多い。著者らは,最近,2例の上部尿路白板症症例を経験したが,第1例は腎の奇型(馬蹄鉄腎)に合併したものであり,第2例は上部尿路の異常が指摘されてから腎機能の廃絶に至るまでに長期間の経過があつた症例であつた。症例の報告と共に,自験例について若干の考察を行なつた。

前立腺横紋筋肉腫の1例

著者: 勝見哲郎 ,   岡所明 ,   平野章治 ,   久住治男 ,   松原藤継 ,   亀田健一

ページ範囲:P.127 - P.132

緒言
 前立腺肉腫は比較的まれな疾患であり,かつ極めて悪性度の高いものである。われわれは非常に大きな腫瘍を形成し,やや来院の遅きに失した症例に対し,骨盤内臓器全摘除術および抗腫瘍剤投与を施行し,術後132日目の現在,転移,再発の徴候を認めず良好な経過をたどつている前立腺横紋筋肉腫の1例を経験したので報告する。

性染色体構成XY/XXYのhypogonadotropichypogonadismの1例

著者: 松田尚太郎 ,   猪狩大陸 ,   光川史郎 ,   白井将文

ページ範囲:P.133 - P.137

はじめに
 1942年Klinefelter,ReifensteinとAlbrightら1)は睾丸が著しく小さく,無精子症で精細管の硝子化または線維化がみられ,尿中gonadotropinの排泄値が高く女性化乳房のある患者に対してKlinefelter症候群と名づけたが,その後Hellerら(1945)2)は本症候群と思われる20例についてさらにくわしい検索を行なつた結果,女性化乳房は必発の症状ではなく,本症に特有なのは先天的精細管萎縮硝子化,およびLeydig細胞の集塊であると報告した。
 一方,1949年Barrら3)によりsex chromatinが発見され,1956年Bradburyら4), Plunkettら5),Grumbachら6)がsex chromatin検索を本症候群についても施行した結果,本症候群の中にsexchromatin陽性のものと陰性のものがあることが判明した。

睾丸腫瘍の臨床統計的観察

著者: 廣野晴彦 ,   近藤隆雄 ,   高橋厚 ,   淡輪邦夫 ,   中神義三 ,   陳泮水 ,   川井博

ページ範囲:P.141 - P.146

緒言
 睾丸腫瘍は,幼小児および青壮年者に多く発生し,早期に転移をきたすため予後不良といわれている。一方,陰嚢内腫脹をきたす他疾患との鑑別に慎重をきせば,他臓器発生の腫瘍に比べ,本症の早期発見も決して困難ではない。可及的早期の発見および適切なる治療により,本症に関し近時きわめて良好な予後結果が報告されており,この意味からも本症は臨床上きわめて重要な疾患の一つと考えられる。
 われわれは最近の10年間に21例の睾丸腫瘍症例を経験したので,統計的観察を試みると同時に若干の文献的考察を加え報告する。

精索肉腫(malignantmesenchymoma)の1例

著者: 増田富士男 ,   佐藤勝 ,   木戸晃 ,   中村憲司 ,   南武

ページ範囲:P.149 - P.152

緒言
 精索に発生する腫瘍は比較的稀である。最近われわれは,76歳の右精索に発生した肉腫(malig-nant mesenchymoma)の1例を経験したので報告する。

神奈川県立こども医療センターにおける1973年度泌尿器科の臨床統計的観察

著者: 福岡洋 ,   寺島和光

ページ範囲:P.153 - P.158

緒言
 神奈川県立こども医療センター泌尿器科における1973年度(1973年4月1日〜1974年3月31日)の外来,入院患者および手術術式について統計的観察を試みたので報告する。
 集計にあたつては外来患者はすべて新患のみとし再来患者は含まれていない。入院患者では同一患者が同じ年度内に同一疾患で入院をくり返したり前年度から続けて入院していたものは除外した。

Urological Letter・168

前立腺癌の臨床的ステージンゲの改善

ページ範囲:P.115 - P.115

 前立腺癌の臨床的ステージングの決定には,血清アルカリおよび酸フォスファターゼ,骨サーベイ,骨スキャン,骨髄フォスファターゼ,リンパ管撮影,そのうえ,できれば骨盤リンパ節切除という形での手術的ステージングの方法など多くの診断的検査が含まれる。上述の検査の総てがステージDの前立腺癌を除外したり,あるいは確認するのに必要である。しかもそれらの検査方法は前立腺の針生検による診断が確定してから後に行なわれる。
 ステージAは前立腺癌の潜在型の一つであるが,このAは一つの生物学的現象である。ほとんど総ての泌尿器科医が,この群の症例に対してはそれ以上の治療をする必要はないことに賛成している。ステージCは一つの限局した形で,手術をすることが正当とは認められていない。ステージBは前立腺内にだけ限局したステージで,被膜に浸潤はないし,多くの泌尿器科医が手術的に全治しうる,すなわち,根治的前立腺摘出術で全治しうるステージと判断している。不幸にも,ステージBでさえも手術成績は満足とまでには到つていない。この手術方法での長期生存例には問題があり,根治手術による尿失禁の合併率が高いことについても検討しなければならない。そのうえ,摘出標本の病理検査ではしばしば臨床的にはステージを低くみていることが見出されている。すなわち,臨床上のステージBの多くの例は実はステージCでむしろリンパ節転移がかなり高率にある。

文献抄録

膀胱粘膜の扁平上皮化生について

ページ範囲:P.146 - P.146

 膀胱粘膜の扁平上皮化生は,婦人の内視鏡検査で36%程度に発見されるが,著者らは過去13年間に450例の患者について検索して,この病変に対する考えを述べている。
 扁平上皮化生は内視鏡では頸部から三角部にかけて不規則な形の白斑として見られ,その周囲の粘膜に顆粒状変化が随伴していることが多い。組織学的にはよく分化した成熟の重層扁平上皮で角化傾向は少ない。著者は450例中353例は生検組織で確認した。450例中88.2%の397名は婦人で,年齢は15歳より93歳で,半数以上は40歳以下であつた。ほとんどの婦人は反復する尿道炎,膀胱炎,膀胱下垂などの既往をもつている。男性に認められた症例は前立腺疾患を合併していた。全症例中11例は膀胱癌を合併していたが,その他はまつたく癌の発生はなかつた。尿所見は膿尿を呈した者8例,細菌培養陽性2名(16%)であつた。

小さな工夫

Flexible type の silicone penile prosthesis

著者: 白井将文 ,   鈴木富夫 ,   加藤正和 ,   秋山太一郎

ページ範囲:P.161 - P.161

 最近organic impotenceに対してsilicone prosthesisを陰茎内に挿入する手術が行なわれるようになりかなり良好な成績が得られるようになつた(Loefflerら19641);Pearman 19672), 19723);Lasg 19684);Scottら19735);Geeら19736))。陰茎内に挿入するsilicone Prosthesisは術者によつて,それぞれ手術方法に合わせて工夫がなされて来た.
 われわれも初期にはsilicone prosthesisを陰茎の背面でBuckのfasciaとtunica albugineaの間で先端はcorona glandisより根元はsuspensory ligamentの部位まで挿入する手術を行なつていたが(白井ら19717)),この方法ではsilicone prosthesisが陰茎の背面で移動するため,性交に際して陰茎の腟内挿入が多少困離であることがわかつた。そこでわれわれは現在ではsiliconeprosthesisをtunica albugineaを切開して陰茎海綿体内でtunica albugineaの直下に挿入するようにしている(白井19748))。

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内国文献

ページ範囲:P.162 - P.163


 ○慢性腎不全症例の血液透析中にみられた耳下腺石灰沈 着,渡辺寛:臨床と研究,51;(12),149,1974.
 ○慢性腎不全,武内重五郎:最新医学,29;(12),2382, 1974.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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