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原著
上部尿路白板症の2例
著者: 坂田安之輔1 平岩三雄1
所属機関: 1新潟大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.119 - P.126
文献購入ページに移動尿路上皮の白板症は,結石や慢性炎症に付随して発生する粘膜の扁平上皮化生で,肉眼的には白く,ざらざらした外観を呈している。内視鏡検査で容易に識別できることもあつて,膀胱粘膜ではしばしば発見されるが,近年では,上部尿路においても白板症に特異とされるレ線像(虫喰い像や皺襞像)および,尿中の角化上皮の証明から,手術前に診断できる症例が多くなつた。しかし,扁平上皮化生の進行を阻止し得る有効な治療手段がないために,原疾患に対して適切な治療が行なわれても,いずれは剥脱した角化物による尿路の閉塞や感染症が進行し,腎摘除術が余儀なく施行される症例が多い。著者らは,最近,2例の上部尿路白板症症例を経験したが,第1例は腎の奇型(馬蹄鉄腎)に合併したものであり,第2例は上部尿路の異常が指摘されてから腎機能の廃絶に至るまでに長期間の経過があつた症例であつた。症例の報告と共に,自験例について若干の考察を行なつた。
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