文献詳細
原著
劇症肝炎にて死亡した血液透析患者の2症例
著者: 桜井健治1 門脇和臣1 鮫島正継1 橋本博之1 平田紀光1 鎗水史朗1 酒井糾1 小柴健1
所属機関: 1北里大学病院泌尿器科
ページ範囲:P.201 - P.205
文献概要
近年慢性腎不全に対する血液透析治療が著しく進歩し,腎不全患者の社会復帰率は向上しつつある。しかしながら,慢性腎不全には透析治療だけで避けえないいくつかの合併症があり,貧血もその一つで,やむを得ずなされる輸血が原因となつて肝炎に罹患し,そのために社会復帰ができない例も少なくない。
昭和48年秋東京で開催された人工透析研究会での小高の報告によると,血液透析患者の肝炎による死亡率は3.8%であるが,われわれの施設(開所昭和46年7月27日)では本年5月末までに12名の肝炎患者が発生し,そのうちの2名(全死亡例の8.3%)が劇症肝炎のため死亡している。本論文ではこの2症例の経過概要を報告し,肝炎の重症化の要因を検討するとともに肝炎経過中にみられた高K血症について検討を加える。
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