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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻4号

1975年04月発行

雑誌目次

図譜・435

盲端逆Y尿管の1例

著者: 今津膵 ,   岩間汪美 ,   片山喬 ,   外間孝雄

ページ範囲:P.264 - P.265

 症例 阿○久○夫,22歳,男,公務員。
 主訴 血尿,腰痛。

図譜・436

尿道静脈逆流現象

著者: 重松俊朗 ,   江藤耕作

ページ範囲:P.266 - P.267

 初診 48年4月6日。
 患者 松○学○,58歳,男。

原著

血清Ca, P値からみた腎性および腎後性尿毒症

著者: 加藤哲郎 ,   根本良介

ページ範囲:P.271 - P.274

はじめに
 慢性腎不全ではVit.Dの腎臓における活性化が低下するため,血清Caの低下と血清Pの上昇を惹起することはよく知られている。しかし,慢性腎不全をきたす症例のうち腎後性の症例については血清Caおよび血清Pの変化が軽度で,Vit.Dの活性化が低下していないと考えられる症例がある。この点について,実験的にはラットを使用して両腎摘出による尿毒症群と尿管結紮による尿毒症群とに分け,それぞれのVit.Dの代謝過程の相違を述べた報告がある1〜3)。そこで,われわれは臨床的に尿毒症と診断された症例を腎実質自体の荒廃による腎性尿毒症と尿路通過障害によつて腎機能の低下した腎後性尿毒症の2群に大別し,血清Caと血清Pに検討を加えた結果,2,3の知見を得たので報告する。

先天性水腎症に合併したWilms腫瘍の1例

著者: 福岡洋 ,   寺島和光 ,   三杉和章 ,   土田昌宏

ページ範囲:P.275 - P.280

緒言
 Wilms腫瘍の診断は主として小児の腹部腫瘤や血尿などを示すものにたいして水腎症,神経芽細胞腫,肝芽腫などを否定して,腎原発の悪性腫瘍としての所見を明らかにすることであり,腎盂像の所見のほかに血管縁,ultrasonic tomography,生化学検査などの組合せで診断法は近年著しい進歩がみられている。しかし,Wilms腫瘍が種々の原因で病的血管を欠く場合(avascular)やWilms腫瘍以外の腎悪性腫瘍(小児の腎癌,腎肉腫),神経芽細胞腫の広範な腎浸潤などの場合には確定診断に限界がある。
 また先天性水腎症,重複腎盂尿管,馬蹄腎などの腎奇形に腫瘍が合併したり,腎腫瘍を有する腎に外傷が併発した場合にも術前診断は各種検査の組み合せによつても困難なことがあり,これらを適切に診断,治療するためには症例の集積とともに今後も診断法の発展が必要である。

腎血管筋脂肪腫の2症例

著者: 浜崎豊 ,   石原明徳 ,   山際裕史 ,   加藤広海 ,   朴木繁博

ページ範囲:P.281 - P.287

はじめに
 腎血管筋脂肪腫は,1880年BournevilleとBri-ssardにより初めてTuberous Sclerosisと合併した例について報告された。その後,血管筋脂肪腫は一種の腎の過誤腫と考えられ,次第に報告例が増して来ている。しかし,なお腎血管筋脂肪腫は稀な疾患であり,著者らの集めた限りでは,本邦の1973年までの報告は,自験例も含めて41例である。そのうち19例にTuberous Sclerosisとの合併を認め,その他はTuberous Sclerosisを合併しないか,あるいは記載がなかつた。ここでは2例の腎血管筋脂肪腫について報告すると共に,本邦の腎血管筋脂肪腫41例について若干の統計的考察を加えた。

外膜解離による腎盂尿管移行部狭窄

著者: 藤田公生

ページ範囲:P.293 - P.296

緒言
 筆者は本誌において腎盂尿管移行部の外膜解離による通過障害の臨床的意義を主張したが1),同様な病態によつて典型的な腎盂尿管移行部の狭窄による水腎症の像を示した例をその後経験したので,ここに紹介する。

同一腎における腫瘍と嚢胞との合併例

著者: 斯波光生 ,   大橋伸生 ,   工藤哲夫 ,   兼田達夫 ,   伊藤哲男

ページ範囲:P.297 - P.301

緒言
 同一腎に孤立性嚢胞と腫瘍とが共存ないし合併するという頻度は稀れであるばかりでなく,術前診断が極めてむずかしいために,術中偶然にあるいは術後の検索ではじめて見出される場合が多い。われわれも孤立性嚢胞の嚢胞内に腺嚢腫をみた2例を経験した。うち1例では嚢胞とまつたく関係のない腎実質内にさらに腺癌の存在を認めたので,症例をのべるとともに,腎の嚢胞と腫瘍との共存について文献的考察を加えて報告する。

排尿時膀胱尿道撮影

著者: 小川秋実

ページ範囲:P.305 - P.308

緒言
 排尿時膀胱尿道撮影は,膀胱尿管逆流や尿道弁の診断に欠くことはできないが,これを実施するには,従来はあらかじめ膀胱へ我慢できる限界まで造影剤を注入しておくとかの生理的とはいい難い操作を必要とし,しかも被験者の排尿に対する心理的抑制が強いため,特に女性では不成功に終わる場合が少なくなかつた。
 われわれは撮影時の体位,周囲の環境,撮影の方向と条件などに検討を行なつた結果,現在ではほとんどの被験者に排尿時撮影が可能となり,ルーチンの尿路撮影の一つとして実施しているので,その方法を紹介し,臨床的意義について述べる。

尿閉および両側水腎症を伴つた膀胱子宮脱の1例

著者: 村山鉄郎 ,   近藤猪一郎 ,   長谷川温雄

ページ範囲:P.309 - P.312

緒言
 子宮脱は婦人科外来患者の0.06〜0.3%に,婦人科入院患者の0.59〜1.27%にみられるといわれ比較的多い疾患である1)。しかし,その泌尿器科的合併症に対する検討は案外少ないようである。
 われわれは最近,尿閉と両側水腎症を伴つた著明な膀胱子宮脱の1例を経験したので報告する。

超音波断層法よりみた前立腺の大きさに関する触診とThumann計測の信頼性

著者: 渡辺泱 ,   猪狩大陸 ,   海法裕男 ,   棚橋善克 ,   原田一哉 ,   斉藤雅人

ページ範囲:P.313 - P.318

はじめに
 超音波検査がものの大きさを計測するのに非常に適していることは周知の事実である。私達は経直腸的超音波断層法を用いて前立腺の計測を行なつているので,その測定結果から従来前立腺の大きさを判定する主な方法とされてきた触診とThumann計測について,その信頼性を検討してみたので報告する。

人工心臓ペースメーカー装着患者の手術例—特に高周波TURの可能性

著者: 永田幹男 ,   岡本重禮 ,   石井延久 ,   川守田安彦

ページ範囲:P.321 - P.324

緒言
 人工心臓ペースメーカーが臨床的にわが国において応用されてから10年になり,心臓ブロックを主とする徐脈のためのアダムスーストークス症候群をはじめ,心室異常興奮,上室性頻脈などの治療手段として益々普及しつつある。最近われわれは人工心臓ペースメーカー植え込み患者に恥骨上式前立腺剔除術を行なつた症例,一時的ペーシングを行なつて経尿道的前立腺切除術を行なつた症例を経験したので報告し,特に人工心臓ペースメーカー装着患者に対する高周波を利用する経尿道的切除術の可能性について考察を行なう。

抗癌剤による腹膜灌流が奏効した末期女子尿道癌の1例

著者: 萩原正通 ,   小川由英 ,   岡田敬司 ,   尾関全彦 ,   東福寺英之

ページ範囲:P.325 - P.329

緒言
 泌尿器科領域において癌性腹膜炎患者を経験することは比較的稀と思われる。また,このような末期癌患者は,一般に顧みられない傾向にあり,その治療法も,腹水の排液,輸液,輸血,利尿剤の投与などの姑息的対症療法の他,せいぜい抗癌剤の全身投与などにとどまることが多い。
 今回,われわれは,入院時すでに癌性腹膜炎および多発性の肺転移をきたしていた末期女子尿道癌患者に対し,1つの積極的治療法として,抗癌剤による腹膜潅流を試み,著効を得たので報告する。

化膿性陰茎海綿体炎の1例

著者: 井上武夫 ,   長田尚夫 ,   田中一成 ,   平野昭彦

ページ範囲:P.331 - P.334

はしがき
 私たちは恥骨と陰茎根部の中間に尿瘻を形成した稀な症例を経験した。簡単に治癒せしめ得るものと考えて,治療を行なつたが,非常に難治で,遂に陰茎切断術という大きな代償を払つてやつと治癒させた苦しい思い出となつた。ここに報告し,諸兄の御参考になれば幸いと存じます。

文献抄録

尿道内のCondyloma acuminatumに対する5F-Uクリーム治療

ページ範囲:P.274 - P.274

 尿道内にみられるCondylomaacuminatumは花キャベツ状を呈し,無害ではあるが,尿道の刺激症状や感染の原因となり,放置すれば尿道の閉塞,尿瘻などを形成する。場合によつては尿道に広く発生して膀胱摘出さえ行なうことがある。従来尿道内のCondy.acumina.に対する治療はいろいろ試みられているが,満足すべき方法はないのが現状である。最近では尿道内薬物注入療法としてthio-tepaあるいはcolch-icine水溶液などが使用されているが,頻回かつ長期の注入が必要であり,また尿道痛,尿道炎の発生が患者を悩ませている。
 著者らは5F-Uの抗腫瘍作用に着眼して,試験的に5%5F-Uクリ—ムの注入を試みて良好な成績を得て報告している。症例は1970年より4年間に経験した20例で,うち15例は尿道口に限局して病巣があり,4例は尿道口より更に遠位に発生しており,1例は陰茎と尿道球部・前立腺部に病巣のある症例であつた。5%5F-Uクリームは,尿道麻酔に用いる円錐形の注入口をそなえた25g入りのチューブに入れてある。このクリームを排尿後と就床時に2ml尿道口より注入する。この際他の健康な皮膚にクリームが付着しないよう注意する。使用期間は症例により多少異なるが,普通3ないし8日の使用でCondy.acumina.は消失する。病巣が外尿道口より遠位にある場合には,尿道腔を満すように充分クリームを注入する。

Urological Letter・170

困難な右腎摘出例における十二指腸損傷の予防策

ページ範囲:P.280 - P.280

 筆者は,ほとんどの腎摘出にはWoodruff,L.やBodner,H.が記載している第11肋骨切除・胸膜外到達法を好んで用いている。これは後腹膜腔へ横隔膜下で入る方法で,腎茎部を十分広く露出することができる。
 結石性膿腎症がある例では,癒着している十二指腸第2部が損傷されたり,裂けたりすることがある。

小さな工夫

トラカール膀胱瘻造設時のバルンカテーテル挿入法

著者: 田利清信 ,   吉田謙一郎

ページ範囲:P.335 - P.335

 種々の理由で膀胱瘻造設を要することがあるが,膀胱まで切開して膀胱瘻を作るよりトラカールで膀胱穿刺してカテーテルを留置する方が,はるかに患者の負担は少ない。しかし,ネラトンカテーテルでは抜ける恐れがあるので,できればバルンカテーテルを留置したいが二股になつているのでそのままでは入らず,少し工夫を要する。

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内国文献

ページ範囲:P.336 - P.337


 ○腎尿管結石症,坂本公孝:臨床と研究,52;(2),175,1975.
 ○腎移値,石川義信:外科治療,32;(2),197,1975.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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