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原著
先天性水腎症に合併したWilms腫瘍の1例
著者: 福岡洋1 寺島和光1 三杉和章2 土田昌宏2
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター泌尿器科 2神奈川県立こども医療センター検査科
ページ範囲:P.275 - P.280
文献購入ページに移動Wilms腫瘍の診断は主として小児の腹部腫瘤や血尿などを示すものにたいして水腎症,神経芽細胞腫,肝芽腫などを否定して,腎原発の悪性腫瘍としての所見を明らかにすることであり,腎盂像の所見のほかに血管縁,ultrasonic tomography,生化学検査などの組合せで診断法は近年著しい進歩がみられている。しかし,Wilms腫瘍が種々の原因で病的血管を欠く場合(avascular)やWilms腫瘍以外の腎悪性腫瘍(小児の腎癌,腎肉腫),神経芽細胞腫の広範な腎浸潤などの場合には確定診断に限界がある。
また先天性水腎症,重複腎盂尿管,馬蹄腎などの腎奇形に腫瘍が合併したり,腎腫瘍を有する腎に外傷が併発した場合にも術前診断は各種検査の組み合せによつても困難なことがあり,これらを適切に診断,治療するためには症例の集積とともに今後も診断法の発展が必要である。
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