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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻6号

1975年06月発行

雑誌目次

図譜・439

いわゆる軟結石で充満せる腎盂尿管拡張症

著者: 森永修 ,   松村陽右 ,   新島端夫

ページ範囲:P.440 - P.441

 患者 2歳,男子。
 主訴 両側陰嚢内容の欠如,下腹部痛。

図譜・440

Bourneville-Pringle症候群

著者: 佐藤太一郎 ,   七野滋彦 ,   家田浩男 ,   早川直和 ,   船橋重喜 ,   宮本修

ページ範囲:P.442 - P.443

 患者 19歳,女子。
 主訴 顔面皮疹(第1図)。

原著

腎外傷42例の臨床的観察

著者: 加藤宣雄 ,   田谷元佑 ,   浦野悦郎 ,   松岡政紀 ,   高橋薄朋 ,   松村嘉夫 ,   海老原和典 ,   伊藤善一 ,   志田圭三

ページ範囲:P.447 - P.453

 近年,北関東にあつても自動車の普及,工業団地の進出などにともない泌尿器外傷が急激に増加し,群馬大学医学部付属病院ならびにその関連病院をふくめ,著者らはここ10年間に腎外傷42例を経験している。本稿においては,まず代表的な2,3の症例について臨床経過を記載し,ついで全42例の臨床集計について述べることにしたい。

後腹膜黄色肉芽腫(Retroperitoneal Xanthogranuloma)の1例

著者: 加野資典 ,   中山宏 ,   岩崎宏

ページ範囲:P.455 - P.459

はじめに
 後腹膜黄色肉芽腫(retroPeritoneal xanthogra-nuloma)は後腹膜に生ずる特異な腫瘍状病変で,多数の泡沫細胞を含む肉芽腫様組織からなり,臨床的に腹部腫瘤,腹痛,尿路圧迫症状などを示し,腎・尿管腫瘍との鑑別上重要な病変である。Oberling(1935)が初めて本病変3例を記載して以来,欧米では23例1,7)の文献的報告があるが,本邦では天野ら2)および湯本15)の2例をみるにすぎない。
 われわれは最近44歳女性の例を経験し興味ある知見を得たのでここに報告するとともに若干の文献的考察を加えてみたい。

先天性多嚢腎の1例

著者: 高野学 ,   江尻進 ,   久住治男

ページ範囲:P.461 - P.465

緒言
 腎の種々の先天性嚢胞性疾患に関して,その名称,定義,分類などについてはいまなお多少の混乱がみられる。その中の一疾患であるcongenitalunilateral multicystic kidneyは Spence1)の詳細な臨床病理学的検索にもとづく報告以来,polycystickidneyや multilocular cyst of kidneyなどの嚢胞性疾患とは区別されるべき独立した疾患であるとの考えは,多くの支持を受けている。
 近年本症に関する認識が深まるとともに報告例は次第に増加しており,筆者の一人久住ら2)も既に1例の報告を行なつている。最近われわれは,対側腎の水腎症および両側の膀胱尿管逆流現象を伴つた本症の1例を経験したので報告する。

腎異常血管に起因する水腎症の1例

著者: 今村巌 ,   平井庸夫 ,   横山純 ,   白岩康夫

ページ範囲:P.469 - P.475

緒言
 水腎症の原因の一つに,腎およびその周辺の異常血管が尿管を圧迫するとによる尿通過障害がある。腎血管造影法が普及してきた現在,この種の報告例は増加の傾向にあるが,いまだ比較的珍しい疾患とされている。われわれは腎異常血管に起因する水腎症を最近経験したので報告する。

限局性腸炎に起因した膀胱腸瘻の1例

著者: 有門克久 ,   兼田達夫 ,   高村孝夫

ページ範囲:P.477 - P.480

緒言
 膀胱腸瘻は,種々の原因によつて起こるが本邦においては限局性腸炎の合併症としての本疾患は非常に稀であると思われる。最近当教室で,限局性腸炎による膀胱腸瘻の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

子宮頸癌術後の排尿障害に関するわれわれの新しい二知見

著者: 三浦清巒 ,   河村信吾 ,   山辺徹

ページ範囲:P.481 - P.486

まえがき
 子宮頸癌に対する手術療法後の排尿障害が強く頑固であるのは衆知のことであるが,子宮頸癌5年治癒者における遠隔予後については未だよくわかつていない状態である。
 また最近は子宮頸癌が早期に発見される場合が多く,このような症例の大部分に対しては従来の広汎性子宮全摘術(広汎術)にかわつて準広汎性子宮全摘術(準広汎術)が適用されるのが普通であるが,本術式後の排尿障害については不明である。

膀胱腫瘍の水圧療法—施行手技とそれをめぐる諸問題

著者: 広瀬欽次郎 ,   今尾貞夫 ,   赤座英之 ,   茅稽二 ,   宮崎雄一郎

ページ範囲:P.491 - P.496

緒言
 われわれは,第1報1),第2報2)において膀胱腫瘍の水圧療法適応因子の解析をすすめ,第1表に示す効果判定基準の下に良好な成績を得ているが,本報においては,施行手技とそれをめぐる諸問題について考察を進めたい。

Prader-Willi症候群の2例

著者: 松田尚太郎 ,   光川史郎 ,   白井将文

ページ範囲:P.497 - P.500

はじめに
 1956年Prader, Labhart, Williら1)が,生下時に筋緊張低下をきたして乳児期をすぎるとそれが自然に回復し,それに伴つて肥満,知能低下,侏儒が発現する特異な症候群を報告した。それ以来Prader-Willi症候群,またはHHHO症候群(Hypotonia-Hypomentia-Hypogonadism-Obcsity)などという名のもとに相次いで報告されている。われわれも最近本症の2例を経験しそれらの症例に対して染色体分析,ホルモン測定,知能検査などを施行したのでそれらの結果について報告する。

幼児尿道横紋筋肉腫の1例

著者: 桑原正明 ,   大久保正 ,   根本良介 ,   加藤哲郎 ,   水野純子 ,   石舘卓三

ページ範囲:P.501 - P.504

はじめに
 尿道肉腫は,本邦では中野,荒井の悪性黒肉腫の報告以来7例1〜6),諸外国にあつてもCampbell&Harrison7)によると43例と少なく,とくに横紋筋肉腫については,わずかにBatakis8)とPainter9)らの報告が見られる程度である。今回われわれは,幼児横紋筋肉腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

セルトリー細胞腫の1例

著者: 竹中生昌 ,   利井中元 ,   五明田学

ページ範囲:P.505 - P.509

緒言
 睾丸腫瘍のうち,間細胞腫あるいはセルトリー細胞腫などの非精細胞性腫瘍はきわめて稀で,とくにセルトリー細胞腫は現在までに70余例の報告をみるに過ぎない。最近わたくしたちも副睾丸部腫瘤を主訴として来院した男性で,臨床的には外性器をはじめ内分泌系の異常をみとめなかつたが,術後の組織学的検査により,androblastoma(セルトリー細胞腫)と診断した1例を経験したので報告する。

前立腺肥大症による水腎尿管症の1例

著者: シータンウン ,   斉藤豊一 ,   小川浩 ,   西蔭三郎

ページ範囲:P.511 - P.514

緒言
 尿路の通過障害は尿路のあらゆる部分に起こりうる。これには機械的,機能的,そして器質的なものがある。このうちで早期発見によつて,外科的治療法により顕著な効果を期待できるのは機械的通過障害である。慢性的な上部尿路通過障害は大部分自覚症状がないか,あつても症状の出るのは遅い。同様に下部尿路の狭窄もときどき自覚症状がでないのがある1)。このためにしばしば尿路通過障害によつて不可逆性の腎機能障害を来すことがある。われわれは最近前立腺肥大症によると思われる腎機能障害1例を経験したのでその治療前後の臨床経過を報告したい。

文献抄録

前立腺癌の超高圧X線治療の経験

ページ範囲:P.453 - P.453

 最近はStage ⅡないしStageⅢの初期の前立腺癌には根治的手術が行なわれ,殊に針生検による診断法の進歩で,根治手術可能例は25%ないし30%と上昇している。しかし患者の年齢,合併症の有無あるいは尿失禁,性機能障害の危懼から必ずしも根治手術を希望しない患者もあり,著者らは1968年から1973年までに上記の理由で根治手術から除外した患者88例に超高圧X線治療を試み,照射後の理学的検索,前立腺生検による癌細胞の有無,組織培養の結果などについて報告している。
 前立腺癌88例中61例はStageⅢで被膜外への浸潤を認め,27例はStageⅡであつた。患者の年齢は47歳から84歳まで平均65歳である。放射線治療としては4ミリボルトLinacで5,000Rを前立腺および骨盤リンパ節へ照射し,更に前立腺のみへ2,000〜2,500R照射した。

Urological Letter・172

Ⅰ.陰嚢水腫は増加しつつあるのでは,他

ページ範囲:P.480 - P.480

 少しのゆるみもなく,びつたり合つた2重編みのズボンが流行し出したので,一側性のことも両側性のこともあるが,陰嚢水腫が多くなつたように思われる。他の泌尿器科医もこのことに気づいておられるか否か?このことはズボンの股でぴつたり押しつけられていること,およびズボンが2重編みのポリエステルでできており,木綿やウールと違つて汗を吸い取らないことなどから説明できると思われる。ポリエステルのズボンをはけば他のものよりもより暖かいことは疑いもない。恐らくここでの加温は鞘状突起と睾丸との間に過剰な液が溜ることに一役かつているのであろう。もしも他の人々がこのことに気づいていれば興味あることであり,編集者(Dr.Henry Bodner)に御一報下さい。

海外の話題

泌尿器科患者管理の指針(2)—米国泌尿器科学会より,特にわが国の現状と対比・検討して

著者: 田崎寛

ページ範囲:P.515 - P.522

Ⅸ.良性の尿道病変(第10表)
 A,先天性とB.後天性に分けている。先天性のものは1.弁形成,2.狭窄,3.憩室,4.嚢胞,5.重複,6.瘻孔,7.血管腫が含まれ,後天性のものには1.狭窄,a.外傷性,b.炎症性,c.原発性のほか,2.瘻孔,3.尿道周囲膿瘍,4.偽憩室,5.白板症,6.尿道小阜ないし粘膜脱,7.異物,8.コンジロームないしポリープが挙げられている。
 入院の適応はa.排尿障害,尿停滞の状態になつた場合とbとして感染,cとして疼痛,出血などの自覚症状の増悪によつてきめられる。

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内国文献

ページ範囲:P.523 - P.523


 ○尿毒症患者血清におけるヒトリンパ球の羊血球結合性  阻害因子,追手巍・他:医学のあゆみ,93;(2).  53, 1975.
 ○腎疾患(12)腎の悪性腫瘍,小島弘敬:医学のあゆみ,  93;(3),1975.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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