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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科29巻7号

1975年07月発行

雑誌目次

図譜・441

尿膜管嚢腫

著者: 伊藤晴夫 ,   片海七郎

ページ範囲:P.528 - P.529

 患者 18歳,女子。
 主訴 下腹部腫瘤,排尿痛。

図譜・442

骨盤腔内巨大腫瘍

著者: 荒巻謙二 ,   小出卓生 ,   奥山明彦 ,   宮川光生

ページ範囲:P.530 - P.531

 患者 30歳,女子。
 主訴 腹部腫瘤と頻尿。

図譜 走査電顕図譜・1

腎(1)

著者: 野田進士 ,   河田栄人 ,   江藤耕作

ページ範囲:P.532 - P.533

 腎の割面は皮質と髄質に分けられ,腎小体(糸球体,ボーマン嚢),尿細管,集合管,乳頭管より構成される。
 試料と方法 試料は正常マウスより得た。グルタールアルデハイドにて還流固定後細切し,後固定を行ないcritical point法にて乾燥,Au-Pd蒸着を施した。

原著

アミラーゼアイソザイム異常パターンを伴い腎腫瘍を疑われた膵仮性嚢胞の1例

著者: 坂田安之輔 ,   平岩三雄 ,   矢田悦子

ページ範囲:P.537 - P.543

はじめに
 膵臓に由来する嚢胞の40〜50%は仮性嚢胞で,急性膵炎の代表的な後遺症であり,また,慢性膵炎の多くにも仮性嚢胞の形成がみられるといわれる1)。さらに,外傷も成因の1つとして重要で,膵仮性嚢胞患者の10〜15%に腹部打撲の既往歴が認められている2)。いずれにしても,膵周囲に逸脱した消化酵素によつて自己消化がおこり,周囲組織の壊死,出血が次第に広範囲に拡がつて強靱な炎症性被膜に包まれた腫瘤が形成される。嚢腫の増大する方向は腹腔へ向うことが多く,腹部外科の領域では日常的に遭遇し,それに対する診断技術は現在では普及しているが,時に,病変が後腹膜腔へ進展し,腎周囲に嚢胞が形成され増大する場合には,原発性の泌尿器科的疾患とまぎらわしくなることがある。元来,腎およびその近傍における種々の腫瘤,特に嚢胞性疾患の鑑別診断はむずかしい場合があり,しかも,膵仮性嚢胞の後腹膜腔への増大自体が比較的稀であるだけに,膵炎の徴候を具えていない症例では,殊更診断に難渋することが多い。欧米では,このような誤診の経験を述べた報告が時折みられるが,本邦ではこれまであまり言及されていないので,腎腫瘍と疑われたわれわれの経験例を紹介する次第である。

妊娠時に発生した腎自然破裂症例

著者: 長田尚夫 ,   井上武夫 ,   平野昭彦 ,   田中一成 ,   豊田正治 ,   吉田昭雄

ページ範囲:P.545 - P.550

緒言
 腎破裂のうちでも明らかな外傷のない,いわゆる自然破裂はきわめて稀である。しかも,自然破裂を起こす腎には基礎疾患が存在することが多く,正常腎の特発性自然破裂はさらに珍しいものである。
 最近,われわれは妊娠38週婦人に発生した,非外傷性で基礎疾患が存在しない腎自然破裂の症例を経験した。失血性ショック状態で受診し,診断のつかないまま急性腹症として救急手術を行ない,腎摘出術によつて救命し得たので,報告するとともに,その成因について若干の考察を加えたい。

放線菌感染による尿膜管の慢性炎症性肉芽腫の1例

著者: 西田亨 ,   山田智二 ,   中村恭二 ,   神田誠 ,   平野哲夫

ページ範囲:P.551 - P.555

緒言
 放線菌症(Actinomycosis)はsystemic fungusinfectionで,非常に結核に類似し,通常いわゆる"sulfur granules"と呼ばれるものを産する嫌気性のfungusと,Nocardia Asteroidcsと呼ばれる好気性,抗酸性で,同じく"sulfur granulcs"を形成するfungusの2型に分けられ,臨床例では前者が90%占め,後者が10%を占めるが,Nocardiaasteroidesの多くは非病原性であるという1)
 この放線菌感染症は,口腔外科の領域では比較的よくみられ,また呼吸器および消化器の感染も散見される。しかし,泌尿性器系の感染は少ない。

特異な血液疾患に合併した排尿障害の4例

著者: 大沼徹太郎 ,   今林健一

ページ範囲:P.559 - P.564

緒言
 血液疾患を有する患者が種々の排尿異常を呈することは稀ではない。とくに悪性貧血,鎌形赤血球症などでは原疾患にもとづくと思われる神経の障害による多彩な排尿障害がみられることが既に報告されている1,2)。最近われわれは血液疾患に合併する排尿障害を有する症例を経験したので,その概要を報告する。

膀胱の代用として用いた直腸の排尿機能

著者: 遠藤博志 ,   三橋慎一 ,   北村温

ページ範囲:P.565 - P.570

はじめに
 近年,膀胱の代用または膀胱容量の増大を目的として直腸を利用する手術例が増加してきた。従来,腸管の利用法としては回腸または直腸が利用され,それぞれの利点についてはすでに幾多の報告がなされている。
 今回,われわれは直腸を尿路へ利用した症例の排尿機能について,その内圧測定や尿流測定などを行ない検討した。

YPAT-1による砕石(予報)

著者: 高崎悦司 ,   島野栄一郎 ,   永田正義

ページ範囲:P.571 - P.574

緒言
 YPAT-1(Urat-1)は膀胱結石を砕く目的で作られた器械であり,その破砕作用は流体内での放電にて起こされた衝撃波によつて凝結物を砕く電気水圧効果(electrohydraulic effect)に基づく。これは1950年にソ連邦の技師L.A.Jutkinが発見したといわれ,この効果を利用した砕石器YPAT-1はソ連邦泌尿器科医Prof.A.J.Pytelらにより高く評価されて,1967年にはMontreal World Fairで初めてソ連邦以外に展示された1)。それ以後欧米各所で試みられるようになり,ドイツ,フィンランド,ブルガリヤ,アメリカ,イギリスなどからも臨床報告がなされている。われわれもこのYPAT-1を使用する機会を得たので,今回はまずin vitroおよび動物での実験結果を中心に報告したい。

女子大陰唇に発生した間葉腫の1例

著者: 東原英二 ,   木下健二 ,   上野精 ,   梅田隆 ,   鈴木徹

ページ範囲:P.575 - P.578

緒言
 女子の陰唇に発生する腫瘍の種類は多いが,中胚葉あるいは間葉由来の腫瘍は稀である。われわれは女子外陰部に発生した良性間葉腫の1例を経験したので,これを報告し,間葉腫について若干の考察を加える。

凝固時間が正常でありながら著明な陰茎および陰嚢の血腫を生じた血友病A

著者: 石塚栄一 ,   村山鉄郎 ,   里見佳昭

ページ範囲:P.583 - P.588

緒言
 われわれ臨床医は,家族歴や既往歴に出血性疾患が認められなければ,術前に出血傾向の検査として,血小板数,出血時間,凝固時間,毛細血管抵抗を行なうのが普通である。
 しかし,先天性血液凝固異常の軽症例では,これら検査がすべて正常値を示す場合が稀にみられる。しかも,20〜30歳になつてなんらかの症状を呈するものがあるといわれる1)。したがつて,極く稀にしか遭遇しないと考えられるが,このような症例であることを知らずに手術を行なつた場合どうすべきかを考えておくことは,臨床医にとつて大切なことと考える。

副睾丸横紋筋肉腫の1例

著者: 高杉豊 ,   永田肇 ,   井上彦八郎 ,   岡谷鋼 ,   北村憲也 ,   中野悦次

ページ範囲:P.589 - P.593

 横紋筋肉腫は,一般に珍しい腫瘍と言われており,特に陰嚢内諸臓器に発生するものは極めて稀なものである。最近われわれは,11歳の男児において右睾丸原発の横紋筋肉腫の1例を経験したので報告し,あわせて若干の文献的考察を加えてみたい。

尿石の再結晶法とX線回折法による比較検討

著者: 金子直之

ページ範囲:P.595 - P.601

緒言
 尿石症も成分によつては内服療法で予防,あるいは治療できるようになりつつあり1,2),尿石症の治療にあたつては,その成分を知る必要性がますます増大している。周知のごとく尿石の組成を知り,その生因,生成過程を知ろうとする試みは,既に多くの学者によりなされており,分析学の進歩にともない,漸次操作が容易でしかも検査結果の優秀な装置が導入されるようになつてきた。自動記録式X線回折装置(X-ray Diffractometer)3)や赤外分光分析装置4)などはその良い例である。将来は更に小型で,しかも正確かつ迅速に分析結果の得られる装置が開発され,臨床医の手もとや,すべての検査室に置かれる時期が来るにちがいない。しかるに,これらの装置は今日,なお高価で一部の研究機関に所蔵されているにすぎない。
 1970年,Marscek&Burchardt5)は尿石を再蒸留水にて溶解,濾過し,スライドガラス上で再結晶せしめるという,きわめて簡単な操作による尿石成分の分析法を発表した。著者は本法が簡易で,多忙な臨床医にも容易に行なえる点に着目し,1971年以来,本法に従つて,日常臨床の尿石分析法としての応用を企図しているが6〜10),その成績は必ずしもMarscek&Burchardtの発表とは一致していない。

文献抄録

フェナセチンの尿路発癌性について

ページ範囲:P.550 - P.550

 芳香族アミンのフェナセチンはすでに1世紀以上にわたつて,鎮痛薬として広く常用されている。しかし今日ではフェナセチン含有薬剤を長期間に多量使用すると,その副作用として消化管潰瘍,腎乳頭壊死,腎盂腎炎,血液変性などを起こすことは良く知られている。特にすでに1895年にRehnにより指摘された発癌性についてはより重大な副作用として考慮されねばならない。すでに文献的に1965年より1973年の間にフェナセチンによる腎盂腫瘍が119例,膀胱腫瘍が5例報告されているが,著者も2症例を報告し本剤常用者の尿細胞診の必要性を述べている。
 症例の1人は63歳男性で肉眼的血尿を主訴にして来院。左腎盂腎炎と腎盂腫瘍の診断にて左腎・尿管摘除術を施行。その後約半年して再度血尿が現われ,右上腎杯に腫瘍を発見し,この部の部分切除を施行,その後膀胱にも腫瘍が発生し処理された。腫瘍は悪性度ⅡないしⅢ度の移行上皮癌であつた。この患者は頭痛に対して長期間フェナセチン含有の鎮痛薬を常用していた。他の1例は76歳の女性にみられた同様の腎盂尿管腫瘍例である。

Urological Letter・173

直腸診といえども丁寧に

ページ範囲:P.564 - P.564

 本当の直腸診のやり方や所見の説明は一般に大事にされていないが,遺憾なことである。この検査は胸部X線フィルム,心電図あるいは血球検査値と同様に大事なものである。直腸診をしなければならないというと,ほとんどすべての患者が二度とその検査はいやです,本当にその検査は必要なんですか? この前,直腸診をやられたが,死ぬような思いでした,などという。直腸診に際して患者はしりごみするし,硬くなり,抵抗し,時には敵意を示すことさえあるし,汗をかき始めたりする。患者のこの嫌悪は本検査についての十分な説明と注意深い実施で避けることができる。
 まず直腸診のためにできるだけ都合の良い姿勢をとらせることが必要である。それには数種の姿勢がある。すなわちKnee-chest position,Sims's position(術者に背を向け,膝を腹に近づけた側臥位)および立位などである。どの姿勢にも有利な点があるし,それぞれ支持者がいる。しかし,非常に衰弱した人か小児以外の患者の場合は立位が好都合である。婦人の場合でもそうである。立位では他の方法よりもより楽に検査が行なえる。そのうえシーツや掛け布や枕なども必要がなくて経済的である。

印象記

第63回日本泌尿器科学会総会印象記

著者: 三品輝男 ,   石部知行 ,   小島弘敬

ページ範囲:P.603 - P.607

第1日(4月25日)
 第63回日本泌尿器科学会総会は岡山大学新島端夫教授を会長として昭和50年4月25日より27日までの3日間にわたり岡山市民会館で行なわれた。学術発表の形式は大きく従来通りの口演と本学会では初めての試みである示説とに分けられ,後者は大変好評であつた。紙面の都合で第1日に行なわれた一般講演43,特別講演2,宿題報告1を中心に筆者の印象を述べてみる。

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内国文献

ページ範囲:P.608 - P.609


 ○ウィルム腫瘍における最近の問題,武田武夫・他:小児科,16;(5),513,1975.
 ○小児の腎盂腎炎の診断と治療,小川秋実:小児科,16;(5),559,1975.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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